Scope View
第1回国際建設ITコンファレンス(ICCI2004)参加報告
1.はじめに

 8月15日より3日間の日程で、「第1回国際建設ITコンファレンス(ICCI2004)」が中華人民共和国北京市郊外の清華大学で開催され、SCOPEとして「Develo-pment and Application of Electronic Document Management System(邦題:工事帳票管理システムの開発と運用)」と題した論文の投稿、並びにコンファレンスでの発表を行いました。
 コンファレンスの内容、併せて開催された三峡ダム視察会について報告します。
2.国際建設ITコンファレンス

 第1回国際建設ITコンファレンスは、『建設ITと建設マネジメントにおける先進的戦略とテクノロジー』をテーマとし、精華大学土木工学部の主催、中国建設省・水利省、SCOPE、JACIC、土木学会等の後援の下開催されました。
開催目的とそれに至った背景、開催日程、開催場所、開催規模等について以下に詳述します。

2−1.背景と目的
 コンファレンス開催に至る背景と目的について、公開資料より引用すると以下の通りです。
 WTO加盟後、中国の建設行政及び建設業界にとって世界標準レベルの情報マネジメントを取り入れることが重要な課題となってきました。建設ITは、行政を始め、調査、設計、建設、コンサルタントなどの建設関連企業に利益をもたらすだけではなく、建設関係のITベンダーにも大きなビジネスチャンスを与えるものです。2001年の初めに、中国建設省は、“情報技術によって工業化を促進し、工業化によってIT化を促進する”との方針を打ち出しました。同方針では、建設IT分野の強化を強調しています。
 このような背景から、建設IT分野におけるリサーチと適応の進展について検証し、戦略を討議するために、中国北京市の清華大学において、初の国際建設ITコンファレンスを開催するものです。このコンファレンスでは、建設ITについて、中国と諸外国とのコミュニケーションに重点を置きます。世界各地の行政官、企業家、学者が招待され、彼らの経験と知恵の交流が図られます。当コンファレンスによって建設ITが更に促進され、中国のみならず全世界での当該分野の発展に寄与する重要な提言がなされると信じています。

2−2.開催日時・開催場所
 国際建設ITコンファレンスの開催日程、開催場所は、以下の通りです。

開催日程:2004年
8月15日 09:00〜12:30
 開催セレモニー、招待講演
  13:30〜18:30
 基調講演、論文発表
16日 09:00〜12:30
 招待講演、基調講演、論文発表
  13:30〜18:15
 基調講演、論文発表
17日 09:00〜11:30
 基調講演、論文発表
  11:30〜12:00
 閉会セレモニー
開催場所:清華同方科技広場
(Tsinghua Tongfang Hi-Tech Plaza)

清華同方科技広場全景

 今回コンファレンスが開催された会場は、清華大学が持つ企業が建設し、管理運営している建物で、会議場、宿泊施設、飲食施設からなっていました。

会議場

飲食施設

2−3.開催規模
 今回発表された論文は、主に日本と中国の関係機関から投稿されており、全て事前に提出して査読を受けている物のみです。論文数とその種類を下記に示します。(参考として日本側より提出された編数も併記します)
投稿論文数:
〈Invited Speech〉
3編(日本側 2編)
〈Keynote Speech〉
14編(日本側 7編)
〈Session Presentation〉
38編(日本側24編)
3.開催内容

3−1.発表時間と使用言語
 Session presentationの発表は2会場に分かれて実施され、1題当り発表12分、質疑応答3分のスケジュールでした。コンファレンスの公用言語は英語とされていたため、日本側の発表は全て英語で実施されました。(一部の発表は中国語で行われました)

3−2.展示会
 コンファレンスと同時に、協力企業による展示会が実施されました。
4.三峡ダム視察

 「三峡」とは、西方は四川省の白帝城から、東方は湖北省の南津関に至るまでの全長240kmに及ぶ峡谷の総称であり、その名称は瞿塘峡、巫峡、西陵峡の三大峡谷に由来しています。三峡ダムは、この西陵峡付近に建設されています。視察会は、8月12日から8月14日の2泊3日の日程で開催され、13日には下流の宜昌から観光船によって三峡ダムの船閘を通過してその上流部まで遡上しました。
 長江は現在3000トンクラスの船舶しか航行できませんが、三峡ダム貯水池が計画高に達すると1万トンクラスの船舶も航行可能となります。

4−1.三峡ダムの概要
 三峡ダムプロジェクトの緒元は以下の通りです。

【ダ  ム】
 サ イ ト:湖北省宜昌県三斗坪
 堤頂の高さ:185m
 堤体の長さ:1,983m
 型   式:コンクリート重力式
 建設期間:18年
【貯水池】
 面   積:1,084 km2
 長   さ:約600 km
 通常水位:175m(現在135m)
 洪水防止水位:145m
 総貯水容量:393億m3
 洪水防止貯水量:221.5億m3
【発電所】
 発電機の数:26基
 一基当たりの発電能力:68万kw
 総発電施設能力:1,768万kw
 年間発電量:840億kwh
【船舶航行】
 船   閘:二線式5段階船舶ロック
       (1段階当たりの昇降高度は20m)
 垂直船舶リフト:昇降高度113m
 改善される航路:570〜650 km
【国家投資】
 総額(1990年価額):570億元(105億米ドル)
 ダム発電所建設費:298億元(55億米ドル)
 住民移住対策費:185億元(34億米ドル)
 送電線・変圧機敷設費:87億元(16億米ドル)
【住民立ち退き】
 総  計:1,131,800人(県都クラスの都市が移転している)

三峡ダム平面図

4−2.三峡ダムの建設目的
 三峡ダムは、多目的ダムであり、主な目的として以下のものが挙げられています。
 (1)洪水制御(下流域の洪水確率を10年から100年にする)
 (2)電力提供(大気汚染の無い水力発電による電力を東部の振興地域へ供給する)
 (3)用水提供(北部の乾燥地域への用水提供)
 (4)水運の向上(貯水地域が重慶まで達するために1万トンクラスの船舶が航行可能となる)

4−3.三峡ダムの今後
 日本のダムにもある問題として、堆砂対策があります。視察会で質問したところ、三峡ダムでは洪水堰からの放水によって堆砂は防止できるとし、併せて上流に10カ所のダムの建設と植林による土砂流入の防止によって堆砂量自体を減少させようとしています。
 現状の残工程としては、右岸側発電所並びに地下発電所の建設、シップリフトの建設、船閘の5段目の建設が残っており、2009年の完成を目指しています。

三峡ダム全景


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