[SCOPE] 一般財団法人 港湾空港総合技術センター

コラム

第70回 「空港緊急時対応計画 (10)」  ~2025.11.01~

八谷 好高 客員研究員(SCOPE)

 

 空港の緊急時対応計画について米国のものを事例として考察しています。始めに空港として確保しなければならない機能別の対応計画についてまとめましたが、前々回からはハザード別のものを取り上げています。今回は、自然災害のうちハリケーンに対する緊急時対応計画です。

● ハリケーン

◆概要

 ハリケーンは、風速33 m/s以上の熱帯低気圧で、主として6月から11月にかけて米国のメキシコ湾岸、東部大西洋岸、西部太平洋岸やカリブ海で発生する。

  高リスク地域
 ハリケーンリスクの高い地域の空港では、米国運輸省のオンラインライブラリから入手可能なハリケーン避難技術データ報告書を使用するなどして緊急時対応計画を策定する必要がある。この場合、死亡者がでたり甚大な被害が生じたりした過去のハリケーンに関する空港周辺地域のデータも使用可能である。
  リスク評価
 ハリケーンによる被害を受ける可能性のある施設や設備等を特定するために、リスク評価を実施する必要がある。これにより、空港に到達する可能性のあるハリケーンとして最もカテゴリ* の高いものを想定して、緊急時対応計画を策定することが可能になる。リスク評価では次の点に留意する必要がある。
 - 高潮による浸水の恐れがある空港内の区域を特定し、地図として表す。
 - 旅客ターミナルビルのように大型ガラスを使用した建築物等、特にリスクが高い施設を特定する。
 - 安全な場所への移動・移設が必要になる機器、ツール、記録等のリソースを特定する。この場合、対象となる運航支援業務事業者 (FBO)、航空機所有者・運航事業者、ハンガー所有者やテナント等をリストアップする必要がある。
 - 主要な施設や機器に電力を供給するための無停電電源装置 (UPS)や補助発電機の可用性を確認する。また、ハリケーン到達前にバックアップやシャットダウンをする必要があるシステムを特定する。
 - 退避が必要となる施設を特定する。

◆目的

 このセクションでは、ハリケーンへの対応活動について記述する。これは標準作業手順 (SOP)とチェックリストに含むべき事項の基本になる。

◆状況と想定

 ハリケーンが襲来した時に空港に起こり得る状況は、ハザード分析とリスク評価により推定可能である。たとえば、ハリケーンの影響を受ける可能性のある施設ならびにその地理・地形的特徴と地図、環境面で影響を受けやすい区域と交通ルート、関連する気候・気象要因、そして1日のうちハリケーンへの対応が十分にできない恐れのある時間帯といったものに関する情報が得られる。
 このセクションでは、ハザード分析・リスク評価に基づいて、空港のハリケーンに対する脆弱性に関する事項について記述する。具体的には次のようなものである。

 - ハリケーンが地域コミュニティに及ぼす影響の把握
これはハリケーンへの対応・復旧活動に必要となる外部リソースへの影響である。ハリケーンが大型だと、その影響は広範囲に及び、空港外部のリソースへのアクセスに制約を受ける可能性が高いので、その対応について検討する。
 - 空港アクセスの見直し
空港へのアクセス道路と橋梁の洪水に対する脆弱性ならびにそれらの一部または全部が通行不能になった場合の対応について検討する。
 - 空港構造物のレビュー
米国土木学会や米国規格協会のガイドラインに示されている耐風規準に適合する空港内の構造物を特定するとともに、風水害の影響を受けやすい構造物についても明らかにする。
 - 空港ユーティリティのレビュー
空港ユーティリティ別に強風や洪水に対する脆弱性ならびに電力供給設備や代替設備・機器(発電機や代替通信設備といったもの)について明らかにする。
 - 最悪シナリオの検討
空港スタッフが帰宅できない場合、旅客ターミナルビルが一時滞在者で一杯になっているといった最悪の事態への対応について検討する。
 - 通信機能の見直し
多くの通信システムはハリケーンの到達・通過中ばかりではなく、通過後も使用不可能になりかねないので、その対応について検討する。

