八谷 好高 客員研究員(SCOPE)
空港の緊急時対応計画について米国のものを事例として考察しています。空港として確保しなければならない機能別の対応計画に引き続き、ハザード別のものを取り上げています。今回は、自然災害のうち、地震と竜巻に対する緊急時対応計画です。
◆概要
地震は、通常地表から15~30 kmの範囲にある岩盤の急激な変位によって引き起こされ、世界のあらゆる地域で発生し得る。
| ★ | 二次的ハザード 地震によって、火災、有害物質の漏出、地すべり、ダムの崩壊など、二次的な被害が生じる可能性がある。 |
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| ★ | 震度 米国では、地震の揺れの大きさを表す震度として現在改正メルカリ震度階級*1 が使用されている。これは、過去に観察された構造物や人への影響に基づく指標で、震度をI~XIIの12段階に分けている。 |
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| ★ | 高リスク地域 全米で39の州が重大な地震被害の脅威にさらされており、地震の高リスク地域とされている。空港緊急時対応計画 (AEP)策定チームは、州の地震ハザード情報を使用して、空港および周辺地域の地震ハザード・リスクについて詳細な評価を実施する。これはハザード分析プログラムの一環として実施する必要がある。 |
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| ★ | リスク評価 AEP策定チームは、地震による被害を受けやすい施設、設備等を特定するためにリスク評価を実施する。これに基づき、最悪シナリオを想定して地震対応計画を策定する必要がある。このリスク評価では、地震の被害を受けやすい施設について詳細に記述する。 |
◆目的
このセクションでは、AEPの基本計画を補足する形で、地震発生時の対応活動について記述する。これは標準作業手順 (SOP)とチェックリストに含むべき事項の基本になる。
◆状況と想定
地震が発生したときの状況について事前に想定する。具体的には、ハザード分析により得られた、起こり得る事象、地震による被害を受ける可能性のある施設ならびに断層線、地理・地形的特徴と地図、環境面で影響を受けやすい区域と交通ルート、関連する気候・気象要因、そして1日のうち地震への対応が十分にできない恐れのある時間帯に関するものである。
このセクションでは、次のような事項について記述する。
| - | 地震に対する空港の脆弱性(断層線までの距離等) | |
| - | 周辺地域全体に及ぼす影響、特に対応・復旧用リソースへの影響 大規模地震の影響は広域に及ぶため、空港外部のリソースの利用には大きな制約を受ける。 |
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| - | アクセス道路や橋の脆弱性ならびにそれらが使用できなくなった場合の影響 | |
| - | 耐震構造を有する空港施設 | |
| - | 重要施設を支えるユーティリティおよび通信・電力等インフラの代替手段 | |
| - | 最悪シナリオ ピーク時間帯や深夜に地震が発生した場合といったものが該当する。 |
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| - | 地震発生中・直後に使用不可能になる可能性のある通信手段 |
◆運用
このセクションでは、地震時における空港の運用に関する対応活動として、次のような事項について記述する。
| - | 対応活動における空港と周辺地域の責任分担 これには、空港、周辺地域、それぞれの緊急事態対応組織の役割と両者の協力関係が含まれる。 |
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| - | 緊急事態への対応活動の内容ごとの相互支援協定のリスト | |
| - | 緊急事態対応センタ (EOC)の立上げ規準 | |
| - | 緊急事態発生前、緊急事態対応中、そして緊急事態発生後(復旧中)までの一連の対応活動(事後が中心) | |
| - | SOPとチェックリスト | |
| - | トレーニング 地震時の対応活動に関するトレーニングプログラムを開発し、実行する。この場合、トレーニングに関して簡単に説明する必要がある。 |
◆組織と責任の割当て
このセクションでは、地震時の対応組織とその責任について記述する。その例として、次のような部門別のものが挙げられる。
| ★ | 空港管制塔 |
| - | FAAが所有・運用している施設・機器の損傷や可用性について検査する。 | |
| - | 空港管理者が滑走路、誘導路、エプロンを検査するまで、航空機の運航を制限する。 | |
| - | 適切なNOTAMを発行する(必要に応じて)。 |
| ★ | 消防・救助部門 |
| - | 資機材を屋外へ移動する。 | |
