行政のトップ、例えば国の省庁でいえば局長クラスといったCEOにあたる人物が、行政の組織の経営戦略を考える上でInformation Technologyの戦略をどう考えたらよいか。 民間企業のトップと行政のトップは若干の違いはあるかもしれませんが、本質は同じだと思います。 通常、行政セクターに対応する産業界があるわけです。とすれば、その産業界にITが必須だったら、当然、その担当官庁にもITが開く戦略に理解が欲しいところです。 建設業に対応する行政について言えば、一つは、ITで業界を生まれ変えらせるというマインドができていない。もう一つ、業界へのITの浸透促進という観点で言うと、やはり競争がキーワードです。日本の公共事業に海外の業者を入れれば競争が発生します。海外の業者はITを駆使しますから、当然、ITを使わざるを得ない。本当はそういう状況が理想的です。逆に海外の工事に応札するためにもITは必須ですから、競争を導入することでITの戦略ができる。そうすると必然的に行政側も自然にITの意識がついてきます。規制を外して競争を導入することが一番革新的な技術イノベーションを推進できるわけです。 |
行政の本来の仕事は、全国に展開する高速道路網をベースに、その上に地域振興をどう考えるか、といった類の話なのに、不幸なことに、高速道路の舗装が、トンネルが、工法がどうの、といった話になってしまっています。だから、ますます行政のトップの人から見ると、ITはどうでもいい話になっています。 行政側でCIOを育成するならば、局長など行政トップに就任する前に必ずCIOを担当する。行政は1・2年で人事異動がありますから、その期間に集中して勉強することになります。時間が限られているからツールとしての勉強ではなく、主にテクノロジーの勉強に集中できるはずです。 銀行などでは、頭取になる人材は一度は情報システムを担当します。そういう人材がいれば、いざシステム統合というときも、どのように対応すべきかがわかっていますので、トラブルを起こすことなくシステムを移行することができます。例えば、3つの金融機関が統合するときは、そのシステムをそのまま統合してはいけません。捨てるわけです。問題を起こしてないところは単純にどちらかを捨てています。システム自体をくっつけたところは必ず問題を起こしておかしくなっています。 もしも行政にITを扱うセクションがない場合は、IT関連企業などに2年ぐらい出向して勉強してくればいいでしょう。そのようにCIOを育てていくしかありません。いずれにせよトップになるためにはITの理解は必須です。どこかで勉強しなければいけません。 |
このように基本的にITに関しては民も官も、特に差はありません。強いて言うとこの10年でITを経営にうまく使っている差が勝組負組という形で出ています。それほどITは現在の経営戦略には必須条件なのです。今ごろITを活用しなければ、などと言っている人は、ほとんど、新幹線を利用すれば日帰り出張できると言っているのに近い。
行政セクターは、いわば情報処理産業なので非常にIT活用の余地が大きい。しかし、まず追求することはツールとしてのITの活用ということではなく、行政の体質強化です。処理能力向上という意味では絶対必要です。そのときにITをテクノロジーとして理解してないと体質強化策は出てきません。
行政セクターとして、特に大きな課題はITの見方です。どうしてもITの議論を進めるうちにツールの使い方の普及になってしまっています。これではCIOのレベルにならない。追求するものは、ツールとしてのITではなく、テクノロジーとしてのInformation
Technologyだということです。
いずれにせよトップマネジメントはITが必須なので、行政の方も、必ず経歴の中でITのテクノロジーを勉強できるポジションを組む。そのことによって、行政のITの意義がきちんと整理・理解されていくと思います。
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