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国際標準への途

●キーワードは標準化

広瀬  どのくらいの期間でどのように変状するか、まず最初に設計供用期間というのを明確に決める必要かあります。そして、ライフサイクルコストの評価をするわけですが、維持管理や補修が標準化されていないと、ライフサイクルコストの評価は難しい。

小林  ライフサイクルコスト評価は、国際標準化の問題と密接に関係しています。 世界銀行が開発途上国に融資する際に、アセットマネジメントの実施を義務付けました。当事国は、アセットマネジメントの実行能力を証明しないといけません。その結果、舗装だったらHDM4、橋梁だったらプリッジマン、ダムだったらRESCONという風に、世界標準の評価モデルがあるわけです。日本で作成されたアセットマネジメント技術は、残念ながら世界標準としては採用されていません。
   いま、ソフトウェアの世界では、例えばLINUXに代表されるようにオープンソースというビジネスモデルか急速に普及しています。例えば、京都大学のスコーソン教授と私どもは世界銀行の委託研究として、あるシステムを開発しました。そのソースプログラムは、ある研究アライアンスの中で自由に相互利用が可能です。例えば、他大学がつくったデータベースや計算プログラムを自由に使っていいのです。また、我々のつくったソフトウェアを利用して、別の国の別の研究機関が、別のソフトウェアを開発することも可能なわけです。このように、ソースプログラムを自由に使っていき、気が付くと世界標準の巨大なシステムができあがっていくわけです。日本でも、産官学のプラットホームをつくってオープンソース化する時代に入ってきたという気がします。

広瀬  一人では全てできないから分担することになるということですね。ところで、例えば外力なんかも、50年前に造った施設というのは、それよりも前のデータで施設ができているわけです。その後に造った施設は新しいデータが加わって、全然違う外力の下でできている可能性があります。また、50年前に造った施設は社会的背景とか、ニーズとかいうものが、50年後の今ある背景とかニーズとかがと違います。そういうものをアセットマネジメントの大きな枠組みの中に組み込まなければなりません。ところが、このように元々のデータが違うような場合、どのように評価していけばよいのか。また、単純に機能だけ満足すれば良いとして造ったものと技術の粋を集めて付加価値をもって造られた歴史的建造物でも資産価値か違うわけです。時代背景も含めてアセットに取り組んでいくとなると大変で、どうすればよいかと思っています。

小林  既存不適格な構造物は、できるだけ長寿命化するけれども、どこかで造り替えなければいけません。結局のところ、施設の使用戦略、維持管理戦略に基づいて、対象とする施設群を分類し、それぞれに対して必要とされる性能やサービス水準を決定するという現実的な対応戦略を決定することに尽きると思います。

広瀬  今、公共調達に関する海外の動きを調べているのですが、1994年にイギリスでレイサムレポートが発表されてから、リスクマネジメントに基づく「バリュー・フォー・マネー」という考えかあります。
   私どもが通常公共工事を行うときには、基本的にはイニシャルコストだけで一番安い業者と契約する場合か多いのですが、レポートでは、ライフサイクルコストで安くて品質か良い業者を選定するよう提案しています。例えば、品質とライフサイクルコストの割合が6:4、あるいは5:5ということで落札業者を決める方法で、かなり標準化されていると思います。



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