| - | 消火活動および救助活動を行う(必要に応じて)。 | |
| - | 緊急医療支援活動に協力する(必要に応じて)。 | |
| - | 燃料漏れやその他の潜在的危険物質に関する問題の有無について確認する。 | |
| - | 次の項目の点検に必要となる航空機救難消防 (ARFF)部門のリソースの状況を確認する。 ・建物 ・ガス、電気、水道、衛生設備 ・すべての電話機と通報・通知システム ・無線機とその関連機器・設備 ・警報システム |
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| - | 捜索、検査、保護等の活動を支援する。 | |
| - | 必要に応じてスタッフの配置を見直す。 | |
| - | 周辺地域の消防署と連携する(必要に応じて)。 | |
| - | 規定に従ってインシデントコマンドシステム (ICS)に参加する。 |
| ★ | 警察・セキュリティ部門 |
| - | 空港全体のセキュリティを直ちに確保する。 | |
| - | 相互支援協定下にある警察と共同で交通規制を実施する。 | - | 空港内での法執行・セキュリティサービスを継続して提供する。 |
| - | 次の項目の点検に必要となる警察部門のリソースの状況を確認する。 ・建物 ・ガス、電気、水道、衛生設備 ・すべての電話機と通報・通知システム ・無線機とその関連機器・設備 ・警報システム |
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| - | 捜索、検査、保護措置といった活動を支援する。 | |
| - | 要件を見直してスタッフを適切に配置する。 | |
| - | 周辺地域の警察署と連携する(必要に応じて)。 | |
| - | 規定に従ってICSに参加する。 |
| ★ | 救急医療サービス部門 |
| - | 資機材を屋外へ移動する。 | |
| - | 負傷者のトリアージと手当に必要な措置を講ずる。 | |
| - | 負傷者を適切な医療施設まで搬送する。 | |
| - | 次の項目の点検に必要となる救急医療サービス (EMS)部門のリソースの状況について確認する。 ・建物 ・ガス、電気、水道、衛生設備 ・すべての電話機と通報・通知システム ・無線機とその関連機器・設備 ・警報システム |
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| - | 捜索、検査、保護措置といった活動を支援する。 | |
| - | 要件を見直してスタッフを適切に配置する。 | |
| - | 周辺地域の救急医療サービス組織と連携する(必要に応じて)。 | |
| - | 死傷者の氏名、住所を記載した正確なリストを作成・保管する。 | |
| - | 歩行可能な負傷者や心的外傷者への医学的措置を実施する。 | |
| - | 医療用品の補充を行う(必要に応じて)。 | |
| - | インシデントによるストレスマネジメントを支援する。 | |
| - | 規定に従ってICSに参加する。 |
| ★ | 空港管理者 |
| - | 空港運用 ・空港の検査を実施する(必要に応じて)。 ・適切なNOTAMを発行する(必要に応じて)。 ・EOCを立ち上げる(必要に応じて)。 ・EOCを通じて緊急支援サービスを提供する。 ・周辺地域の緊急事態対応組織と連携する(必要に応じて)。 ・航空交通管制部門・管制塔と活動を調整する(必要に応じて)。 ・航空会社を含む空港テナントと連携して、それらが提供可能なリソースを活用する(必要に応じて)。 ・規定に従ってICSに参加する。 |
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| - | メンテナンス ・ユーティリティの確認等、重要なサービスの提供を支援する(必要に応じて)。 ・施設の安全性について検査する(必要に応じて)。 ・施設の復旧を支援する。 ・公衆衛生サービスの提供を支援する。 ・必要なリソースの提供を支援する。 ・EOCの活動に参加する。 ・規定に従ってICSに参加する。 |
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| - | 空港の運営・管理 ・調達サービスを提供する。 ・適切な予算編成、支払い等に関するサービスを提供する。 ・人事管理サービスを提供する。 ・EOCの活動に参加する。 |
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| - | 広報および周辺地域対応 ・広報に関してメディアと連携する(状況に応じて)。 ・空港の運用状況に関するプレスリリースを作成・提供する。 ・空港テナント間の連絡・調整を支援する。 ・EOCの活動に参加する。 |
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| - | 航空機所有者・運航者 ・EOCの代表を務める(必要に応じて)。 ・死亡または負傷した乗客の家族に連絡する。 ・死亡または負傷した乗客を支援する。 |
