SCOPE アーカイブ
港湾空港の計画や建設、維持管理に係る過去の様々な著作物やデータを電子化して、世代を超えて役立ててもらいたい。そんな思いを込めて「SCOPEアーカイブ」を発足させました。
本文をお読み頂いている皆さんのオフィスの書棚には「○○港建設の記録」、「△△空港××年のあゆみ」等々、立派な装丁の資料が並んでいると思います。そこには振り返るべき過去の貴重な事例や先達の創意工夫が眠っているはずです。しかし、それらをひもとく時間が惜しい、そもそもどこにどんな記録があるかわからない・・・・。こうして、相当の手間と時間をかけて編纂された貴重な記録が、ほとんど顧みられることなく書棚の奥に眠り続けることになっていないでしょうか。
最近では、かつての威厳のある印刷物に代わって、CD-Rなどの媒体で配布される例が主流ですが、コンパクトな分、いつの間にか散逸してしまいがちです。ディスクのスロットがついていないPCも増えており、電子化がアダになっている面も否めません。
いずれにしても、現状ではせっかくの過去の貴重な記録にアクセスすることは容易なことではありません。新しいチャレンジを行うときに、過去の知見が生かせないのは大きな損失です。
「SCOPEアーカイブ」は、こうした過去の記録をクラウドストレージ上にデータベースとして保管・管理し、検索システムを与えてSCOPEのHPからアクセスできるようにしたものです。クラウドはデータベースの拡大に応じて容易にストレージを拡大出来るので、その柔軟性がアーカイブに適していますし、検索システムとの相性も優れています。
「SCOPEアーカイブ」の第一号案件には「エアポート・レビュー」誌を取り上げることにしました。「エアポート・レビュー」は1967年から2002年まで発行された空港の専門誌で、国内外の空港の計画や整備事業についての記事が詳しく掲載されています。創刊当時は第1次空港整備事業が始まったころで、その後日本の空港整備の進展に沿って116号まで発刊されました。版権を有する日本空港コンサルタンツのご協力を得て、一号案件として収蔵いたしました。
SCOPEでは「エアポート・レビュー」を起点として、順次港湾空港の調査・設計・建設・維持管理に係る膨大なデータを「SCOPEアーカイブ」に収蔵し、未来に向けた活用を進めたいと考えています。クラウドを活用した仕組みの大枠が出来ましたので、今後優先順位をつけながらアーカイブ化に取り組んで行きたいと思っています。ご希望があればお聞かせいただければ幸いです。
《SCOPEアーカイブのネーミング》
アーカイブ(archive)という用語の本来の意味を辞書でひもとくと「記録保管所」、「古文書」等と記載されています。学習レベルは英検準1級以上、TOEICスコア860点以上と、少々難易度高めの英単語です。
とはいえ、ITの世界ではデータ保全を意味する用語として定着していますし、「NHKアーカイブス」という番組タイトルで昔懐かしい番組が放映されているので、一般的に十分認知されているのではないでしょうか。その「NHKアーカイブス」ですが、有声音で終わる名詞の複数形は“ス”ではなく、“ズ“と濁るのが正しいので、本来「NHKアーカイブズ」とするのが正解です。
しかし、アーカイブズでは濁音が続いて発音しにくかろうと、NHKが日本人向けに発音を加工したようです。そこで我々もNHKに倣って、SCOPEアーカイブスとしようか、本来の発音に即してアーカイブズが良いかなど悩みましたが、シンプルに単数形のアーカイブとしました。日本語ではしばしば複数形は省略されると割り切りました。「Seven stars」とパッケージに書かれたタバコの銘柄名が「セブンスター」である様に。
業務執行理事 傍士 清志
(2022年2月記)
![]()