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| 電気防食の調査状況。清水港日の出地区にて。 |
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| 海上から見た同地区の状況。 |
清水港は、全国23港ある特定重要港湾の1つ。港湾区域1272ha、臨港地区483.3haと23港のうちで最も狭いコンパクトな港だが、県内及び周辺地域の経済活動を支える国際物流拠点港として中核的な機能を発揮している。18年のコンテナ取扱量は全国7位の57万TEUに達した。現在、清水港では新興津埠頭に国際海上コンテナターミナルの機能を移転しつつあり、将来的には連続4バースを整備する計画だ。
いままで、清水港における点検、維持補修に関する業務は、日常点検という形で週1度の頻度で陸上・海上巡視を行っていた。これは、構造物のみならず全体的な管理面を含めた巡視だが、その都度、対応する対処療法的な形で行われており、また特に担当の職員を充てて行ってはいなかった。
19年度から実施される点検業務により、通常より業務量が増えることにはなるが、実際にどの程度の負担になるかは把握し切れていないのが現状だ。ただし、今回の計画が施設全体を対象とする点では大きな意義がある。清水港管理局技監兼施設課長芦川氏は「現場サイドとしては全施設の状況を把握しておく必要があるということは常日頃感じていました。ですから、このような計画を実施することで、適切に維持管理を行い、有効活用していくことができることは、大変意義のあることです」と語る。実は目視点検シートを作成する際、清水港で試験的に使用して改善点を盛り込んで調整している。係船柱の番号や上屋の位置をシートに記入したのはこのときのアイデアを反映したものだ。 清水港は、岸壁と物揚場で延長約12km、53施設あり、静岡県下の約3分の1が集中する。これらを全て点検することになる。特に現場で気がかりなことは変状が確認された際の対応だ。特に工事を発注するとなれば資材調達及び契約事務等に時間を要しすぐには対応できない。「例えば、船舶の接岸に支障を来たすようなダメージを確認した際は、迅速性、確実性のあるメンテナンスが必要になります。場合によっては管理問題にもなりかねないケースもあるので、現場として非常に重く感じている部分でもあります」(芦川氏)。これまで、腐食度調査、電気防食の残存年数、コンクリート構造物のクラックなどは必要に応じて点的に行ってきたことが、面的に施設全体が点検対象となったことで、いままでは見切れなかったような部分についても定期点検という形で把握できるようになった。そして、さらに詳細点検へと必要に応じた対応に進むといった点検業務としての1つの道筋ができた状況だ。「これによって、現場の管理面では非常に質的に向上してくると思います」(芦川氏)。
今後は定期点検等の点検業務を行いながら、点検そのもののスキルアップを図っていく。「点検自体に主観的な判断が入る余地があると結果に個人差が出てしまいます。客観的に、かつ誰でもできる点検方法である必要があります。19年度を初年度にここ2〜3年で行う点検業務で集まる情報データを見れば、改良点なども見えてくると考えています」(芦川氏)。
今回、施行される計画は、現存する全施設の維持管理を行う計画だが、さらに、ここで得られたデータを、新規で整備される施設へフィードバックすることも考えられる。関係者は異口同音に「例えば、新設する桟橋の上部工にあらかじめ歪み計を埋め込んでおけば、それにより劣化速度が測れます。大規模な補修が必要な施設については、このような計測機器を取り付けることも考えています」と語る。 |