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| - | 空港テナント ・自主的にまたは契約に従って必要な支援を行う。 ・規定に従ってICSに参加する。 ・テナントが所有または運営している施設の損傷や可用性を確認する。 |
◆管理とロジスティクス
このセクションでは、地震に特有なサポート要件について記述する。地震は広範囲な地域に影響を及ぼすことから、リソースへのアクセスに制約を受けかねないので、リソース管理や相互支援といった項目に関する標準的な方針や手順の調整が必要となる場合がある。
◆計画策定と維持
このセクションでは、地震への対応計画を最新の状態に保つとともに、SOPおよびチェックリストを策定・アップデートする方法について記述する。
◆権限と参照先
このセクションでは、地震に関連する法令、規則等について記述する。また、ガイダンスや情報として使用するものについても記述する。
◆地震特有の検討事項
このセクションでは、ハザードが地震である場合のAEPを作成する上で特に必要となる事項について記述する。また、検討すべき地震特有の事項ならびに規制上必要となる事項についても記述する。
| ★ | 指揮統制 空港が地震による被害を受けた場合には、空港スタッフは被害に関する情報を迅速に収集することが肝要である。地震時の対応・復旧作業には様々な種類のものがあるため、統一されたコマンドシステムを使用することが推奨される。ここでは、次のような事項に関する規定について付録として記述する。 |
| - | 捜索および救助・消火 倒壊した建物に閉じ込められた人や負傷者の救出、応急処置、消火活動、重傷者の医療施設への搬送支援を行う。これには捜索救助犬の活用を含め、専門スタッフとボランティアの関与も必要になるが、通常ARFFとEMSが担当して行う。 特に首都圏で大地震が発生した場合には、対応能力を超えるような緊急サービスの要請が担当部局に殺到しよう。この場合、国が州や市町村が行う人命救助活動を支援するために統合国家都市捜索救助チーム*2 を設立して、倒壊した建物に閉じ込められた人の捜索、救出と応急処置を実施する。 |
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| - | 被害の査定 空港の被害状況、死傷者数、主要施設の状況を把握するために調査を実施する。この調査は、メンテナンス、施設とエンジニアリング部門がARFFとEMSの支援を受けて実施するものであり、調査結果は復旧プログラム策定時の基礎資料となる。 |
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| - | 瓦礫の除去 緊急事態対応活動の妨げとなる瓦礫や残骸等の特定、除去ならびに処分は最初に実施しなければならない活動である。具体的には次のようなものである。 ・主要な建物、道路、橋梁の解体または撤去 ・主要な建物、道路、橋梁の補修または一時的な補強 ・仮設物および道路の建設 これは通常、メンテナンス、施設とエンジニアリング部門が担当する。 |
| - | アクセスの制限 次の措置を迅速に講ずる(状況が許す限り)。 ・安全が確認されるまでのアクセスの禁止 空港全体が対象。なお、緊急事態対応活動に直接関与するスタッフは除外。 ・アクセス再開時期の決定(空港スタッフ・一般市民別) |
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| - | ユーティリティとライフラインの修復 重要なサービスへの影響を最小限に抑えるために、電力、ガス、上下水道および通信システムの復旧と修復を行う。 |
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| - | 空港構造物の検査、利用停止と解体 地震後に建築物、その他の構造物を検査して、立入りならびに使用の可否を判断する。具体的には、次のようなもの。 ・空港運用にとって不可欠な建物の検査 旅客ターミナルビル、管制塔、給油システム等、乗客や空港スタッフが立ち入る、または滞在する可能性のある建物を検査して、その安全性を確認する。 ・公共の安全にとって脅威となる可能性のある建物の点検 安全上の懸念から立入りを禁止しなければならない建物を特定する。 ・その他すべての建物の点検 立ち入る可能性のある建物を検査して、安全上の懸念がある建物を特定する。 ・使用禁止とされた建物の解体 |
| ★ | 警報と警告 地震は通常何の前ぶれもなく発生する。現時点では信頼性のある警告システムは存在するとは言えないので、AEPの策定時にはこの点を考慮に入れる必要がある。 |
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| ★ | 緊急情報の公表 地震、特に大地震発生時に生命と財産を保護するためには、正確な情報を迅速に発信することが肝要である。このセクションでは、空港スタッフに対する情報更新、警告、指示について記述する。具体的には、次のようなもの。 |