◆運用

 このセクションでは、ハリケーンに対する空港の運用に関する対応活動として、次のような事項について記述する。

 - 空港と周辺地域の責任分担
これには、空港、周辺地域、それぞれの緊急事態対応組織の役割と両者の協力関係が含まれる。
 - 緊急事態への対応活動の内容に応じた相互支援協定のリスト
 - 緊急事態対応センタ (EOC)の立上げ規準
 - 緊急事態発生前、緊急事態対応中、そして緊急事態発生後(復旧中)までの一連の活動
 - SOPとチェックリスト
 - トレーニング
ハリケーンへの対応活動に関するトレーニングプログラムを開発し、実行する。

◆組織と責任の割当て

 このセクションでは、ハリケーンに対応する組織とその責任について記述する。その例として、次のような部門別のものが挙げられる。

  空港管制塔
 - FAAが所有・運用している施設・機器の損傷や可用性について検査する。
 - 空港管理者が滑走路、誘導路、エプロンを検査するまで、航空機の運航を制限する。
 - 適切なNOTAMを発行する(必要に応じて)。
  消防・救助部門
 - 消火活動および救助活動を行う(必要に応じて)。
 - 緊急医療支援活動に協力する(必要に応じて)。
 - 燃料漏れやその他の潜在的危険物質に関する問題の有無について確認する。
 - 航空機救難消防 (ARFF)部門のリソースを調査した上で、次の状況について確認する。
・建物
・ガス、電気、水道、衛生設備
・すべての電話機と通報・通知システム
・無線機とその関連機器・設備
・警報システム
・主要な区域・施設への浸水を防ぐための土のう
・屋外保管場所と保管されている機器
 - 捜索、検査、保護措置といった活動を支援する。
 - 要件を見直してスタッフを適切に配置する。
 - 周辺地域の消防署と連携する(必要に応じて)。
 - 規定に従ってインシデントコマンドシステム (ICS)に参加する。
  警察・セキュリティ部門
 - 避難活動を支援するために交通規制を実施する(必要に応じて)。
 - 空港内での法執行・セキュリティサービスを継続して提供する(必要に応じて)。
 - 警察・セキュリティ部門のリソースを調査した上で、次の状況について確認する。
・建物
・ガス、電気、水道、衛生設備
・すべての電話機と通報・通知システム
・無線機とその関連機器・設備
・警報システム
・主要な区域・施設への浸水を防ぐための土のう
・屋外保管場所と保管されている機器
 - 捜索、検査、保護措置といった活動を支援する。
 - 要件を見直してスタッフを適切に配置する。
 - 周辺地域の警察署と連携する(必要に応じて)。
 - 規定に従ってICSに参加する。
  救急医療サービス
 - 負傷者のトリアージと手当に必要な措置を講ずる。
 - 負傷者を適切な医療施設まで搬送する。
 - 救急医療サービス部門のリソースを調査した上で、次の状況について確認する。
・建物
・ガス、電気、水道、衛生設備
・すべての電話機と通報・通知システム
・無線機とその関連機器・設備
・警報システム
・主要な区域・施設への浸水を防ぐための土のう
・屋外保管場所と保管されている機器
 - 捜索、検査、保護措置といった活動を支援する。
 - 要件を見直してスタッフを適切に配置する。
 - 周辺地域の救急医療サービス組織と連携する(必要に応じて)。
 - 死傷者の氏名、住所を記載した正確なリストを作成・保管する。
 - 歩行可能な負傷者や心的外傷者への医学的措置を実施する。
 - 医療用品の補充を行う(必要に応じて)。
 - インシデントによるストレスマネジメントを支援する。
 - 規定に従ってICSに参加する。
  空港管理者
 - 空港運用
・空港の検査を実施する(必要に応じて)。
・適切なNOTAMを発行する(必要に応じて)。
・EOCを立ち上げる(必要に応じて)。
・EOCを通じて緊急支援サービスを提供する。
・周辺地域の緊急事態対応組織と連携する(必要に応じて)。
・航空交通管制部門・管制塔と活動を調整する(必要に応じて)。
・航空会社を含む空港テナントと連携して、それらが提供可能なリソースを活用する(必要に応じて)。
・規定に従ってICSに参加する。
 - メンテナンス
・ユーティリティの確認等、重要なサービスの提供を支援する(必要に応じて)。
・施設の安全性について検査する(必要に応じて)。
・施設の復旧を支援する。
・公衆衛生サービスの提供を支援する。
・必要なリソースの提供を支援する。
・EOCの活動に参加する。
・規定に従ってICSに参加する。
 - 空港の運営・管理
・調達サービスを提供する。
・適切な予算編成、支払い等に関するサービスを提供する。
・人事管理サービスを提供する。
・EOCの活動に参加する。
 - 広報および周辺地域対応
・広報に関してメディアと連携する(状況に応じて)。
・空港の運用状況に関するプレスリリースを作成・提供する。
・空港テナント間の連絡・調整を支援する。
・EOCの活動に参加する。
 - 航空機所有者・運航者
・EOCの代表を務める(必要に応じて)。
・死亡または負傷した乗客の家族に通知する。
・死亡または負傷した乗客を支援する。
 - 空港テナント
・自主的にまたは契約に従って必要な支援を行う。
・規定に従ってICSに参加する。
・テナントが所有または運営している施設の損傷や可用性を確認する。

