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研究開発助成

平成17年度 研究開発助成研究一覧

「浚渫泥土を活用した人工藻場造成技術に関する研究」

研究者 土田 孝
広島大学大学院工学研究科社会環境システム専攻地盤工学研究室 教授

研究開発の目的・意義

アマモ場は、水産生物の産卵・生息の場としての機能や海域の浄化機能などの機能を有するため、沿岸環境再生や水産資源の回復の観点から、各地でアマモ場の造成が試みられている。一方、港湾整備では定常的に浚渫土が発生するが、多くの港湾で処分場残容量の不足が問題となっており、浚渫泥土の有効利用が強く求められている。

浚渫土を活用してアマモ場を造成する場合は、砂と浚渫土を混合した砂質層で覆土する必要があるが、人工的に造成したアマモ場の例をみると、一時的に藻場が回復するものの台風などの強い波浪によって底質が洗掘され地下茎が流失するケースが多く報告されている。海底の砂地盤に大きな波浪が作用すると波による液状化が発生し、表層地盤が不安定化して漂砂や洗掘、消波ブロックの沈下が発生することが知られており、アマモ場が強波浪時に洗掘され流出する現象も同様のメカニズムが起こっている可能性がある。

本研究は、細粒分を含む砂質地盤における波浪時の安定性を明らかにし、適切な対策とその設計法(砂と浚渫土との配合、覆砂厚さ、アマモの根付け部安定化対策)を提案することを目的とする。

研究開発の概要

アマモは浅海における砂泥層に生息し、種子と地下茎で増加する海藻である。波浪時は、写真のように深さ10cm付近にある地下茎と根が流れによる流体力に対する引き抜き抵抗を生じさせている。本技術開発では、細粒分を10~30%含む砂質地盤に波浪時に相当する圧力変動を与え、地盤内に発生する間隙水圧を測定して、砂質地盤における有効応力の変動、液状化発生の有無について調べる。さらに、細粒分を含む砂質土における波浪時のせん断抵抗、引き抜き抵抗を模型実験により調べる。

次に、実際の海域から採取したアマモを同じ地盤で養生し、静水時と波浪時の引き抜き抵抗を測定する。また水路を用いて流れの場にいてアマモに作用する流体力を測定する。以上の結果を検討し、台風時のアマモの流出機構を明らかにする。

さらに、(1)小石などによる根固め、(2)ネット等による覆土の補強、(3)覆土に繊維を混合するなどの流出防止策の効果を実験的に検討し、浚渫土を用いたアマモ場の造成工法、設計方法としてとりまとめる。

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