八谷 好高 客員研究員(SCOPE)
空港の緊急時対応計画について米国のものを事例として考察しています。空港として確保しなければならない機能別の対応計画に引き続き、ハザード別のものを取り上げています。今回は、空港周辺水域での航空機事故と群衆コントロールが必要となる事案に対する緊急時対応計画です。最後のハザード別計画になります。
◆概要
航空機事故については、陸上空港におけるものに加え、航空機の進入・出発飛行経路に当たる空港周辺の水域(湿地帯含む)でのものについても対応計画が必要である。特に、一般的な緊急車両が走行できない、面積が65ha(1/4平方マイル)を超える区域における航空機事故については、適切な水難救助計画、施設および設備を備えること等、特別な対策が必要である。なお、これについては米国連邦規則集第14巻パート139第139。325条とFAAのAC150/5230-13に規定されている。
| ★ | 高リスク地域 空港の滑走路端から少なくとも3 km程度(2マイル)以内の水域は、空港緊急時対応計画 (AEP)の対象区域とする必要がある。 |
◆目的
このセクションでは、AEPの基本計画を補足する形で、空港周辺水域での航空機事故(以下、水域航空機事故と称す)への対応活動について記述する。これは標準作業手順 (SOP)とチェックリストに含むべき事項の基本になる。
◆状況と想定
このセクションでは、水域航空機事故において被害者救助活動が必要となる場合の状況を表す上で必要となる事項について記述する。具体的には次のようなものである。
| ★ | 対象となる水域に関する情報 |
| - | 水域の種類 湖沼、河川、海岸、干潟、湾、港湾、海洋、湿地等 |
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| - | 水域の広さ | |
| - | 水域の平均水深 | |
| - | 天候・気候の季節的変動による状況の変化 水温、結氷、波高、日照時間、卓越風等 |
| ★ | 周辺地域の地理・地形 | |
| ★ | 被害者救助活動を担当する水難救助隊・サービスや連邦・州・地方自治体の組織(沿岸警備隊、港湾パトロール等)の名称、所在および電話番号 | |
| ★ | 対応活動の方針 潜在的な危険物事故として対応する。 |
◆運用
このセクションでは、水域航空機事故が発生した場合の空港の運用に関する対応活動として、次のような事項について記述する。
| ★ | 被害者への対応 航空機(水没部分を含む)からの被害者の救助に関する方針と手順を記述する。この場合、被害者受入れ・搬送用の場所を陸上に設けて、被害者のトリアージならびに医療施設への搬送を実施することが最優先事項となる。場所の選定にあたっては、被害者を空港内を通って医療施設まで迅速に搬送しなければならない点に留意する。 |
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| ★ | 対応活動の主要事項に関する方針と手順 次のような事項について記述する。 |
| - | 関係組織への通報・通知 | |
| - | 危険物 | |
| - | スタッフの召集 | |
| - | セキュリティ | |
| - | 交通とアクセスのコントロール | |
| - | 救急医療サービス | |
| - | 消防と救助 | |
| - | トリアージ | |
| - | 負傷していない被害者に対する支援サービス | |
| - | 航空会社のサポート | |
| - | 死者の搬送 | |
| - | 通常業務の再開 |
| ★ | 空港スタッフによる対応・復旧活動と手順 消火・救助、警察・セキュリティ、空港運用、緊急広報等について記述する。 |
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| ★ | データならびに対応リソースの共有 相互支援協定やその他の取り決めのリストを作成する。 |
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| ★ | 周辺地域の緊急時対応計画との関係 空港が主務的役割を担当する組織(主幹組織)とはならない場合の、AEPと周辺地域の緊急時対応計画との関係について記述する。 |