| - | 地震発生時ならびにその後の対応方法についての空港スタッフ用パンフレット | |
| - | 火災発生の危険性、危険性の高い区域と余震に関する警告とアドバイス | |
| - | 復旧段階における空港スタッフとテナントに対するガイダンス。次のような事項に関するもの ・下水道の状況 ・飲用水の安全性 ・ユーティリティの可用性 |
| ★ | 保護活動 被害を受けた建物、特に余震によりさらなる被害を受ける可能性のある建物からの避難について検討する。避難施設へ一時的に避難する必要がある場合には地域の緊急事態対応組織と協力して調整する。 |
◆SOPとチェックリスト
SOPとチェックリストに記載すべき事項は次のとおり。
| ★ | 緊急事態の発生前 |
| - | 地震に特化した施設の点検に関するSOP。これは、地震後の施設の安全性を評価するためにスタッフが使用できるもの | |
| - | 耐震性を有する施設のリスト | |
| - | 個人を対象としたSOP。空港テナントに対しても同様のSOPの作成を推奨する。 | |
| - | 必要なリソースのリスト。次のものを含む。 ・緊急用発電機の可用性 ・災害用品の保管施設 ・機器の固定装置 |
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| - | 地震時対応に関するトレーニングプログラムと演習 |
| ★ | 緊急事態への対応中 |
| - | 地震の規模に応じた対応方法 | |
| - | 空港の部門(運用、メンテナンス、管理、ARFF、警察、EMS、テナント等)別に実施すべき活動 |
| ★ | 緊急事態の発生後(復旧中) 復旧活動は、地震の規模、被害の程度、被害を受けた施設・設備・システムおよび利用可能なリソースによって異なる。これには次のものが含まれる。 |
| - | 各フェーズにおける空港広報担当者の役割と責任 | |
| - | 状況分析チームの編成 空港の関係部門、テナント等から構成される状況分析チームを編成する。状況分析チームは、個人の活動状況の確認、被害査定の実施ならびに次の事項を含むAEPの策定を行う。 ・被害状況の最終的な査定 ・情報の公表 ・インフラの補修 ・リソースのリスト化と補充の状況 ・費用 ・経済的インパクト ・実施した活動 ・スタッフの勤務状況ならびにストレスの状況 ・機器の使用状況 ・清掃活動 ・航空機運航区域 (AOA)の検査 |
| - | 適切なNOTAMの発行 | |
| - | 対応活動全体の評価 対応活動全体を評価して、得られた教訓を計画およびトレーニングプログラムに盛り込む。 |
◆概要
竜巻(トルネード)は、積乱雲で上昇気流を伴う激しい渦巻き風が発生して、地上付近にまで伸びたものである。その幅は300〜500 m、移動速度は20〜80 km/h、移動距離は最大80 km程度である。
| ★ | スケール 米国では、竜巻の規模を表す指標として、改良藤田スケール*3 が使用されている。これは、被害の程度に基づく分類で、竜巻をEF0~EF5の6段階に分けている。 |
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| ★ | 高リスク地域 竜巻は全ての州で発生しており、国全体の50%以上が竜巻の高リスク地域となっている。 |
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| ★ | リスク評価 AEP策定チームは、竜巻による被害を受けやすい施設、設備等を特定するためにリスク評価を実施する。これに基づき、最悪シナリオを想定して竜巻対応計画を策定する必要がある。このリスク評価では、竜巻の被害を受けやすい施設について詳細に記述する。具体的には次のようなもの。 |
| - | 安全な場所への移動・移設が必要になる機器、ツール、記録等のリソース | |
| - | 主要な施設や機器に電力を供給するための無停電電源装置 | |
| - | 竜巻の到達前にバックアップやシャットダウンをする必要があるシステム | |
| - | 退避が必要となる施設 |
◆目的
このセクションでは、AEPの基本計画を補足する形で、竜巻への対応活動について記述する。これはSOPとチェックリストに含むべき事項の基本になる。
◆状況と想定
このセクションでは、次のような事項について記述する。
| - | 竜巻に対する空港の脆弱性(ハザード分析に基づく) | |
| - | 竜巻用シェルターとして使用可能な建物 | |
| - | 重要施設を支えるユーティリティの竜巻に対する脆弱性とその代替手段 |
◆運用
このセクションでは、竜巻に対する空港の運用に関する対応活動として、次のような事項について記述する。
| - | 対応活動における空港と周辺地域の責任分担 これには、空港、周辺地域、それぞれの緊急事態対応組織の役割と両者の協力関係が含まれる。 |
