八谷 好高 客員研究員(SCOPE)
空港の緊急時対応計画について米国のものを事例として考察しています。空港として確保しなければならない機能別の対応計画に引き続き、ハザード別のものを取り上げています。今回は、危険物質・有害物質事故、違法妨害行為と航空機移動区域における照明設備の電源障害に対する緊急時対応計画です。
◆概要
危険物質・有害物質(以下では危険物と称す)については、その種類と量の増加により、生産、利用そして流通システムのあらゆる段階において緊急事態へ備える必要性が⾼まっている。危険物の放出(流出含む)は、人々の生命、健康や財産にとって大きなリスクであり、場合によっては空港の一部または全体からの退避、さらには周辺地域からの避難が必要となる状況をもたらすことにもなる。
| ★ | 危険物 危険物とは、放出された場合に人々の健康、安全や財産にとって脅威となるあらゆる物質または材料と定義される。これには、爆発物、放射性物質、可燃性液体・固体、毒物、酸化剤および腐食性物質といったものが含まれる。 |
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| ★ | 高リスク地域 一般的に、⾼速道路、鉄道、パイプライン、河川、港湾区域等がある地域においては、危険物の輸送に際して事故の発生するリスクが⾼い。また、危険物を生産、処理または保管する施設や危険性廃棄物を処理、貯蔵または処分する施設がある地域においても事故発生のリスクが高い。これらのリスクは、洪水、地震等の自然災害が発生した場合により深刻なものとなる。多くの空港はこれらの高リスク区域内またはその近傍に位置している。 危険物が航空機により輸送される場合には、空港内、すなわち、貨物ターミナルビル、貨物エプロン、燃料貯蔵所、航空機の貨物室等に保管される。その種類は多岐にわたり、具体的なものとして、爆発物、圧縮ガス、液化ガス、可燃性液体または固体、酸化剤、有毒物質、感染性物質、放射性物質、腐食性物質が挙げられる。 |
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| ★ | リスク評価 空港にとって脅威となる危険物事故の発生源には上記のように様々なものがあることから、空港緊急時対応計画 (AEP)には次の事項について記述する必要がある。 |
| - | ハザード分析により得られた主な知見 | |
| - | 空港周辺における危険物事故発生のリスクが高い施設 | |
| - | 地理的特徴、環境面で危険物事故の影響を受ける地域、交通ルートとそれらの地図 | |
| - | 主要な人口特性 | |
| - | 気候と気象 | |
| - | 事故への対応が十分にできない恐れのある時期や一日のうちの時間帯 | |
| - | 空港に保管されたり、空港を経由したりする危険物の種類 これについては航空会社を含む空港テナントを計画策定プロセスに参加させる必要がある。 |
| ★ | 規制・規則 危険物事故への対応に関する規制や規則はいくつかある。たとえば、米国連邦規則には有害廃棄物処理および緊急対応 (29 CFR part 1910)や労働者保護 (40 CFR part 311)が規定されているほか、多くの州では独自の規制・規則が設けられている。 |
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| ★ | トレーニング 緊急事態対応スタッフは、役割に応じたトレーニングを受ける必要がある。このトレーニングについては、内容のレベルを保持するとともに、内容自体を更新することが肝要であり、スタッフは毎年トレーニングを受けることが必須である。 |
| - | 発見者レベル これは危険物の放出事故を発見する可能性の高いスタッフが対象である。具体的には、点検や警備を担当するスタッフ、航空会社スタッフ等が挙げられる。 |
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| - | 初動対応者レベル これは、現場における初動対応の一環として、危険物が放出された場合またはその可能性がある場合に対応するスタッフが対象である。具体的には、航空機救難消防部門 (ARFF)のスタッフである。このトレーニングは、危険物の放出事故から人々、財産や環境を保護することを目的として実施するものである。危険物の放出を阻止しようとするためではなく、あくまで防御的な対応をとるためのものであることに注意する必要がある。 |