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| ★ | 主幹組織の変更 空港が主幹組織としての活動を他の組織に引き継ぐ場合の規定について相互支援協定に記述する。 |
◆組織と責任の割当て
AEPには、水域航空機事故への対応活動について関係組織ごとに記述するとともに、主幹組織を明記する。空港が主幹組織とならない場合は、主幹組織に対して空港が提供できるサポートの内容について記述する必要がある。
このセクションでは、具体的な対応活動について空港の部門別に記述する。
| ★ | 航空交通管制部門・管制塔 (ATCT) |
| - | 通報・通知システムを起動する。 | |
| - | 空港管理者の要請に応じて、または協定に従って、適切なNOTAMを発行する。 | |
| - | 空港が継続して運用されている場合には、空港内の航空機と車両の交通を管理する。 | |
| - | 他の航空機が緊急事態対応活動を妨げることのないように、事故現場周辺の空域を管理する。 | |
| - | FAAに適切な通報・通知を行う。 |
| ★ | 消防・救助部門 |
| - | 定められた方針と手順に従って事故現場に向かう。 | |
| - | 定められた方針と手順に従って、初期消火・救助活動のためのインシデントコマンドシステム (ICS)を主導する(空港が主幹組織である場合)。 | |
| - | 相互支援組織の活動状況を確認する。 |
| ★ | 警察・セキュリティ部門 |
| - | 必要な交通・アクセス管理を開始・継続する。 | |
| - | 現場でのサポートと警備を行う。 | |
| - | 航空機運用領域 (AOA)のアクセス管理・誘導についてサポートする。 | |
| - | 相互支援組織の活動状況を確認する。 | |
| - | 事故調査に対して必要なサポートを行う。 |
| ★ | 救急医療サービス部門 |
| - | 負傷者に対して必要なトリアージと現場での初期治療を行う。 | |
| - | 相互支援組織の活動状況を確認する。 | |
| - | 負傷者の医療施設までの搬送経路(陸路、水路、空路)について規定する。 | |
| - | 負傷者とその搬送先となる医療施設のリストを作成する。 | |
| - | 航空会社と連携して、負傷していない被害者を待機場所まで搬送する。 | |
| - | 医療用品の補充を手配する(必要に応じて)。 |
| ★ | 空港管理者 |
| ☆ | 一般事項 |
| - | 被害者(負傷者、非負傷者と死者)を収容するために、空港の格納庫や周辺地域の倉庫といった施設・建物を指定する。 | |
| - | 緊急事態対応センタ (EOC)を立ち上げる(必要に応じて)。 | |
| - | 国家運輸安全委員会 (NTSB)、FAA、沿岸警備隊、空港スタッフ等に対して、通報・通知が適切になされていることを確認する。 | |
| - | EOCを通じて緊急支援サービスを提供する(要請がある場合)。 | - | 緊急事態対応スタッフが事前に適切なトレーニングを受けていることを確認する。 |
| ☆ | 空港の運用 |
| - | 消防、医療サービス、警察等、緊急事態対応組織が適切に活動していることを確認する。 | |
| - | ATCTと協力して、緊急事態対応活動を調整する。 | |
| - | 全面的または部分的によらず、空港閉鎖の必要性を判断して、それに応じて適切なNOTAMを発行する。 |
| ☆ | 空港の閉鎖・再開 空港全体またはその一部の閉鎖・再開については空港管理者が責任を有するが、航空機事故の発生直後は空港管理者がその状況を適切に判断できないこともあろう。そのような場合には、空港管理者はATCTに空港を閉鎖する権限を移管する必要がある。そのためには、ATCTとの協定を事前に締結しておかなければならない。 空港の再開は、人や財産に影響がなく、空港が機能を適切なレベルまで回復できている場合にのみ可能となる。その具体的な条件は次のとおり。 |
| - | 救助・避難活動を実施できている。 | |
| - | 航空機事故に対応できている。 |
| ・ | 航空機の所有者・運航者への通報・通知 | |