|
| - | 緊急事態への対応活動の内容ごとの相互支援協定のリスト | |
| - | EOCの立上げ規準 | |
| - | 緊急事態発生前、緊急事態対応中、そして緊急事態発生後(復旧中)までの一連の対応活動 | |
| - | SOPとチェックリスト | |
| - | トレーニング 竜巻への対応活動に関するトレーニングプログラムを開発し、実行する。この場合、トレーニングに関して簡単に説明する必要がある。 |
◆組織と責任の割当て
このセクションでは、竜巻への対応組織とその責任について記述する。その例として、次のような部門別のものが挙げられる。
| ★ | 空港管制塔 |
| - | FAAが所有・運用している施設・機器の損傷や可用性について検査する。 | |
| - | 空港管理者が滑走路、誘導路、エプロンを検査するまで、航空機の運航を制限する。 | |
| - | 適切なNOTAMを発行する(必要に応じて)。 |
| ★ | 消防・救助部門 |
| - | 消火活動および救助活動を行う(必要に応じて)。 | |
| - | 緊急医療支援活動に協力する(必要に応じて)。 | |
| - | 燃料漏れやその他の潜在的危険物質に関する問題の有無について確認する。 | |
| - | 次の項目の点検に必要となるARFFのリソースの状況を確認する。 ・建物 ・ガス、電気、水道、衛生設備 ・すべての電話機と通報・通知システム ・無線機とその関連機器・設備 ・警報システム |
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| - | 捜索、検査、保護等の活動を支援する。 | |
| - | 必要に応じてスタッフの配置を見直す。 | |
| - | 周辺地域の消防署と連携する(必要に応じて)。 | |
| - | 規定に従ってICSに参加する。 |
| ★ | 警察・セキュリティ部門 |
| - | 空港内での法執行・セキュリティサービスを継続して提供する。 | - | 次の項目の点検に必要となる警察部門のリソースの状況を確認する。 ・建物 ・ガス、電気、水道、衛生設備 ・すべての電話機と通報・通知システム ・無線機とその関連機器・設備 ・警報システム |
| - | 捜索、検査、保護等の活動を支援する。 | |
| - | 要件を見直してスタッフを適切に配置する。 | |
| - | 周辺地域の警察署と連携する(必要に応じて)。 | |
| - | 規定に従ってICSに参加する。 |
| ★ | 救急医療サービス部門 |
| - | 負傷者のトリアージと手当に必要な措置を講ずる。 | |
| - | 負傷者を適切な医療施設まで搬送する。 | |
| - | 次の項目の点検に必要となるEMSのリソースの状況を確認する。 ・建物 ・ガス、電気、水道、衛生設備 ・すべての電話機と通報・通知システム ・無線機とその関連機器・設備 ・警報システム |
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| - | 周辺地域の救急医療サービス組織と連携する(必要に応じて)。 | |
| - | インシデントによるストレスマネジメントを支援する。 | |
| - | 規定に従ってICSに参加する。 |
| ★ | 空港管理者 |
| - | 空港運用 ・空港の検査を実施する(必要に応じて)。 ・適切なNOTAMを発行する(必要に応じて)。 ・EOCを立ち上げる(必要に応じて)。 ・EOCを通じて緊急支援サービスを提供する。 ・捜索、検査、保護等の活動を支援する。 ・要件を見直してスタッフを適切に配置する。 ・周辺地域の緊急事態対応組織と連携する(必要に応じて)。 ・航空交通管制部門・管制塔と活動を調整する(必要に応じて)。 ・航空会社を含む空港テナントと連携して、それらが提供可能なリソースを活用する (必要に応じて)。 ・規定に従ってICSに参加する。 |
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| - | メンテナンス ・ユーティリティの確認等、重要なサービスの提供を支援する(必要に応じて)。 ・施設の安全性について検査する(必要に応じて)。 ・施設の復旧を支援する。 ・公衆衛生サービスの提供を支援する。 ・必要なリソースの提供を支援する。 ・EOCの活動に参加する。 ・規定に従ってICSに参加する。 |
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| - | 空港の運営・管理 ・調達サービスを提供する。 ・適切な予算編成、支払い等に関するサービスを提供する。 ・人事管理サービスを提供する。 ・EOCの活動に参加する。 |
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| - | 広報および周辺地域対応 ・広報に関してメディアと連携する(状況に応じて)。 ・空港の運用状況に関するプレスリリースを作成・提供する。 ・空港テナント間の連絡・調整を支援する。 ・EOCの活動に参加する。 |