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| - | 危険物事故対応技術者レベル これは、危険物放出・拡散の阻止を担当するスタッフを対象としている。通常、州または周辺地域の自治体の危険物事故対応チームのメンバーである。 |
| ★ | 緊急事態対応組織 危険物事故への対応に関する規制・規則は州によって異なる場合があるため、周辺地域の緊急事態対応組織と緊密に連携する必要がある。なお、これらの組織の多くはすでに潜在的な高リスク地域を特定していよう。 |
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| ★ | 脆弱区域 危険物に関連する施設の位置と危険物の種類がわかれば、危険物事故の影響を受けやすい区域、すなわち脆弱区域を特定できる。多くの場合、施設自体あるいは周辺地域の緊急事態対策組織がすでにこの特定作業を実施していることから、それらの組織と情報を共有することが肝要である。 脆弱区域のうち最も広範囲となるものは大気放出される危険物の影響を受ける区域であり、風向が不確実であることを考慮して、発生源である施設を中心とする円形の範囲の外側に位置する交通ルートに沿う形で脆弱区域を設定する。これらの脆弱区域は、空港へ及ぼす影響という観点からその範囲を検討する必要がある。これは、航空機の進入および出発経路に関係する施設に対しても同様である。 |
◆目的
このセクションでは、危険物事故が発生した場合の対応活動について記述する。これは、AEPの基本計画ならびに機能別計画と併せて、標準作業手順 (SOP)とチェックリストに含まれるべき事項の基本となる。
◆状況と想定
このセクションでは、危険物事故に関して空港の状況を表す上で必要となる事項について記述する。具体的には次のようなものである。
| ★ | 空港内で危険物の使用、処理、貯蔵、輸送等を行っている施設の名称、所在地と物質名 | |
| ★ | 空港にとって脅威となる周辺の施設の名称、場所と物質名ならびに輸送ルート | |
| ★ | 空港の危険物事故対応チームの名称と所在 | |
| ★ | 危険物に関する連邦、州ならびに周辺地域の自治体の規制・規則を遵守するために必要となるトレーニングのレベル | |
| ★ | 危険物事故が発生した場合に緊急事態対応センタ (EOC)を立ち上げる条件 |
◆運用
このセクションでは、危険物事故が発生した場合の対応活動として、次のような事項について記述する。
| ★ | AEPと周辺地域等が有する緊急時対応計画との関係 | |
| ★ | 空港スタッフによる危険物事故への対応・復旧活動とその手順 | |
| ★ | 空港周辺地域のすべての緊急事態対応組織の対応・復旧活動 | |
| ★ | データや対応リソースを共有するための相互支援協定やその他の取り決めのリスト |
◆組織と責任の割当て
このセクションでは、危険物事故が発生した場合の対応活動について空港の部門別に記述する。
| ★ | 航空交通管制部門・管制塔 |
| - | 航空機運航事業者に対して情報を提供したり、指示を与えたりする。 | |
| - | 緊急事態対応活動に必要となる航空および地上交通管制業務を提供する。 |
| ★ | 消防・救助部門 |
| - | 定められた方針とトレーニングレベルに従って燃料流出やその他の危険物事故に対応する。 | |
| - | 危険物事故への対応と復旧活動を支援する。 | |
| - | 危険物事故対応チームを発足させる(必要に応じて)。 | |
| - | 保護措置が必要な場合には、警報・警告の発出プロセスを支援する。 | |
| - | 危険物事故対応チームのスタッフに適切な個人用保護具を提供する。 |
| ★ | 警察・セキュリティ部門 |
| - | インシデントコマンダ (IC)の要請に応じて、現場での警備に協力する。 | |
| - | 保護措置が必要な場合には、警報・警告の発出プロセスを支援する。 | |
| - | 相互支援組織と連絡をとり、全体的な交通規制を行う。 | |
| - | 航空機運用領域 (AOA)のアクセス管理・誘導を支援する。 | |
| - | 群衆コントロールを行う(必要に応じて)。 | |
| - | 空港における警察活動・セキュリティサービスを継続する。 |
| ★ | 救急医療サービス部門 |
