エコエアポート 〜環境に優しい空港の実現に向けて〜

1. はじめに

 環境問題は、昨今のCO2削減対策を求めた京都議定書を含め、国民的な注目を集めている。我が国としても環境対策は積極的に取り組まなくてはならない分野とされ、環境立国というキーワードを掲げた。国だけではなく、民間企業においても、環境に配慮しないということは許されず、積極的に取り組んだ企業こそが生き残れるといった一種の産業革命さえ起こっている。
 事実、我が国の省エネルギー技術、環境対策技術は世界を牽引するまでに発展しており、景気回復の原動力の一助ともなっている。
 行政、企業、一般家庭等様々な分野において、それぞれの分野で環境に対して出来ることを少しでも進めることが望まれているのである。

2. 空港の環境問題

 従来、空港の環境問題とは騒音問題であった。しかし、空港はその運用を行う中で、エネルギー消費に伴う大気汚染物質等の発生や、廃棄物の発生、水の消費・排水の発生等様々な分野で空港周辺の地域環境及び地球環境に少なからず影響を与えている。
 こうした背景を受け、平成11年度交通政策審議会航空分科会空港整備部会から「今後の空港環境対策のあり方として、これまでの空港周辺環境対策に加え、空港の整備・管理運営に伴う環境負荷を低減するための施策についても一体的に推進することが必要である」という答申がなされた。
 これを受け、航空局では、航空会社、空港会社、ビル会社などとともにエコエアポート研究会を設立し、検討を重ねた結果、今後の空港の環境対策の指針となる「エコエアポート・ガイドライン空港環境編」を平成15年8月にとりまとめた。

積極的にエコエアポートに取り組む成田国際空港(写真提供:成田国際空港(株))
積極的にエコエアポートに取り組む成田国際空港
(写真提供:成田国際空港(株))
3. エコエアポートの推進

 「エコエアポート」とは、“空港及び空港周辺において、環境の保全及び良好な環境の創造を進める対策を実施している空港”と定義される。
 エコエアポートは、空港本体における環境負荷の低減を推進する分野と空港周辺の土地活用による面的整備及び空港と地域の交流・活性化を推進する分野に大分し、それぞれ環境対策を実施することとしている。
 空港は、規模、立地条件、需要動向等といった特性がそれぞれ異なっている。そこで、エコエアポート・ガイドラインでは、空港毎にエコエアポート協議会を設立し、特徴を考慮したうえで、環境目標、目標達成へ向けた具体的な対策をまとめることとしている。
 また、平成17年度には、空港の整備段階からエコエアポートを実現するべくガイドラインの改訂を行った。

4. 環境計画作成の取り組み

 エコエアポート・ガイドラインでは、理念、対象空港、基本手続き、空港環境計画策定の考え方などが示してある。
 これはあくまでエコエアポートの取り組みについて網羅的に示したものであり、各空港は本ガイドラインを参考に、特性を考慮した形で環境計画を検討し、取り組みを進めることとしている。
(1)対象空港
 国土交通大臣が設置管理する第1種、第2種空港A及び共用飛行場(民間航空エリアのみ)の管理業務(運用、維持及び改修工事)を対象とする。なお、これ以外の空港も準ずることが望ましいとした。
(2)エコエアポート協議会
 エコエアポート協議会は、空港環境部会及び周辺環境部会で構成され空港環境計画及び周辺環境計画を策定する。また、進捗状況を評価するとともに、必要に応じ適宜見直しを行う。(図−1参照)

図−1 エコエアポートの取り組みについて
図−1 エコエアポートの取り組みについて
(1)空港環境部会
【構 成】
空港は一般に、多種多様な事業者の運営のもと機能しており、例えば環境に対する取り組みを進めようとする場合、各事業者が一丸となって取り組みを進める体制を作る必要がある。
このため、「空港環境部会」は、空港管理者である空港事務所が中心となり、ビル会社、航空会社、その他空港内で営業を営む者、及び関係自治体を構成員とし、環境に対する取り組みの必要性を理解、共有し、各種対策を推進するものである。
【空港環境計画】
各空港における各種取り組みを効率良く進めるために、「空港環境計画」の原案を策定する。
「空港環境計画」は、大気、エネルギー、騒音・振動、水、土壌、廃棄物、自然環境といった要素毎に、空港の運用段階で達成すべき将来の環境目標、目標年次、実施計画等を定めるもので、「空港環境部会」で議論し、原案を策定するものである。
それぞれの目標は、現状を踏まえ、極力実施可能な範囲で設定するとともに、可能な限り数値化する。

太陽光パネル発電。成田、中部、大阪、高知空港などで設置されている。(写真提供:成田国際空港(株))
太陽光パネル発電。成田、中部、大阪、高知空港などで設置されている。
(写真提供:成田国際空港(株))
(2)周辺環境部会
【構 成】
空港と地域住民との良好な関係確保には、空港周辺における騒音に整合した土地活用を前提とした地域活動の場の提供や地域密着型施設の整備、情報交流による地域住民との信頼関係の強化、地域住民との人的交流を行うことにより、空港と地域の交流・活性化を図ることが必要である。
このため、「周辺環境部会」は、空港事務所、関係自治体、空港関連企業、各種団体の参加のもと、それぞれが果たしうる役割について認識したうえで、地域住民との交流を深める体制を確立することが必要である。このような体制の確立に向けて、「周辺環境部会」は着実かつ継続的な協議の場とする。

 

航空機駐機中のエンジンストップを促す空港動力設備
航空機駐機中のエンジンストップを促す空港動力設備
【周辺環境計画】
各空港における各種取り組みを具体化するために、「周辺環境計画」を原案策定する。
「周辺環境計画」は、空港周辺の土地活用、情報交流、地域住民との人的交流といった要素毎に、地域の利用ニーズを汲み上げ、既存の施策や活動の実施状況を整理し、空港と地域の交流・活性化を達成するための考え方、施策等を定めるもので、「周辺環境部会」で議論し、原案を策定するものである。
5. エコエアポートの進捗状況

 航空局としては、エコエアポートは当面4.(1)で示した26空港を対象としている。平成15年のガイドライン制定以来、図−2のとおりエコエアポートの取り組みは進んでいる。平成18年度中には、ターミナル工事中の函館、供用なったばかりの新北九州を除いた全ての空港でエコエアポート協議会が設立される予定である。

図−2 各空港対応状況(平成18年3月現在)
図−2 各空港対応状況(平成18年3月現在)

 また、成田、関西、中部空港においても本ガイドラインに準じた形で既にエコエアポートについて積極的に取り組んでいる。特に成田空港においては、エコエアポート基本計画において、2010年までに2002年度比でCO2排出量を発着1回当たり10%削減するなどの積極的な対策を表明している。
 第3種空港においても、神戸空港のエコアップエアポート、静岡空港のエコエアポートと確実に空港の環境対策は進んできている。

6. おわりに

 エコエアポートは協議会が設立されているだけで、具体的な動きはまだまだこれからという所が少なくありません。航空局では、引き続きエコエアポートが有効な環境施策となるよう積極的に働きかけていきたいと思います。



Back Contents