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| - | 航空機所有者・運航者 ・EOCの代表を務める(必要に応じて)。 ・死亡または負傷した乗客の家族に連絡する。 ・死亡または負傷した乗客を支援する。 ・航空機所有者・運航者が使用している施設を検査する。 |
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| - | 空港テナント ・自主的にまたは契約に従って必要な支援を行う。 ・規定に従ってICSに参加する。 ・テナントが所有または運営している施設の損傷や可用性を確認する。 |
◆管理とロジスティクス
このセクションでは、竜巻に特有なサポート要件について記述する。竜巻は広範囲な地域に影響を及ぼすことから、リソースへのアクセスに制約を受けかねないので、リソース管理や相互支援といった項目に関する標準的な方針や手順の調整が必要となる場合がある。
◆計画策定と維持
このセクションでは、竜巻への対応計画を最新の状態に保つとともに、SOPおよびチェックリストを策定・アップデートする方法について記述する。
◆権限と参照先
このセクションでは、竜巻に関連する法令、規則等について記述する。また、ガイダンスや情報として使用するものについても記述する。
◆竜巻特有の検討事項
このセクションでは、ハザードが竜巻である場合のAEPを作成する上で特に必要となる事項について記述する。また、検討すべき竜巻特有の事項ならびに規制上必要となる事項についても記述する。
| ★ | 指揮統制 竜巻の場合には、特に保護活動に関連して、入手した情報に基づいて緊急事態対応スタッフが迅速に行動することが不可欠である。竜巻が到達した場合には、状況が許す限り速やかに竜巻の被害を受けた区域の状況を調査する必要がある。これは、人的ならびに物的被害の深刻さと規模・範囲を判断するために不可欠である。 竜巻のリスクが高い空港では、ストームスポッタの活用やスポッタネットワーク*4 への参加を検討するとよい。これにより、竜巻の状況や進行方向に関する情報が迅速に入手でき、捜索救助活動、アクセス管理、瓦礫除去、空港再開、ユーティリティの復旧、建物やその他の構造物の検査・利用停止・解体といった、実施すべき対応活動とその優先順位付けが適切に行えよう。 必要に応じて、次の計画上考慮すべき事項に関する規定を作成する必要がある。 |
| - | 被害の査定 空港の被害状況を把握するために調査を実施する。 |
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| - | 捜索・救助 被害情報を活用して、閉じ込められた人や負傷者の捜索・救助の必要性がある施設を特定し、活動の優先順位を決定する。 |
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| - | アクセスの制限 竜巻により深刻な被害を受けた区域への立入りは、点検が終了するまで緊急事態対応スタッフに限定する。 |
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| - | 瓦礫の除去 緊急事態対応活動の妨げとなる瓦礫や残骸等の特定、除去ならびに処分を行う。具体的には次のようなもの。 ・滑走路、誘導路、エプロン、道路等からの障害物の除去作業 ・被害を受けた舗装の補修または補強 ・緊急迂回路およびアクセス道路の整備 |
| - | 空港構造物の検査、利用停止と解体 竜巻通過後に建築物、その他の構造物を検査して、立入りまたは使用の可否を判断する。これには、空港の運用にとって欠くことのできない建物の検査も含まれる。 |
| ★ | 警報と警告 竜巻に関しては一般市民への警報・警告が極めて重要である。一般市民はテレビ、ラジオ等を通じて米国国立気象局が発表するトルネードウォッチとトルネードワーニング*5 に関する情報を入手可能である。必要に応じて、空港のスタッフや来訪者を対象として、次の事項を付録として記述する。 |
| - | 空港管理者がトルネードウォッチおよびトルネードワーニングに関する情報を迅速に入手可能な方法(気象台や地域の緊急事態対応組織との直接連携、その他情報源の常時監視等) | |
| - | 空港スタッフ、テナント、来訪者への通知・通報方法 |
| ★ | 緊急情報の公表 竜巻に際して生命と財産を保護するためには、正確かつ適切なタイミングでの情報の発信が肝要である。空港スタッフに対する情報更新、警告、指示について記述する必要がある。 |
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| ★ | トルネードウォッチ発表中の広報 トルネードウォッチ発表中は、空港スタッフ、テナント、来訪者に対し、トルネードワーニングが発表された際の対応策を周知する必要がある。 |
