港湾・空港分野の各種建設プロジェクトの施工計画策定、最新の施工方法の標準化等、工事の高度化および効率化を支援するための調査研究を行ってきている。
平成23年度は、以下の調査研究を実施した。
(臨海部橋梁プロジェクトへの対応)
本臨港道路は、川崎港の内陸側と東扇島をつなぐ第2の路線として、港湾貨物の円滑な輸送、災害時の緊急物資輸送路(リダンダンシーの確保)の役割が期待されており、橋梁部の構造として、他に例のない低主塔の斜張橋が採用されている。
本調査では、有識者の指導・助言を得つつ、多数立地する企業・工場、多数航行する船舶等の地域環境に最大限配慮しながら、施工方法、施工手順・工程計画・概算工事費等施工計画の策定を行った。
本臨港道路は、南本牧地区と本牧地区および大黒ふ頭地区を連絡して港内のコンテナ輸送の効率化を図るとともに、背後の高速道路ネットワークに直結して横浜港の集荷環境を改善するものである。
本調査では、多数立地する企業・工場、多数航行する船舶等の地域環境に最大限配慮しながら、工区別に詳細な施工方法・施工手順・工程計画・概算工事費等施工計画の策定を行った。
(港湾プロジェクトへの対応)
相馬港防波堤(沖)は、先の東日本大震災により大きな被害を受け、従前の港内静穏度回復のため早期の復旧が求められている。
本調査では、そうした背景を受け、防波堤(沖)の早期復旧に向けた施工方法・工程計画・仮設計画・概算工事費等施工計画の策定を行った。
新潟港西港地区では、信濃川の流下土砂による埋没対策として継続的に航路・泊地の維持浚渫を実施しており、浚渫土砂の処分は沖捨てと既存の土砂処分場への埋立により行われてきたが、近年の国際的環境意識の高まりと既存の処分場の受入れ限界から、土砂処分場を新たに建設することとなった。
本調査では、その円滑な事業遂行に資するため、護岸・埋立の施工展開・工程計画・概算工事費等の検討を行った。
名古屋港飛島ふ頭岸壁は、水深-16mを有する日本有数のコンテナバースであるが、供用中の第1バース(TS1)のエプロン舗装に破損が確認された。
本調査では、その破損状況を調査・確認した上で、稼働中のコンテナ荷役作業に支障を与えないという条件のもと、適切な補修方法の検討を行った。
(空港プロジェクトへの対応)
那覇空港滑走路増設配置案に基づいた滑走路増設の施工技術検討であり、護岸断面の設計結果を受けて、施工方法・工程計画・資材調達計画・概算工事費等の検討を行った。検討にあたっては、沖縄独自の自然環境へ配慮しつつ、浅海域という地形的特性に代表される現場条件を十分考慮した。
(開発保全航路プロジェクトへの対応)
竹富南航路は、沖縄県最南端の八重山諸島南西に位置する珊瑚礁海域の狭水路であり、従来は水深-0.6m、幅20mしかなく、満潮時のみ利用可能という状況であった。沖縄の本土復帰後、第4次港湾整備5箇年計画から開発保全航路の政令指定を経て、昭和55年に本格的なリーフ開削の浚渫工事に着手している。
本調査では、激しく往来する航行船舶、多種多様な海域利用、珊瑚を初めとする海生生物に最大限配慮するという条件のもと、試験工事を計画・分析した上で、濁り拡散防止を主眼とした施工計画の策定を行った。
備讃瀬戸航路は、開発保全航路に指定された瀬戸内海交通の要衝であり、船舶往来は激しく、漁業活動は盛んで、島嶼からなる複雑な海底地形と大潮流等自然条件も厳しい。
本調査では、「広島」背後の北航路(-19m)の浚渫工事を対象として、航行船舶状況、漁業操業状況、自然条件等の現場条件を把握した上で、当該浚渫工事の施工計画および安全対策の策定を行った。
(海岸保全施設プロジェクトへの対応)
別府港海岸は、市街地の拡張等によりかつての砂浜が埋め立てられたコンクリート護岸であり、背後に温泉旅館や多数の商業施設、主要幹線道路等が近接しており、台風時期には高潮・波浪による被害が発生している。
本調査では、このための整備計画(護岸構造等)について、気象・海象・水質・漁場・周辺環境等の現場条件を把握した上で、施工区域・施工方法・施工手順・工程計画・概算工事費等施工計画の策定を行った。
(施工計画データベースの整備)
施工関連の調査研究業務の品質確保および業務実施の効率化を図るため、引き続き当センターで蓄積してきた施工計画資料のデータベース化を行った。