山下 篤 建設マネージメント研究所副所長
今回は、平成28年度に入札契約された港湾空港工事の結果について報告します。使用するデータは、港湾空港関連入札・契約情報(PAS)に公表されている8地方整備局の全工事です(PASに掲載されない北海道開発局、沖縄総合事務局のデータは含みません。
平成28年6月30日現在、549件の入札契約結果がPASに掲載されていますが、施工体制のみの総合評価(簡略型)を除いた538件に関して集計した主な結果を表1、表2に示します。
4月28日に公表された調査結果のうち、総合評価方式に関する概要は以下のとおりです。
以上のデータから、読み取れる傾向は、以下のとおりです。
◆大規模工事ほど、応札率・落札率とも、調査基準価格率に近づく傾向にありますが、平成27年度以前と比較するとその差は縮まっています。
◆平成27年度までの逆転率は、2.5億円以上の工事では40%~50%であり、半数近い件数で逆転が発生していましたが、平成28年度の逆転率はどの価格帯においても10%~15%低くとなっています。
◆また、平成27年度まではどの予定価格帯においても、総合評価による逆転額の対予定価格比率が0.3ポイント台以下と極めて小さい値となっていましたが、平成28年度は、0.1億円~0.9億円の価格帯で2.97ポイント、0.9億円~2.5億円の価格帯で1.74ポイントであり、前年度と比較すると大きな金額の逆転が発生しています。
◆逆転件数が少なくなったことにより、加算点順位が1位の入札者がそのまま落札する比率がどの価格帯においても高くなっています。
◆0.9億円以下の価格帯では、参加者が少なく(平均3.09者/件)、落札者の価格順位もほぼ1位です。
これらを過去5年の経年変化で示すと以下の図1~図4のようになります。
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