| ・ | インシデントコマンダ (IC)への技術的サポート | |
| ・ | EOCへの参加 | |
| ・ | 同時に行われている他の対応活動のモニタリング・調整(必要に応じて) |
| - | メンテナンスを適切に実施できている。 |
| ・ | ライフラインを含む重要なサービスの提供(必要に応じて) | |
| ・ | 空港の運用を延長する場合の公衆衛生サービスの提供 | |
| ・ | 必要なリソースの提供。具体的には、ポータブルトイレ、飲料水、ポータブルライト、通信機器、拡声器、ポータブルテント、ロープ、バリケード、バリアテープ、標識、資機材、重機、油類除去装置といったもの | |
| ・ | EOCへの参加 |
| - | 空港の運営・管理を適切に実施できている。 |
| ・ | 予算編成、支払い、その他の財務的サポート | |
| ・ | 調達サービスの提供 | |
| ・ | EOCへの参加 |
| - | 広報・周辺地域への対応について適切に実施できている。 |
| ・ | 空港の活動に関するプレスリリースの作成・提供 | |
| ・ | メディア、航空会社および現場の広報担当者との連絡調整 | |
| ・ | EOCへの参加 |
| ★ | 航空機所有者・運航者 |
| - | ICに対して、乗客・乗員数と危険物の所在に関する情報を提供する。 | |
| - | EOCの代表を務める。 | |
| - | FAA、NTSB等へ必要な通報・通知を行う。 | |
| - | 航空機の乗客・乗員に対して次のようなサービスを提供する。 |
| ・ | 負傷していない乗客・乗員の搬送 | |
| ・ | 日用品、衣類、通信機器、医療サービス等の提供(必要に応じて) | |
| ・ | 犠牲者や被害者の家族・友人用の宿泊施設の確保 | |
| ・ | 乗客・乗員の状況の追跡 | |
| ・ | 乗客・乗員用の宿泊施設の確保または代替航空機等の手配 | |
| ・ | インシデントによるストレスコントロールのサポート |
| - | 乗客・乗員とその家族に対するサポート計画を実行する。 | |
| - | 広報担当者とニュースの配信について調整する。 | |
| - | 損傷したり、故障したりした航空機を速やかに撤去する(許可が得られ次第)。 |
◆管理とロジスティクス
このセクションでは、水域航空機事故に関するサポート要件について記述する。
◆計画の策定と維持
このセクションでは、水域航空機事故への対応計画の改訂について記述する。この場合、添付ファイルならびにSOPとチェックリストの策定・更新について記述する。空港が主幹組織でない場合は、対応計画の改訂に関する方針と手順の確認方法について記述する。
◆権限と参照先
このセクションでは、水域航空機事故に関する法令、規制等について記述する。
ハザードが空港周辺水域での航空機事故である場合のAEPを作成する上で特に検討が必要となる事項は次のとおり。
◆概要
水域航空機事故に対するAEPの策定における空港管理者の役割は、主務的あるいは補助的という立場によって異なったものとなる。
◆指揮統制
指揮統制機能に関する記述内容は次のとおり。
| ★ | 航空機事故は複雑かつ特殊な性質を有するので、その対応活動を指揮統制するためにインシデントコマンドシステム (ICS)を導入する。これについては空港管理者や航空機所有者・運航者等、航空機の運航に関係するすべての組織が合意して決定することが必要であり、これによりすべての組織の参画と組織間の調整が可能になる。 | |
| ★ | 陸上での航空機事故の場合と同様に、水域での航空機事故の指揮統制に関しても、対応、調査、復旧という3つのフェーズに分けて検討することが肝要である。AEPでは、指揮統制に関してICSに参画する組織とその機能・権限について具体的に規定する。 | |
| ★ | 航空機事故は危険物事故として対応する必要があることに留意する。すなわち、ICSを使用するとともに、トレーニングのレベルを考慮して対応スタッフを決定する。 | |
| ★ | 対応フェーズでは、沿岸警備隊、ARFFと消防・危険物処理部門がICSを主導する。 | |
