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ガバナンスを効かせて 行政の情報化を

●情報化はガバナンスを効かせて
川島  国土交通省では2006年3月に「CALS/ECアクションプログラム2005」を発表されました。木内さんは国土交通省のこれまでの実績をどのように評価されていますでしょうか。

木内  アクションプログラム2005発表までの10年間は、電子化への10年間だったと思います。ただし10年間はかかりすぎです。半分以下の期間で進めていかないと時代の速度に合わないと思います。
   e−Japanでは輸出入業務など行政のいろいろな手続きが複雑すぎるという問題から、手続きの窓口を一本化しましたが、その中身はまだ一貫性がない状況です。アクションプログラム2005で重要なことは公共事業執行業務の仕組みをきちんと設計することです。それをしなければ電子化したという事実だけで終わってしまい、それを共有して利活用することにはならないかもしれません。
   それから合理化やコスト縮減などのプレッシャーに押されていくことも必要です。そのような危機感がないと事態を進めることは難しいですね。

川島  公共事業の受注者側から見てアクションプランのうち早く進めるべき点は何でしょうか。

木内  行政の電子化という大きな枠の中でCALS/ECの位置付けは一部分でしかありません。受注者側が絡む部分はさらにその一部分でしかない。実はCALS/ECは発注者側が必要としていることなのです。つまり、CALS/ECの後ろに控えているメンテナンスのためのデータ管理という部分です。社会資本のデータを管理して、どのように保全計画を立てていくか、そのための元となるデータを収集しているわけです。

川島  SCOPEとしても維持補修が重要な課題と考えています。実際は、まだ立ち上げの段階で、港湾施設の点検業務をどのような方法で行えば過不足なくデータが得られるか、ライフサイクルコストを小さくするにはいつどのような手を打てばいいのか、現場で取り組み始めたところです。電子納品で得たデータを、維持補修で得たデータとリンクさせれば、有効な方法が得られると思うのですがどうお考えでしょうか。

木内  国土交通省から各自治体等に向けて、これからの補修費は非常に大きくなるからアセットマネジメントにきちんと取り組みなさいと通達が出て、各自治体はアセットマネジメントシステムをつくりました。このような概念が必要です。各自治体の所管の全ての施設のデータベースができれば、リスク順に並べ替えるとどうなるか、いくらの予算でどこまでできるかといったいろいろなシミュレーションが可能になります。
   一方で、行政の情報化で感じることは、ガバナンスがなかなか効かないということです。少なくとも省庁単位でガバナンスを効かせていかないと情報化はできません。大成建設が一定期間で再構築できたのは実はガバナンスなのです。それを発揮できる環境を経営層が用意して、そういう方針を出していたからなのです。
   ガバナンスとは、組織の縦割り構造に横串を通す機能です。これには2つの要素があって、一つはトップダウンの方針があること、もう一つは横串を通す組織があることです。その両方が揃っている必要があります。

川島  現実的な方法としては、方向付けは国交省が行って、実際の横串を通す作業はJACICやSCOPEが行う方法もあると思います。SCOPEであれば、人材も発注者、受注者、コンサルタント、ベンダーまで、実務経験者は全員揃っていますから、このような機関が動くことも考えられます。

木内  そういう方法も十分に考えられます。大変な作業であることは変わりありませんから、集中して取り組んでつくった方がやはりいい。



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