| - | 現場で緊急医療サービスを提供する。これには次の事項が含まれる。 ・負傷者の収容、トリアージと治療 ・適切な医療施設への搬送と調整 ・死亡者への対応 ・医療用品の補充 ・危険物事故によるストレスマネジメントの支援(必要に応じて) | |
| - | 相互支援緊急医療サービス (EMS)を支援する(必要に応じて)。 |
| ★ | 空港管理者 |
| - | 一般事項 ・EOCを立ち上げる(必要に応じて)。 ・トレーニングレベルに応じて対応・復旧活動に参加する。 ・EOCを通じて緊急支援サービスを提供する(必要に応じて)。 ・空港の通常運用への復帰を準備する。 ・緊急事態対応スタッフが適切なトレーニングを受けていることを確認する。 |
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| - | 空港運用関連事項 ・インシデントコマンドシステム (ICS)へ参加して、現場を統括する ・保護措置について調整する(必要に応じて)。 ・適切なNOTAMを発行する(必要に応じて)。 ・空港の検査を実施する(必要に応じて)。 ・航空交通管制部門・管制塔 (ATCT)と空港運用について協働する。 ・同時に行われる他の対応・復旧活動をモニタリングして、必要に応じて協働する。 ・空港テナントが提供可能なリソースの活用について調整する。 |
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| - | メンテナンス関連事項 ・ユーティリティシステム・サービスを含む基幹サービスの提供を支援する(必要に応じて)。 ・保護措置の実施を支援する。 ・施設の安全性について検査する(必要に応じて)。 ・空港の運用を延長する場合に公衆衛生サービスを提供する。 ・必要なリソースの提供を支援する。 ・EOCの活動に参加する。 ・施設の復旧を支援する。 |
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| - | 空港運営・管理関連事項 ・適切な予算編成、支払い等に関するサービスを提供する。 ・調達サービスを提供する。 ・人事管理サービスを提供する。 ・EOCの活動に参加する。 ・危険物事故の全体的な管理を行う組織を立ち上げる(必要に応じて)。 |
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| - | 広報・周辺地域対応関連事項 ・現場においてメディアや緊急事態対応組織に対応する。 ・空港の状況に関するプレスリリースを提供する。 ・EOCの活動に参加する。 |
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| ★ | 航空機所有者・運航者 航空機が直接関係している場合に次の対応をする。 ・ICの要請に応じて現場で支援を提供する。 ・EOCの活動に参加する。 ・ニュースリリースを速やかに提供する。 |
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| ★ | 空港テナント ・自主的に必要な支援を行う。 |
◆管理とロジスティクス
このセクションでは、危険物事故に特有なサポート要件について記述する。危険物事故の特殊性を考慮すると、リソース管理や標準的な方針・手順について調整が必要である。
◆計画策定と維持
このセクションでは、危険物事故への対応計画を最新の状態に保つとともに、SOPおよびチェックリストを策定・アップデートする方法について記述する。
◆権限と参照先
このセクションでは、空港における危険物事故に関する法令、規則等について記述する。
このセクションでは、ハザードが危険物事故である場合のAEPを作成する上で特に必要となる事項について記述する。
◆概要
空港管理者の主な役割は、ほとんどの場合、周辺地域の危険物事故対応組織と連携して、計画、対応と復旧活動を調整することである。空港とその周辺地域において危険物放出事故による被害を受ける施設や交通ルートの情報を確認し、脅威のレベルならびに必要となる対応活動を決定する必要がある。
◆指揮統制
危険物事故に関しては、その対応活動を指揮統制するためにICSを活用することが義務づけられている。
| ★ | 対応活動 必要に応じて現場の管理体制について記述するとともに、次の事項について付録に記述する。 |
| - | 直接関与する対応組織、空港、周辺地域の対応組織への通報の手順 ・最初の報告以降可能な限り多くの情報を発信する。 ・可能であれば、対応スタッフが健康被害を受ける前に、対象となる危険物と放出事故の重大性を特定する。 |