| ★ | 事故現場が一般のスタッフにとって安全になったと判断される場合には、対応活動は対応フェーズから調査フェーズへ移行する。ただし、被害者がすべて現場から搬出され、航空機燃料等、危険物が除去・撤去されるまでは、沿岸警備隊、ARFFと消防・危険物処理部門が引き続きICSを主導する。 | |
| ★ | 調査フェーズでは、NTSB、FAA等の調査機関がICSを主導する。 | |
| ★ | 空港の復旧活動の開始が可能と判断された場合には、調査フェーズから復旧フェーズへ移行する。 | |
| ★ | 復旧フェーズにおいては適切な組織がICSを主導することになる。事故現場が空港内にある場合は、空港管理者がICSを主導する。 | |
| ★ | ICSでは、全ての項目について、実施主体、権限と機能について具体的に規定する。空港外の組織がICSに参画する場合には、現場のインシデント指揮所 (ICP)とEOCの機能についても明確に規定する必要がある。 |
◆情報伝達
水域航空機事故の現場は、広大で地理的条件や気象条件が厳しい上に、沿岸警備隊、消防、緊急医療サービス、警察等、複数の組織が関係しており、しかもそれぞれの管轄区域が複数に分かれている場合もある。そのため、情報伝達・通信の方法は、陸上での事故の場合以上に複雑なものとなる。水域航空機事故の現場での情報伝達機能に関する記述内容は次のとおりである。
| ★ | 通信ネットワークについては、無線機、電話(固定および携帯)やその他の通信機器を活用することによりその能力を確保する。 | |
| ★ | 通信量が多くなるので、緊急時の通信手順・プロトコルを確立した上で、通信方法に関するトレーニングプログラムを準備・実行することが肝要である。無線通信や電話通信は必要不可欠なものに限定する。 | |
| ★ | 航空会社の通信システムやアマチュア無線の活用について検討する。 | |
| ★ | 水域航空機事故の現場から陸上車両への被害者の移送をサポートするために、陸上のアクセス地点に災害現場用の携帯電話(電話会社所有)を設置することを検討する。 | |
| ★ | 信頼性と機動性に優れた通信システムを構築する上では、発電機等の電源を備えた専用通信車両や移動指揮所を準備しておかなければならない。 |
◆警報と警告
警報・警告機能に関する記述内容は次のとおり。
| ★ | 航空機事故については、水域におけるものも含めて、通常ATCTが最初に認識し、空港内外の緊急事態対応組織に対する通報・通知プロセスを開始するが、周辺地域の警察や消防等、他の組織が通報・通知プロセスを開始しなければならない場合もある。AEPにはこのようなあらゆる可能性を考慮した通報・通知プロセスを記述して、関係者全員がそれについて理解できるようにしておく必要がある。 | |
| ★ | 通報・通知システムにおいては、次のような機器を使用する。 |
| - | 緊急電話および直通電話 | |
| - | 固定電話 | |
| - | 携帯電話 | |
| - | ポケベル | |
| - | 無線システム |
| ★ | メインシステムが機能しない場合を想定してバックアップシステムを確保する。 | |
| ★ | 航空機事故発生時の第一報として次の項目について通報・通知する。 |
| - | 事故の発生場所 | |
| - | 航空機の種類 | |
| - | 乗客・乗員数 | |
| - | 燃料の残量 | |
| - | 危険物の種類、量と場所(ある場合) |
◆緊急情報
航空機事故に関する情報、特に緊急情報(EPI)は、主要報道機関や独自のEPIプログラムを有する数多くの組織から要求されるため、AEPにおいて非常に重要な部分である。EPIに関しては次の事項について規定しておくことが必要である。
| ★ | ニュース配信についての関係組織間の調整 | |
| ★ | 報道関係者の現場へのアクセス | |
| ★ | 公開する情報の種類・形式 |
◆スタッフ保護
AEPには、空港スタッフが危険にさらされる場合に備えて、避難または屋内退避といった保護活動に関する規定を設ける必要がある。最も重要な点は、この保護活動の実施を発動する権限について規定することである。
◆警察・セキュリティ
AEPには、航空機事故への対応に関する警察・セキュリティ部門の活動について記述する。この場合、次の事項を含む必要がある。
