平成25年度 土木学会 「第38回海洋開発シンポジウム」(平成25年6月)にて当センターの調査研究成果を発表しました。
土木学会 「第38回海洋開発シンポジウム」において発表した調査研究成果は次の3件です。
港湾構造物は厳しい海洋環境にあることから、塩害が劣化の主要因とされる。特に桟橋上部工コンクリートの下面側は塩害による劣化進行が速く、維持管理上、重視すべき主要な構造部材である。上部工下面側については、通常の点検では、海上から小型船舶を使ってアクセスし、外観目視調査により概略の健全性評価を行う。さらに詳細に調査する場合は、コア採取による塩化物イオン量測定を実施することになるが、荷役作業など施設の利用中は調査が行えないことやコア採取時の足場の確保など、効率的に行うには制約や課題が多い。 本研究では、離散的な位置での情報から対象域全体の情報を推定する場合によく用いられる空間統計学(クリギング)を適用し、桟橋上部工におけるいくつかの塩化物イオン量の離散的なデータから対象全体の劣化状況分布を推定するとともに、目視点検結果と塩化物イオン量の分布の関連性を比較分析し、効率的な維持管理方法を提案する。
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海洋を主とする公有水面での浚渫工事や埋立工事等において、発生する汚濁の拡散を防止するために設置される汚濁防止膜は、フロート部、カーテン部、アンカー等により構成され、近年カーテン部の再利用が進んでいる。ポリエステル織物が一般に用いられるカーテン部は経時劣化が避けられないことから、設置期間に対応した劣化強度を見込んで設計が行われる。この劣化強度は、データ数が比較的乏しいことなどから、特に再利用品については従来かなり安全側の設定が行われてきた。本研究では、汚濁防止膜カーテン強度の経時劣化評価法を構築することを目的として、実海域における実験データをはじめとする数多くの経時劣化データを収集し、設計に用いる劣化強度関数を提案した。
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汚濁防止膜は、工事中に発生する汚濁の拡散を防止する環境対策を目的として設置され、設置期間中に汚濁防止膜の破損等により汚濁の流出があった場合は、自然環境の破壊など社会的に大きな影響を与えることになる。近年の循環型社会形成の観点から、レンタル製品の利用が進められているところであるが、材料の使用目的から簡単にリサイクルすることは困難であり、カーテン部の品質の確認手法が重要となる。しかし、汚濁防止膜のカーテン部に使用されているポリエステル織布の品質については、使用期間と劣化の関係について明確なデータが存在しない状況にある。そこで、同一現場における経年劣化の実態を把握するため、実海域に汚濁防止膜を設置し、定期的に供試体を採取し物理的特性の関係を研究した。
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