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| - | ICSの活動 ・ICを特定し、EOCにICとインシデント指揮所 (ICP)の場所を通知する。 ・対応スタッフに適切な保護具を所持して着用させる。 ・対応スタッフ以外の人々を風下方向に移動させる。 ・資格を有するスタッフのみを対応活動に関与させる。 ・保護シェルタへの退避または人々の避難が必要となる、保護措置区域を設定する。 ・危険物が液体の場合には、拡散を阻止するために溝や堤防を設けて後で除去できるようにするとともに、蒸発を防ぐために遮水シートで覆う措置を講ずる。 |
| ★ | 追加通報 危険物事故に関する通報は、事業者、運送業者、施設管理者といった責任主体が行う。この場合、州や周辺地域の自治体が事故の通報に関して独自に設けている規定に従うことも必要である。これらの通報のうち、空港管理者が責任を負うものについてその内容を明確にする必要がある。 |
| - | 危険物の輸送事故の場合は、化学製品輸送緊急センタに通報する。 | |
| - | 放射性物質が関係する事故の場合は、州の公衆衛生局または環境局に通報する。 | |
| - | 感染性物質が関与する事故の場合は、州または周辺地域の自治体の保健局に通報する。 |
| ★ | 危険物事故による被害を受けた区域への立入り |
| - | 立入りに関する安全性を確認するプロセスを確立する。 | |
| - | 安全が確認されるまでその区域へのアクセスを制限する手順を確立する。 | |
| - | 環境モニタリングと廃棄物処分に関する州および周辺地域の自治体の規制・規則を遵守するプロセスを確立する。 |
◆警報と警告
危険物事故は、通常、警告なく発生し、その影響の広がり方や速さは事故によって異なる。空港で発生した小規模な事故については、内部放送、拡声器や電話、無線あるいは対面により周知することになる。この場合、空港内には騒音レベルの⾼い区域があることを考慮する必要がある。また、大規模な危険物事故は空港外での事故がきっかけとなる可能性が⾼く、その場合には、周辺地域の自治体が地域全体を対象とした警報システムを活用して警報・警告を発出するので、空港として必要な保護措置について対応できるように準備しておく。
次の事項については、必要に応じて、付録として記述する必要がある。
| ★ | 警報・警告発出の方法と責任者 空港に影響を及ぼす可能性のある危険物の放出事故について、空港スタッフ、一時滞在者、航空機運航事業者等へ通知する方法 |
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| ★ | 注意喚起と警報・警告について周辺地域の自治体と調整するプロセス |
◆緊急情報の公表
危険物事故発生時に人命と財産を保護するためには、正確な情報を迅速に発信することが肝要である。このセクションでは、事故発生時の通報、情報更新および指示の作成と伝達に関する規定について記述する。次の事項については、必要に応じて、環境影響評価書の付録として記述する。
| ★ | 緊急事態発生時の保護措置に関して、緊急事態発生前に空港スタッフに周知する方法 | |
| ★ | 緊急時における広報スタッフの役割と組織上の位置付け | |
| ★ | 危険物事故による健康被害の公表方法 | |
| ★ | 個人の保護措置に関する具体的な方法と指示 |
◆保護措置
| ★ | 避難 危険物事故発生時の避難計画が他の避難計画と異なる点のうち、最も重要なものは初期活動に関するものである。これについては個々の状況に基づいてICが決定する。 |
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| ★ | 屋内退避 保護措置として避難は必ずしも望ましい選択肢ではなく、場合によっては屋内退避が適切なものとなることもある。化学物質によっては濡れタオルの使用や換気システムの停止で十分な場合があるし、また危険物の空気中への拡散が人々の避難よりも速い場合もある。なお、危険物事故が地震、洪水等、他の災害に起因する場合には、それらに関連する事項を考慮して保護措置を決定する必要がある。 |
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| ★ | その他 次の事項については、必要に応じて、付録として記述する。 |