◆管理とロジスティクス

 このセクションでは、ハリケーンに特有なサポート要件について記述する。ハリケーンは広範囲な地域に影響を及ぼすことから、ハリケーン対応時にリソースへのアクセスに制約を受けかねないので、リソース管理や相互支援といった項目に関する標準的な方針や手順の調整が必要となる場合がある。

◆計画策定と維持

 このセクションでは、ハリケーンへの対応計画を最新の状態に保つとともに、SOPおよびチェックリストを策定・アップデートする方法について記述する。

◆権限と参照先

 このセクションでは、ハリケーンに関する法令、規則等について記述する。また、ガイダンスや情報として使用するものについても記述する。

◆ハリケーン特有の検討事項

 このセクションでは、ハザードがハリケーンである場合のAEPを作成する上で特に必要となる事項について記述する。また、検討すべきハリケーン特有の事項ならびに規制上必要となる事項についても記述する。

  対応スケジュール
 ハリケーンに対する緊急事態対応活動を規定するために、ハリケーンへの対応スケジュールを作成・活用する必要がある。このスケジュールは、接近してくるハリケーンに対するフェーズを定めて、フェーズごとに実施すべき活動を規定し、さらにはそれについて優先順位を規定するものである。各フェーズでは、対象とする時期・期間を定め、実施すべき活動について詳細に規定する。
 この対応スケジュールは、ハリケーンによる強風の到達予定時刻の数十時間前から、ハリケーン本体到達時の対応活動時、そしてすべての対応活動の終了までに対応できるものとする必要がある。典型的なフェーズは次のようなものである。
 - 注意フェーズ
強風(風速15~25 m/s)が到達する60~72時間前。
 - 待機フェーズ
強風到達の48~60時間前。この時期・期間中に熱帯低気圧注意報が発表される可能性が高い。
 - 対応フェーズ
強風到達の48時間前から緊急事態終了まで。この時期・期間中に国立気象局からハリケーン注意報と警報が発表される。
  対応活動
 各フェーズの対応活動は次のとおり。
 - 活動内容について明確にする。
 - 活動の責任者を特定する。
 - 強風が到達する前に活動に必要となる時間を特定する。
 - 活動の優先順位を決定する。
 - 活動に必要となる他の重要な情報を入手する。
  指揮統制
 ハリケーンが空港にとって大きな脅威となる可能性が高いと判断された場合には、注意フェーズの前に対応活動を開始する必要がある。ここでは、次のような事項に関する規定について付録として記述する。
 - 緊急事態対応組織の活動開始時期・タイミングの決定
・活動のスタンバイ、部分的開始または全面的開始
・EOCの立ち上げ
・緊急事態対応活動への専念
 これは定常機能・サービスの停止または縮小することを意味する。空港で足止めされる一時滞在者の数を最小限に抑えるための航空会社とフライトスケジュールの変更について協議を始めることを含む。
 - 対応組織が3つのフェーズを通して継続的に活動できる体制の構築
セキュリティの確保や運用センタ、車両、装備、重要記録等の主要なリソースの分散または再配置といったものが該当する。
 - 重要事項の実行開始時期・タイミングの決定
・一般市民に対する緊急事態に関する警告の発表
・空港の運用終了と閉鎖
・周辺地域の緊急避難勧告に従った、空港内施設からの退避
 - 各組織へのフェーズごとの具体的な業務の割り当て
・空港外部の緊急事態対応組織との相互支援協定の調整・実行
・不要不急の業務・サービスの停止
・緊急事態対応活動に関与しないスタッフの退避
・EOCへの状況の報告
 - 捜索および救助・消火活動
倒壊した建物に閉じ込められた人や負傷者の救出、応急処置、消火活動、重傷者の医療施設への搬送支援を行う。これは、通常ARFF、消防とEMSが担当するが、捜索救助犬の活用を含め、専門スタッフとボランティアの関与も必要になる。
 - 損害の査定
空港の被害状況、死傷者数、主要施設の状況を把握するために調査を実施する。この調査は、メンテナンス、施設とエンジニアリング部門のスタッフがARFF、消防とEMSの支援を受けて実施するものであるが、空港全体の安全状況を把握して、それを復旧プログラム策定時の基礎資料とすることを目的とする。
 - 瓦礫の除去
緊急事態対応活動の妨げとなる瓦礫や残骸等の特定、除去ならびに処分は最初に実施しなければならない活動である。具体的には次のようなものである。
・主要な建物、道路、橋梁の解体または撤去
・主要な建物、道路、橋梁の補修または一時的な補強
・仮設物および道路の建設
これは通常、メンテナンス、施設とエンジニアリング部門のスタッフが担当する。