| ★ | 現場のセキュリティの確保 水域での事故の場合でも、現場のセキュリティは確保されなければならない。これについては、沿岸警備隊または他の適切な組織が担当する。 |
|
| ★ | 相互支援組織からのサポートの可能性の確認 | |
| ★ | 緊急車両の事故現場の出入を円滑にするために必要となる交通・アクセス規制ポイントの設置 | |
| ★ | 現場の対応スタッフの識別方法の確立(ビブス、腕章等) |
◆消防と救急・救命
AEPには、航空機事故への対応に関する消防・救助活動について記述する。この場合、次の項目を含む必要がある。
| ★ | 水域からの陸上アクセス地点から被害者受入れ・搬送場所までの経路 | |
| ★ | 相互支援協定を締結している緊急事態対応組織への通報・通知項目 具体的には次のようなもの。 |
| - | 事故現場の位置 | |
| - | 事故現場までの経路 | |
| - | 待機場所と集合場所 | |
| - | 追加の装備とスタッフ |
| ★ | ICPの特定方法 |
◆保健・医療
保健・医療活動については、航空機事故の現場と病院に分けてAEPに記述する。
| ★ | 保健・医療活動の計画と手順 次の事項について記述する。 |
| - | 周辺地域のEOCとの調整・統合方法 | |
| - | 医療施設とスタッフへの事故の通報・通知方法 | |
| - | 航空機の種類と施設の収容能力 医療サービスは就航している最大航空機の最大搭乗者数を対象とする。 |
|
| - | 医療サービス支援組織・スタッフのリスト 空港および周辺地域の救助隊、救急サービス、軍事施設、政府機関のスタッフと装備をリストアップする。 |
|
| - | 医療コーディネータの指名 医療コーディネータは事故現場で緊急医療活動を指揮する。また、次の事項を担当する。 |
| ・ | 相互支援医療サービスと救急サービスへの通報・通知ならびにスタッフが待機場所に到着したことの確認 | |
| ・ | 負傷者のトリアージ、治療と医療施設への搬送のために必要な措置の段取り | |
| ・ | 医療用品の補充の手配(必要に応じて) | |
| ・ | 歩行可能な負傷者の判定のサポート |
| - | 負傷者搬送責任者の指名 負傷者搬送責任者は次の事項を担当する。 |
| ・ | 病院および医療関係者への通報・通知の確認 | |
| ・ | 負傷者の適切な医療施設への搬送の指示 | |
| ・ | 負傷者の氏名、搬送先医療施設と搬送機関の記録 | |
| ・ | 搬送中の負傷者の状況に関する病院への通報・通知 |
| ★ | 事故現場における医療サービス トリアージ、初期治療および医療施設への負傷者の搬送を実施する。これは水域からの陸上アクセス地点において実施する場合がある。 |
|
| ★ | 病院における医療サービス 次の事項について記述する。 |
| - | 空港および周辺地域において医療サービスが提供可能な病院や医療施設の名称、所在地、連絡先と緊急時の収容能力 | |
| - | 空港から病院までの距離とヘリコプタの受入れ能力 | |
| - | 病院とICPとの間の通信手段の確保方法(必要に応じて) |
◆リソース管理
AEPには、リソース管理に関して、航空機や危険物の撤去・除去に関係する組織や外部業者を特定するための規定について記述する。
◆概要
空港には、集会、暴動、事故、自然災害等、様々な理由で大勢の人々が集まる可能性がある。いずれの場合も、これらの群衆は、意図せずに、あるいは意図的に空港の運用を妨害する可能性がある。
◆目的
このセクションでは、群衆コントロールが必要となるインシデントや何らかの問題(以下、群衆事案と称す)が発生した場合の対応活動について記述する。これは、AEPの基本計画ならびに機能別計画と併せて、SOPとチェックリストに含まれるべき事項の基本となる。
◆状況と想定
このセクションでは、群衆事案に関する状況を表す上で必要となる事項について記述する。具体的には次のようなものである。
| ★ | 落ち着きのある群衆 有名人が到着あるいは出発する場合等にできる群衆は、一般に、穏やかで、落ち着いていて、統制しやすい。具体的には、次のような場合である。 |
| - | 要人、著名人、アスリート等の到着または出発 | |