| - | 保護措置に関する意思決定のプロセスと規準 | |
| - | 空港スタッフに対する保護措置に関する教育の方法 | |
| - | 空港スタッフ、一時滞在者等に適する屋内退避の方法 |
◆警察・セキュリティ関連事項
危険物事故への対応において警察・セキュリティに関連する事項について記述する。
◆消防・救助関連事項
次の事項について付録として記述する。
| ★ | 危険物事故への対応に関する主な活動 | |
| ★ | 危険物事故への対応能力・責任を有する公的および民間の消防組織の名称 | |
| ★ | 緊急事態対応ガイド、保護具使用ガイド、相互支援協定等、利用可能な支援システム | |
| ★ | 周辺地域の危険物処理チームのリスト |
◆保健医療関連事項
次の事項について必要に応じて付録として記述する。
| ★ | 危険物事故によって生じる健康リスクに関する情報の提供 | |
| ★ | 次の機能を有する医療施設の指定 |
| - | 被曝した人々の除染と医療措置 | |
| - | 汚染物品(衣類、医療用品等の廃棄物)の処分 |
| ★ | 危険物放出事故の被害を受けた地域の水質と衛生状態のモニタリング | |
| ★ | 除染作業を担当するスタッフに対する医学的モニタリング |
◆リソース管理
次の事項について必要に応じて付録として記述する。
| ★ | 危険物事故への対応に必要な物品の購入、取得および備蓄方法 これらの物品の供給業者の名称と連絡先を計画書に記載する。 |
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| ★ | 清掃ならびにその関連作業に対応可能な組織と事業者の名称 |
◆SOPとチェックリスト
危険物事故への対応計画におけるSOPとチェックリストに記載する事項は次のとおり。
| ★ | 緊急事態の発生前 |
| - | 潜在的なリスクを有する空港内の施設に対する定期点検のチェックリスト | |
| - | 潜在的なリスクを有する空港内の施設における事故に対する事前の対応計画 |
| ★ | 緊急事態への対応中 空港運用、メンテナンス、運営・管理、ARFF、警察、救急医療サービス、テナント等の対応活動に関するSOPとチェックリストを作成する。 |
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| ★ | 緊急事態の発生後(復旧中) 復旧活動は、危険物事故の重大性、被害の規模、被害を受けた施設・機器およびリソースの可用性によって異なったものとなる。復旧活動には次のものが含まれる。 |
| - | 状況分析チームの編成 空港の関係する部門、テナント等から構成される状況分析チームを編成する。この場合、状況分析チームは、被害状況の定期的な査定と危険物事故対応計画の記載事項について分析する。具体的には次のようなものである。 ・被害状況の最終的な査定 ・情報の公表 ・インフラの補修 ・リソースのリスト化と補充の状況 ・費用 ・実施した措置 ・スタッフの勤務状況ならびにストレスの状況(必要に応じて) ・機器の使用状況 ・清掃活動 ・AOAの検査 |
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| - | 適切なNOTAMの発行 | |
| - | 対応活動全体の評価 対応活動全体を評価して、得られた教訓を計画およびトレーニングプログラムに盛り込む。 |
◆概要
破壊行為、ハイジャック等、航空機の運航に対する違法な妨害行為は空港に大きな影響を及ぼす。これらの違法妨害行為に関する情報は、空港セキュリティプログラム (ASP)にある機密セキュリティ情報(SSI)に相当し、必要な場合にのみ公開される。
◆目的
このセクションでは、ハイジャック等の違法妨害行為が発生した場合の対応活動について記述する。また、この違法妨害行為対応計画は、AEPの基本計画ならびに機能別計画と併せて、SOPとチェックリストに含まれるべき事項の基本となる。
◆状況と想定
破壊行為、ハイジャック等の違法妨害行為への対応手順は、米国連邦規則 (49 CFR Part 1542)に規定されているASPに則って確立されている。FAAとFBIおよび運輸省と国務省の間で締結された覚書において、これら違法妨害行為に関する責任が定められている。
ただし、これらの組織・機関による対応には時間を要する可能性があるため、空港管理者はその間の対応活動を準備しておくことが肝要である。
◆運用
