国際的視点から見た民間の創意工夫力・技術力を活かすための入札契約について
さらなる創意工夫が活きるPFIへ

 PFIの話に戻りますが、PFIの入札では値段だけで競争していません。落札者決定に際し、価格と創意工夫した提案とを総合評価します。基本は総合評価一般競争入札です。民間の創意工夫が活かせます。
 その基になっているのが性能設計による発注です。社会資本を整備し、維持管理、運営し、良いサービスを提供するには、最初のステップである設計段階から、設計、工事、維持管理、運営の各担当者も参加して本当のブレイン・ストーミングがきちんと行われる必要があります。設計、建設、維持管理、運営の全ての費用を含む価格が、総合評価競争入札での入札価格になりますから、落札するためには、参加者は全体を考えて、最も良い案を考えることになります。PFIは性能発注という手法が本当に機能する発注方式だと思います。
 PFIでは、設計、施工、維持管理、運営を一括発注しますから、スケールメリットが出て、価格が安くなる可能性もあります。また、入札者の幹事会社を見るといろいろな業種が参入しています。異業種が入ると相手の手の内が見えにくくなり、利益は確保しつつも、本当に熾烈な競争をしていると思います。この競争が価格縮減に寄与している、とPFIを評価しています。
PFIの課題

 直接、入札契約問題に関係しない事項も含まれますが、PFIにもいくつか問題点があります。
 これから過去に作られた社会資本の維持管理、改修が増えてくる中で、PFI法第1条によると、PFIは、あくまで民間資金を使って、効率的、効果的に社会資本を整備する、と読めることから、PFI法は新規案件や大規模な改修を伴う案件以外には対応できないのではないか、ということです。
 また、PFIの契約期間は、通常10年前後から30年までです。社会資本が一般に60〜100年もつというときに、契約期間後はどうするかが気になります。今まで効率良く民間が維持管理、運営していたものを官が直轄でやろうというのは考えにくいことです。指定管理者制度を使って、会計法で許されている5年以下の契約で外部委託することになるのかと思いますが、この期間で、安価な契約ができるのか心配になります。
 また、PFIにも予定価格があり、これを超えると失格になる点は他の入札と全く同じです。予定価格を多少超えても総合評価で非常に良ければ認めた方がいいのではないか、と思います。
 PFIは完全な性能発注です。入札を考えている者は入札前に発注者に質問し、発注者が答えていますが、この質疑応答の段階では、本当に大事な創意工夫や技術提案について意見交換を行うには限界があります。PFIは発注段階で、協議、交渉が最も必要な入札方式と思っていますが、これができないのは大きな問題です。
 私はPFIでの新規案件の実施は、その年の新規事業予算の5%程度以下ぐらいが限界だと思います。毎年毎年、新規にPFI案件を多く実施していくと、後年度負担が累積し、新規事業がやりにくくなってきます。
 PFI法の一番画期的な点は債務負担行為の上限を30年に延ばしたという点で、基本的には現行の会計法に逆らわずに30年までの契約が可能になりました。本当に重要な点はこの点だと思います。

表−1 PFI法より
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の建設、維持管理及び運営(これらに関する企画を含む。)の促進を図るための措置を講ずること等により、効率的かつ効果的に社会資本を整備し、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
会計法と発注形態のさらなる工夫を

 公共事業がいろいろと批判に晒されています。不必要な社会資本を整備しないことが最も大事です。必要な社会資本を整備するときには、民間企業の創意工夫や技術力を適正に評価して、積極的に活用し、より良いものを安く調達する努力が必要です。さらに、その調達プロセスやプロセスの透明性も含めて、社会資本の整備とそれによるサービスを提供していることを、国は最大限アピールし、国民の理解を求めなければなりません。
 WTOの話を持ち出したのはそういう理由もあります。WTOの入札方式をもう少し勉強して、日本の入札方式に組み込んだときに、民間の創意工夫や技術力はもっと活かせるのではないでしょうか。そうすれば、さらに日本は技術的にも伸びる余地があるのではないでしょうか。そのためには、会計法の改訂とそれに応じた発注方法の工夫が必要であるということが結論となります。


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