| - | 航空会社等による乗客の歓迎レセプション | |
| - | 航空ショー等、イベントにおける航空機の展示 | |
| - | 航空機のインシデント・アクシデント |
| ★ | 注意を要する群衆 物議を醸す人物が到着・出発する場合等にできる群衆は、意図的な運航妨害や破壊行為といった騒動を引き起こす可能性があり、注意が必要である。例えば、次のような場合が考えられる。 |
| - | 物議を醸すような人物や団体の到着または出発 | |
| - | 全国的、地域的な社会秩序の不安定化 | |
| - | 国際的緊張状況の深刻化 | |
| - | 労働者・組合が支援するストライキの実施 |
◆運用
このセクションでは、群衆事案が発生した場合の空港の運用に関する対応活動として、次のような事項について記述する。
| ★ | 群衆事案に関する相互支援協定のリスト | |
| ★ | EOCの立上げ基準 | |
| ★ | 空港スタッフによる群衆事案への対応および復旧活動と手順 |
◆組織と責任の割当て
このセクションでは、群衆事案が発生した場合の対応活動について記述する。
| ★ | ATCT |
| - | 航空機運航事業者に対して情報を提供したり、指示を与えたりする。 | |
| - | 緊急事態対応活動に必要となる航空および地上交通管制業務を提供する。 |
| ★ | 空港管理者 |
| - | 落ち着きのある群衆への対応 有名人が到着あるいは出発する場合等、人々が空港に集まる可能性が高いことを事前に把握できれば、十分な計画を立てることにより群衆コントロールに要する労力を最小限に抑えることができる。 |
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| - | 注意を要する群衆への対応 物議を醸す人物が到着・出発する場合等で群衆により引き起こされる騒動の状況を予測することは困難である。しかし、事前に信頼できる情報を収集できれば、講ずべき対策の種類と範囲を決定することができる。 |
| ・ | 情報収集 社会不安が高まったり、国際情勢が緊迫したりしたときには、反体制派の動向について特に警戒する必要がある。場合によっては、警察等から事前に警告を受けて準備時間を十分に確保できることもあろう。 |
|
| ・ | 説明会 航空会社や空港テナントに対して、予想される騒動に対応するために空港セキュリティ部門が講ずる措置について説明する。この場合、航空会社、空港テナント等の関係者が、公衆安全と空港運用の両方を確保するために講ずべき措置を具体的に示す。 |
|
| ・ | 高リスク区域 次の区域は潜在的に騒動が引き起こされるリスクの高い区域である。 |
| ・ | エプロンに通ずる出入口 エプロンに通ずるすべての出入口は閉鎖する。ただし、必要とするセキュリティレベルに応じて、1つまたは複数の出入口を開放しておくことについて検討する。また、重要な出入口には無線通信機器を所持した警備員を配置する。 |
|
| ・ | 燃料貯蔵区域 安全対策を実施して、群衆による騒動と火災の危険性がなくなるまで継続する。 |
|
| ・ | 駐車場ならびに駐車場・ターミナルビル間の通路 駐車場と駐車場・ターミナルビル間の通路の管理を十分に行う。 |
| ・ | 照明 照明に関して次の対策を講ずる。 |
| ・ | 重要な施設のある建物の周囲への照明装置の配備 | |
| ・ | 入退場ゲートにおける適切な照明の確保 | |
| ・ | 制御装置と電源の適切な場所への設置 | |
| ・ | 投光器を備えている緊急車両やサービス車両によるフェンスの巡回 | |
| ・ | エプロン、誘導路、ターミナルビル、道路等、空港全体における照明の状況の定期的な確認 | |
| ・ | 使用頻度が低かったり、一時的に使用されるだけだったりする区域の、可搬式投光器を用いた監視 |
| ・ | 建物ならびにエプロンの警備 警備に関して次の対策を講ずる。 |
| ・ | 緊急出入口 AOAに通ずるすべての緊急出入口は施錠する。 |
|
| ・ | 搭乗ゲート 搭乗ゲートは、実際の搭乗および降機時を除いて施錠し、特に重要な区域では警備員を配置する。搭乗ゲートでは、身元が確認され、許可された人に限定して通過を許可する。 |