 - アクセスの制限
状況が許せば可能な限り迅速に次の措置を講ずる。
・安全が確認されるまでのアクセスの禁止(区域ごと)
 対象となるのは航空機運用領域 (AOA)だけでなく空港全体。なお、緊急事態対応活動に直接関与するスタッフは対象外である。
・一般市民・空港スタッフのアクセス再開時期の決定
 - ユーティリティとライフラインの修復
重要なサービスへの影響を最小限に抑えるために、電力、ガス、上下水道および通信システムの復旧と修復を行う。
 - 空港構造物の検査、利用停止と解体
ハリケーン通過後に建築物、その他の構造物を検査して、立入または使用の可否を判断する。具体的には、次のようなもの。
・空港運用にとって欠くことのできない建物の検査
 旅客ターミナルビル、管制塔、給油システム等、乗客や空港スタッフが立ち入る、または滞在する可能性のあるものを検査して、その安全性を確認する。
・公共の安全にとって脅威となる可能性のある建物の点検
 安全上の懸念があって、立入を禁止しなければならないものを特定する。
・その他すべての建物の点検
 立ち入る可能性のある建物を検査して、安全上の懸念があるものを特定する。
・使用禁止となった建物の解体
  警報と警告
 ハリケーンの進行は一般的にゆっくりではあるものの、人々が避難に必要な時間を十分確保できるように適切なタイミングで警報・警告を発表することが肝要である。また、運航スケジュールの混乱や機材の損傷を最小限に抑えるために、航空会社が航空機の運航調整時間を十分確保できるようにすることも必要である。
 一般市民に対して警報・警告を発表するための規定については、必要に応じて、このセクションの付録として記述する。たとえば、次のようなものである。
 - 各フェーズにおける空港広報担当者の役割と責任
 - 地域の緊急事態対応組織の広報スタッフと連携した、警報・警告に関する情報の提供
  緊急情報の公表
 通知、情報更新、指示メッセージといった緊急情報の作成・配布について規定する。空港内のテナント等の事業者は、地元メディアを通じて気象に関する緊急情報を入手できるのに対して、空港の一時滞在者は情報の入手が難しい場合もあるので、その対応方法についてこのセクションの付録として記述する。具体的には次のようなもの。
 - ハリケーンに対する準備に関する全般的なガイド
 - 避難不可能な人を対象としたハリケーンへの対応方法に関するガイド
 - 施設を対象にしたハリケーンに対する準備に関するガイド
  保護措置
 ハリケーンの影響を受ける空港利用者を少なくするためには、ハリケーンに対する準備期間を十分に確保する必要がある。空港内に一時滞在者や空港スタッフが残ってしまう場合への対応措置を講ずる必要がある場合には、最悪の事態に備えてAEPを策定しなければならない。
 具体的な保護措置は避難または屋内退避のどちらかである。このうち避難のほうが一般的には人々をリスクから遠ざけられるので望ましいものであろうが、これは避難行動自体が避難しない場合よりもリスクが小さい場合に限定すべきであり、ハリケーンのようにその影響が広範囲に及ぶときには必ずしも現実的とはならないことも考えられる。場合によっては、取り残された乗客・空港スタッフをシェルタに退避させることが最善と判断できることもあろう。
  避難
 避難の手順を策定する際には、次の点を考慮する必要がある。
 - 周辺地域の緊急事態対応組織の役割と責任
 - 避難の対象になる人数
 - 利用可能な交通手段
 - 道路の洪水に対する脆弱性
 - 避難に要する時間
これはハリケーンに対して安全かつ迅速に避難するために必要な時間であり、避難を妨げたり遅らせたりする可能性のある次のような状況に留意する。
・大雨や局地的洪水により交通渋滞が発生する
・一時滞在者の交通手段がない
・施設の閉鎖に長時間を要する
  屋内退避
 屋内退避の手順を策定する際には、次の点に関する安全性を確保する必要がある。
 - シェルタの位置
シェルタはカテゴリ4における高潮浸水区域(4.5~5.5 mの高潮を想定)の外側かつ100年確率洪水氾濫原の外側に位置する。
 - シェルタの構造
シェルタは米国土木学会や米国規格協会のガイドラインに示されている耐風規準に適合する。
  リソース管理
 次のような事項について、付録として記述する必要がある。
 - 製氷機、浄水システム、ブルーシー ト、土のう、ポンプ、発電機、照明器具等、ハリケーンへの対応に必要不可欠な物品を購入、取得ならびに備蓄するための規定
 - 上記の品目の数量と所在を記載したリストならびにそれらを入手するための連絡先(昼間、夜間および週末)

