Scope View
関西国際空港2期用地造成工事での施工管理システムについて
1. はじめに

 関西国際空港は大阪湾泉州沖5kmに位置し、大水深の軟弱な地盤を埋め立てて造成されています。1999年から1期空港島のさらに沖合いにて2期工事の用地造成工事が行なわれており、約545haの広大な海域を迅速に埋め立てながら、2007年の滑走路供用に向けて施工が進められています。
 2期用地造成工事では、1期工事で得られた知見を生かした工夫をしながら、1期工事の当時にはなかった「最新の技術」を随所に導入することで円滑かつ効率的な事業推進を実現しています。2期工事での導入技術の代表的なものとしては、ナローマルチビームによる海中測量技術、GPSを駆使した3次元の計測技術、磁気伝送方式による沈下計測技術などが挙げられますが、SCOPEはこれらの要素技術をフルに活用するための施工データ管理システム開発に携わってきました(図−1)。
 以下にはこのうち、埋立て工事を主体に、情報化施工や施工情報データベース構築を目的として開発を行ってきた「施工管理システム」についてご紹介します。

図−1 関空2期工事でのシステム群
図−1 関空2期工事でのシステム群
2. システム開発の背景

2−1. システムの必要性
 施工管理のシステム化を必要とした主な理由は以下のとおりです。
[1] 大規模・急速施工を求められる2期用地造成工事では、工事管理のための大量な施工データを短時間で効率的に処理するとともに、必要に応じて現場へフィードバックを行う。
[2] 電子データを主体とした情報化技術の導入により、工事管理面での生産性の向上や、情報分析に基づいた創意工夫による工期の短縮等を図る。
[3] 造成地盤の情報をデータベース化して2期空港施設供用後に活用できるようにすることは施工段階のみならず維持管理を含めたライフサイクル全般にわたる観点から非常に重要である。
2−2. 施工内容に適合するシステムの開発
 関空2期工事での主要な埋立て工事は、大きく3つのフェイズに区分されます(図−2)。
[1] 「埋立工」:土砂投入を直投方式にて施工する工事区分「二次敷砂〜直投[1]」。
[2] 「一次揚土工」:直投方式による「直投[2]」とそれに続き揚土船で直接土砂投入する工事区分「揚土[1]」。
[3] 「二次揚土工」:薄層撒き出しと振動ローラー締め固めによって陸上施工する工事区分「揚土[2]」。
 これらの工事区分毎で重点的に管理する内容が異なり、管理すべき詳細項目の多様性を踏まえて、それぞれに適合するシステムの設計・開発・運用を行っています。

図−2 埋立工事区分概要断面図
図−2 埋立工事区分概要断面図
図−2 埋立工事区分概要断面図
図−2 埋立工事区分概要断面図
3. システムの基本仕様

3−1. ハードウェア面
 システムを構成するインフラに求められる要件にはデータの登録と閲覧に対する即時性があります。
 本システム群の基盤となるインフラとしてISDNによるネットワーク接続とLANを複合させたサーバを構築し、システム運用の即時性を確保しています(図−3)。このインフラを使用したデータ登録では、データ作成者・登録者・閲覧者等のユーザー役割区分や、運用ルールを事前に明確にしており、登録されるデータ自体のチェックが必ず行われるような工夫をしています。

図−2 図−3 システムのインフラ構成
図−3 システムのインフラ構成

3−2. ソフト面
 取り扱う施工データが多岐かつ大容量となり、システム閲覧した際のレスポンスが低下することが開発時点で懸念されました。これについては、登録された生データからその都度集計処理するのでなく、あらかじめサーバ内で集計処理した結果を同サーバ内に用意し、それを出力することで閲覧のレスポンス向上を図っています。その他の基本的な仕様として、パソコン上で稼動することや汎用の表計算ソフトでデータを出力できることなどが挙げられます。
4. システムの概要

 本システムは、将来における有効なデータベースという一面をもっていますが、基本は施工段階での情報管理機能を第一に考えています。そのため具体的には、システム閲覧時に時間軸を主とした閲覧方式でシステム構成をしています。
 いずれのシステムにおいても収録する基本データは「施工履歴」、「出来形」、「土量」を基本情報としており、さらに二次揚土管理システムでは「品質」も加えた情報管理を行っています。

4−1. 埋立工 施工管理システム
 埋立工では不等沈下を抑制するために、原地盤に対して「薄層・均一な施工」が工事のカナメとなります。埋立工システムでは200m四方を基本ブロックとして、「施工日」、「施工個所」、「深浅測量(5mメッシュの事前/事後測量)」、「投入土量(検収土量データ)」などのデータ管理をし、均一な施工が適切に実施されているかどうかを効率的に把握します(図―4)。

図−4 埋立工  施工管理システムの画面例(進捗平面図)
図−4 埋立工 施工管理システムの画面例(進捗平面図)

4−2. 一次揚土工 施工管理システム
 一次揚土工では短期間で局所的に大きな荷重が載荷されるため、原地盤の沈下への影響が顕著に表れます。一次揚土工システムでは、埋立工システムの基本ブロックをさらに細分化し、40m四方を基本ブロックとしてデータ管理を行っています。取り扱うデータは「施工日」、「施工個所」、「深浅測量(5mメッシュでの事前/事後測量)」、「揚土天端の出来形(40mメッシュ)」、「投入土量(検収土量データ)」等としています。沈下解析に用いる施工履歴や一次揚土天端の定点沈下観測値等のデータを提供しています(図―5)。

図−5 一次揚土工  施工管理システムの画面例(進捗平面図)
図−5 一次揚土工 施工管理システムの画面例(進捗平面図)

4−3. 二次揚土工 施工管理システム
 二次揚土工では造成地盤の品質(締め固め密度)確保が重要となります。二次揚土工システムでは、埋立工や一次揚土のシステムで取り扱っている管理項目以外に「品質」を加えて、施工段階での施工情報を管理するとともに、空港施設として供用した後においても、基盤となる造成地盤情報の閲覧ができます。
 データ管理のメッシュは40m四方を基本ブロックとしています。また、薄層施工のため多層にわたる管理となります。取り扱うデータは「施工日」、「施工個所」、「出来形(20mメッシュでの事前/事後測量)」、「締固め土の含水比・密度」、「投入土量(検収土量データ)」などです(図―6)。
図−6 二次揚土工・造成工 施工管理システムの画面例(進捗平面図)
図−6 二次揚土工・造成工 施工管理システムの画面例(進捗平面図)
5.まとめ

 施工管理システムは、迅速かつ高品質な施工による空港島の造成を目的として、関西国際空港用地造成梶A関西国際空港(株)建設事務所の主導のもとSCOPEが調査・設計・開発 および、運用までを一貫して行ってきました。
 現在、2期滑走路供用予定である2007年まで残すところあとわずかな中、施工管理システムは2期工事で取り入れられたGPSなどの最新の技術と連携し、円滑なデータ登録運用と施工情報の提供および、膨大な施工管理情報のデータベース化に貢献してきております。


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