|
| ・ | 警報システム 設置されている警報システムに関する情報は厳重に管理する。 |
| ★ | 消防・救助部門 群衆による騒動は、本来警察・セキュリティ部門の事案であるが、火災事件に進展する可能性に留意する。火災は騒動の1時間から数日後に発生する可能性がある。 |
|
| ★ | 警察・セキュリティ部門 |
| - | 群衆事案に責任をもって対応する。 | |
| - | 個人の権利と財産の保護に十分に配慮する。 | |
| - | 相互支援組織と連携を図る(必要に応じて)。 | |
| - | インテリジェンスレポートや騒動の種類に応じて治安体制を強化する。 |
| ★ | 救急医療サービス部門 現場の状況を注視して、必要に応じて緊急医療サービスを提供する。被害者の多いことが予想される場合は、追加の救急処置室や医療ブースを設置するとともに、救急車を待機させておく。 |
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| ★ | 空港テナント 想定される状況に応じてセキュリティを強化する。スタッフがオフィスにいる間はすべてのドアを閉め、可能であれば施錠する。勤務時間外はすべてのドアを施錠する。 |
◆管理とロジスティクス
このセクションでは、群衆事案に特有のサポート要件について記述する。
◆計画策定と維持
このセクションでは、群衆事案への対応計画を最新の状態に保つとともに、SOPおよびチェックリストを策定・アップデートする方法について記述する。
◆権限と参照先
このセクションでは、群衆事案に関する法令、規則等について記述する。
ハザードが群衆コントロールの必要となる事案である場合のAEPを作成する上で特に必要となる事項は次のとおり。
◆概要
空港管理者の主な役割は、ほとんどの場合、周辺地域の警察・セキュリティ組織と連携して、計画、対応と復旧活動を調整することである。
◆指揮統制
| ★ | 群衆事案に関しては、警察・セキュリティ部門が主導する。 | |
| ★ | 現場における対応活動の管理にはICSの使用が推奨される。 | |
| ★ | 必要に応じて現場の管理体制について記述するとともに、次の事項について付録として記述する。 |
| - | 騒動発生の可能性について判定する手順 | |
| - | 群衆事案が発生した際に使用するICS |
◆緊急情報の公表
次の事項について付録として記述する。
| ★ | 群衆事案発生の可能性について空港スタッフに対して事前に教育する方法 | |
| ★ | 群衆事案発生時の広報スタッフの役割と組織上の位置づけ |
◆消防・救助関連事項
消防車両は、空港内の指定場所に分散配備して、必要に応じて直ちに対応できるようにする。
◆リソース管理
| ★ | 群衆事案が発生した場合、空港スタッフの招集や資機材の搬入がすぐにはできない可能性がある。そのため、AEPには次の事項について記述する必要がある。 |
| - | 不審者の立入りを防止するための空港アクセス道路の閉鎖、交通規制やアクセス規制 | |
| - | 空港外にいるスタッフを速やかに空港へ招集する方法 | |
| - | 緊急事態に対応するために他の地域から招集されたスタッフへの対応 |
| ★ | リソース管理において考慮すべき項目は次のとおり。 |
| - | 緊急事態対応スタッフとして識別可能なパス、バッジ、カード等の準備・配布 | |
| - | 緊急事態対応スタッフの待機場所の指定 | |
| - | 周辺地域の緊急事態対応組織との調整 | |
| - | トレーニングプログラムやニュースレターによるこれらの項目についての周知 |
◆SOPとチェックリスト
群衆事案への対応計画におけるSOPとチェックリストに記載する事項は次のとおり。
| ★ | 緊急事態への対応中 対応方法は群衆の特性に応じて異なったものとなる。 |
|
| ★ | 緊急事態の発生後(復旧中) チェックリストは空港の通常運用への復帰に向けたものとする。 |
参考資料
Airport Emergency Plan, AC 150/5200-31C, FAA, 2009.
(続きは次回)
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