◆SOPとチェックリスト

 SOPとチェックリストに記載すべき事項は次のとおり。

  緊急事態の発生前
 - ハリケーンに特化した、施設の点検に関するSOP。これは、ハリケーンが通過した後の施設の安全性を評価するためにスタッフが使用できるもの(検査が必要と判断された場合)
 - ハリケーン到達前の活動のチェックリスト。例として次のようなもの
・雨水排水管の閉塞状況の確認
・強風により損傷を受ける可能性のある機器の固定
・シェルタとして使用する可能性のある施設の確認
・ガラスに対する特別な保護の実施
・すべての航空機が他空港へ移動するかもしくは現場で安全に固定されていることの確認
・非常用発電機の試運転と燃料の確認
・リソースのリストの作成
・ハリケーンに対するトレーニングプログラムの実行
  緊急事態への対応中
 対応方法はハリケーンの規模によって異なる。空港の部門(運用、メンテナンス、管理、ARFF、警察、EMS、テナント等)別に実施すべき活動を記述したSOPとチェックリストを準備する。
  緊急事態の発生後(復旧中)
 復旧活動は、ハリケーンの規模、被害の程度、影響を受けた施設・設備・システムおよび利用可能なリソースによって異なる。これには次のものが含まれる。
 - 状況分析チームの編成
空港の関係する部門、テナント等から構成される状況分析チームを編成する。状況分析チームは、安全が確認され次第、損害査定を実施し、次の事項を含む緊急時対応計画を策定する。
・被害状況の最終的な査定
・情報の公表
・インフラの補修
・リソースのリスト化と補充の状況
・費用
・経済的インパクト
・実施した措置
・スタッフの勤務状況ならびにストレスの状況(必要に応じて)
・機器の使用状況
・清掃活動
・AOAの検査
 - 適切なNOTAMの発行
 - 対応活動全体の評価
対応活動全体を評価して、得られた教訓を計画およびトレーニングプログラムに盛り込む。

 

注)
* ハリケーンのカテゴリは、1分間平均の最大風速をもとに、シンプソンスケール (Saffir-Simpson Hurricane Scale)によって、5段階に分類される(カテゴリ5が最大)。カテゴリ4は風速が58~70 m/sのもの。

 

参考資料
Airport Emergency Plan, AC 150/5200-31C, FAA, 2009.
Saffir-Simpson Hurricane Wind Scale, National Oceanic and Atmospheric Administration.

(続きは次回)

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