高木栄一上席研究員(SCOPE)
平成27年3月27日に標記調査結果が公表されました(国土交通省、総務省、財務省の3省共同)。
この調査は、平成14年に始まりました。「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(平成13年4月施行、「入札契約適正化法」)に基づき、公共工事の発注者による入札契約の適正化の取組状況を調査しています。それに加えて、平成18年度以降は「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(平成17年4月施行、「品確法」)に基づき総合評価方式の実施状況等を全国的に調べています。
3月27日に公表された調査結果のうち、総合評価方式に関する概要は以下のとおりです。
(調査対象機関)国 19 機関 <総合評価方式の導入について> |
総合評価方式の導入状況の推移を図1に示します。
都道府県と指定都市では、平成20年9月時点で100%導入されています。特殊法人等では、平成21年9月時点で95%超まで導入されましたが、その後伸び悩んでいます。国では、平成22年9月時点で90%近くまで導入されましたが、その後は停滞しています。市区町村(指定都市を除く)では、平成21年9月まで直線的に導入率が上昇しましたが、その後は60%台前半で停滞しています。
平成24年度総合評価方式実施件数は、多い順に以下のとおりです。
国土交通省 10,928件
農林水産省 2,072件
防衛省 587件
内閣府本府 260件
最高裁判所 86件
環境省 34件
総務省と人事院は、総合評価制度を導入していません。経済産業省と会計検査院も実施していません。
平成24年度総合評価方式実施件数50件以上の特殊法人等は、以下のとおりです。
都市再生機構 1,394件
中日本高速道路 270件
国立高等専門学校機構 179件
東日本高速道路 153件
西日本高速道路 143件
水資源機構 84件
阪神高速道路 70件
本州四国連絡高速道路 68件
東北大学 59件
47都道府県について、総合評価方式実施件数の多い順に表1に示します。多い県では1,000件を越えていますが、少ないところでは50件にも達していません。
20の指定都市と県庁所在地、併せて51主要市について、総合評価方式実施件数の多い順に表2に示します。上位には、県庁所在地の指定都市が並んでいます。しかし、実施件数0が7県庁所在地、一桁の実施件数の県庁所在地が9市(うち2市は指定都市)あります。
指定都市と県庁所在地を除く1,691市区町村については、図1に示したように、導入率が60%を越え、わずかながらですが導入率が上昇傾向にありました(図2に再掲)。
しかし、導入率と実施率が同じだったのは、平成20年度までで、21年度以降はかなりの割合で実施率が低下していっています。24年度は導入率62.5%に対し実施率は31.4%と、導入したもののほぼ半数の市区町村しか実施していません。また、10件以上実施している市区町村は5.8%と極めて低い率です(図2参照)。
平成24年度に50件以上、総合評価方式を実施したのは、以下の7市区のみです。
高岡市(富山県) 182件
豊田市(愛知県) 146件
中野区(東京都) 91件
久留米市(福岡県) 77件
岡崎市(愛知県) 70件
豊橋市(愛知県) 54件
善通寺市(香川県) 52件
図3は、平成26年3月11日に開催された「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」で配布された資料3「今後の総合評価落札方式のあり方」(国土交通省)で示されたデータです。
本コラムのタイトルでもある公表資料「入札契約適正化法等に基づく実施状況調査の結果について」には含まれていませんが、各発注者別の発注件数・発注金額も調査されているようで、総合評価方式の適用率(件数ベース、金額ベース)が分析されています。
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