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| ★ | 保護活動 竜巻は進路の予測が難しいため、外部避難は現実的ではなく、屋内退避が適切である。 |
◆SOPとチェックリスト
SOPとチェックリストに記載すべき事項は次のとおり。
| ★ | 緊急事態の発生前 AEPの基本計画と建築物等構造物の検査方法における記載事項に加えて、次の事項について記述する。 |
| - | 巨大竜巻通過後の施設の点検に関するガイド。これは、竜巻後の施設の安全性を評価するためにスタッフが使用できるもの | |
| - | 竜巻到達前の対応活動のリスト。例として次のようなもの ・緊急用発電機の可用性 ・竜巻による被害を受ける可能性のある設備等の探索 ・竜巻対策とテナント・地域の緊急時対応計画との調整 ・竜巻に対するトレーニングプログラムの実行 |
| ★ | 緊急事態への対応中 対応方法は竜巻の規模によって異なる。空港の部門(運用、メンテナンス、管理、ARFF、警察、EMS、テナント等)別に実施すべき活動を記述したSOPとチェックリストを準備する。 |
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| ★ | 緊急事態の発生後(復旧中) 復旧活動は、竜巻の規模、被害の程度、被害を受けた施設・設備・システムおよび利用可能なリソースによって異なる。これには次のものが含まれる。 |
| - | 状況分析チームの編成 空港の関係部門、テナント等から構成される状況分析チームを編成する。状況分析チームは、個人の活動状況の確認、被害査定の実施ならびに次の事項を含む緊急時対応計画の策定を行う。 ・被害状況の最終的な査定 ・情報の公表 ・インフラの補修 ・リソースのリスト化と補充の状況 ・費用 ・経済的インパクト ・実施した措置 ・スタッフの勤務状況ならびにストレスの状況 ・機器の使用状況 ・清掃活動 ・AOAの検査 |
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| - | 適切なNOTAMの発行 | |
| - | 対応活動全体の評価 対応活動全体を評価して、得られた教訓を計画およびトレーニングプログラムに盛り込む。 |
注)
*1 改正メルカリ震度スケール:ジュゼッペメルカリが1883年に発表した震度スケールを改良する形で、1931年にハリーウッドとフランクノイマンが開発した、実際に観測された影響に基づいて地震の程度をI~XIIの12段階で表すスケール。低い数値は人による地震の感じ方、高い数値は観測された構造物の被害に基づいている。Modified Mercalli Intensity (MM).
*2 国家都市捜索救助システム:連邦緊急事態管理庁(FEMA)の管轄下で1989年に設立された、国、州と地方自治体が連携して統合国家都市捜索救助チームを組織するための枠組み。The National Urban Search & Rescue (US&R) Response System.
*3 改良藤田スケール:1971年に藤田哲也とアレンピアソンが提唱した竜巻の程度を表すスケールを改良する形で、2007年に米国で運用開始されたスケール。推定風速とそれに伴う被害に基づいて竜巻の程度をEF0からEF5までの6段階で表している。Enhanced Fujita Scale (EF Scale).
*4 ストームスポッタプログラム:NWSが中心となって重要な気象情報を入手するために設立したボランティアプログラム。トレーニングを受けた約40万人のウェザースポッタがNWSに悪天候に関する正確な情報をNWSに迅速に提供している。SKYWARNと称されている。Storm Spotter Program.
*5 竜巻警報:米国国立気象局 (The National Weather Service,NWS)が発表している、竜巻に関する注意報、警報と緊急事態。Tornado Alerts.
・竜巻注意報(トルネードウォッチ):警戒区域内および付近で竜巻が発生する可能性がある。
・竜巻警報(トルネードワーニング):竜巻が目撃または気象レーダーで確認された。
・竜巻緊急事態(トルネードエマージェンシ):激しい竜巻が監視区域に到達した。
参考資料
Airport Emergency Plan,AC 150/5200-31C,FAA,2009.
https://www.usgs.gov/programs/earthquake-hazards/modified-mercalli-intensity-scale
https://www.weather.gov/oun/efscale#fujitascale
https://www.weather.gov/safety/tornado-ww
https://www.weather.gov/skywarn/
(続きは次回)
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