このセクションでは、空港において違法妨害行為が発生した場合の対応活動について記述する。
違法妨害行為には、FAA、FBI、航空会社等、多くの組織・機関が関与し、また状況もそれぞれ異なるため、空港管理者は、すべての関係者により構成される計画会議を開催し、それぞれの役割と責任を明確にする必要がある。この場合に検討すべき事項には次のようなものがある。
| ★ | 担当組織・機関が到着するまでに、空港管理者、特に警察・セキュリティ部門のスタッフが取るべき行動 | |
| ★ | 対応活動の拠点となるEOCまたはその他の指揮所の設置の必要性と所在 | |
| ★ | 追加の電話回線やその他の通信手段等、必要なリソース | |
| ★ | 航空機のリモートスポット使用の必要性とリモートスポットの位置 | |
| ★ | メディア対応に関する責任 |
◆組織と責任の割当て
このセクションでは、違法妨害行為に対応する組織とその責任について記述する。
◆管理とロジスティクス
このセクションでは、違法妨害行為に特有のサポート要件について記述する。その特殊性のため、専門的なリソース、方策および手順を用いなければならない場合がある。
◆計画策定と維持
このセクションでは、違法妨害行為への対応計画の改訂について調整して、それを最新の状態に保つ方法ならびにSOPとチェックリストを策定・更新する方法について記述する。
◆権限と参照先
このセクションでは、違法妨害行為に関する法令、規則等について記述する。
◆概要
航空機運用区域 (AOA)における照明設備の電源障害は、空港の運用に影響を及ぼす可能性がある。
◆目的
このセクションでは、AOAの照明設備の電源障害が発生した場合の対応活動について記述する。また、この電源障害への対応計画は、AEPの基本計画ならびに機能別計画と併せて、SOPとチェックリストに含まれるべき事項の基本となる。
◆状況と想定
このセクションでは、次の事項について記述する。
| ★ | 電力供給会社の名称 | |
| ★ | 代替電力供給会社の名称 | |
| ★ | バックアップ電源装置の詳細 |
| - | 所在 | |
| - | サイズ、燃料の種類と容量 | |
| - | サービス提供可能範囲 | |
| - | テストならびに予防保守のスケジュール |
◆組織と責任の割当て
このセクションでは、照明設備の電源障害が発生した場合の対応活動について空港の部門別に記述する。
| ★ | ATCT |
| - | 適切なNOTAMを発行する(必要に応じて)。 | |
| - | メンテナンススタッフに通報する。 | |
| - | 航空関係者に状況を通知する(必要に応じて)。 |
| ★ | FAA |
| - | 定期的・予防的メンテナンスを実施する。 | |
| - | 定期的なテストを実施する。 | |
| - | 発電機を作動させる(必要に応じて)。 | |
| - | 緊急事態収束後に、原因を特定して是正措置を講ずる。 |
| ★ | メンテナンス部門 |
| - | 定期的・予防的メンテナンスを実施する。 | |
| - | 定期的なテストを実施する。 | |
| - | 発電機を作動させる(必要に応じて)。 | |
| - | 緊急事態収束後に、原因を特定して是正措置を講ずる。 |
| ★ | 空港管理者 |
| - | 発電機のテストが実施されていることを確認する。 | |
| - | 必要なNOTAMが発行されていることを確認する。 |
◆SOPとチェックリスト
照明設備の電源障害への対応計画におけるSOPとチェックリストに記載する事項は次のとおり。
| ★ | 緊急事態の発生前 |
| - | 発電機の定期的・予防的メンテナンス実施時のチェックリスト | |
| - | 空港管理者による自己安全点検時のチェックリスト |
| ★ | 緊急事態への対応中 次の事項を可能とするためのチェックリストを作成する。 |
| - | 電源障害対応スタッフへの速やかな通報 | |
| - | NOTAMの速やかな発行 | |
| - | 発電機の速やかな始動 |
| ★ | 緊急事態の発生後(復旧中) |
| - | 空港点検実施時のチェックリストの修正(必要に応じて) | |
| - | 対応活動全体の評価とそのトレーニングプログラムへの反映 |
参考資料
Airport Emergency Plan, AC 150/5200-31C, FAA, 2009.
(続きは次回)
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