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静岡県の「アセットマネジメント」 |
高度成長期を中心に整備され増加してきた港湾施設は、今後、老朽化が進展し、その維持・更新費用が増大することが見込まれている。そのため、整備後の港湾施設を計画的かつ適切に維持管理して維持・更新費用を最小限に抑えて長期的に有効活用していくことが不可欠である。 そのため、国土交通省では、港湾施設(技術基準対象施設)の建設、改良または維持の基準として定める「港湾の施設の技術上の基準を定める省令」(技術基準省令)を改正し、港湾施設の維持に関する基準を従前より具体的に規定するとともに、港湾施設の維持に関して必要な事項を告示し、平成19年2月公布、同年4月施行された。 維持補修・更新投資を効果的・効率的に実施するために、一般に不動産や金融の分野で、個人や法人の資産を効率よく管理・運営するために用いられているアセットマネジメントの手法を社会資本に適用し、社会資本を「アセット(asset)=資産」と見なして、効果的・効率的に「マネジメント(mana-gement)=管理・運営」する手法の導入が進められている。 すでにアセットマネジメントを具体的な政策として展開している自治体もある。 静岡県土木部では、平成15年度末、公共土木施設の維持管理・運営にアセットマネジメントの考え方を取り入れ、ライフサイクルコスト(以下、LCC)の低減や環境負荷の軽便を図るための基本ルールとして「土木施設長寿命化行動方針」を策定した。港湾を始め、橋梁、舗装、道路、トンネル等を所管する土木部では、16年度から行動方針に基づき「橋梁」、「舗装」等9工種のガイドラインを順次作成。港湾に関しては「係留施設等ガイドライン」を17年度に作成した。19年度からはこれらガイドラインに基づいた維持管理・運営を実施していく。 具体的には、このガイドラインに基づき、点検・将来劣化予測によるLCCを踏まえた最適な補修方法、時期を検討し、補修の優先順位や予算規模、短期計画を盛り込んだ中長期維持管理計画を作成 → 補修の実施 → 現状分析・評価・改善 → 中長期維持管理計画 → ‥‥というPDCAサイクルにより、現状分析と改善を踏まえ常にバランスのとれた土木施設全体の資産管理の精度を高めていくことを目指すこととしている。 |
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(取材は平成19年3月13日に実施。静岡県は19年度に組織が改正されました。本稿に登場される方の役職名等は取材当時のものであることをお断りしておきます) (写真提供:国土交通省中部地方整備局清水港湾事務所) |
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