Scope View
外海・急勾配地形での施工技術に関する研究
研究第二部

 
1.研究の概要

 我が国の沿岸域には陸上部から急峻な地形で海底に至る箇所が多く存在します。このような急勾配海底のある沿岸域、特に他の陸域とは遠く隔たった外海にある離島では波浪条件の厳しさもあいまって、岸壁等の港湾施設に対する整備計画、工事施工は、物理的にも経済的にも困難な状況におかれています。
 本研究では、このような外海・急勾配地形のある沿岸域での施工事例を収集・整理して施工技術の課題を抽出し、これらの課題を抱えた条件下にある港湾施設整備をモデルケースとして、構造形式、工程計画、コストも含めた施工に関する技術提案をまとめました。

 
2.システムの特徴

 外海・急勾配地形での港湾施設の施工事例を収集し、施工技術に関する課題を整理しました。施工事例としては、海底が急峻な地形で海象条件が厳しい離島での施工事例が多い結果となりました。
 その中で、施工する上でのさまざまな技術的課題がとりあげられましたが、それらをまとめると主に下表に掲げる事項となります。

 また、このような課題に対し、現在の対応技術及び今後の技術開発が望まれる技術について、関連する技術資料を調査しました。
 調査の対象としては、本研究会の目的から施工段階での関連技術とし、次の3項目について調査し整理しました。


 
3.モデルケースによる検討

モデルケース
 整理した技術課題に対し、具体的に施工技術を検討するため、モデルケースとして伊豆七島の御蔵島港の岸壁を延伸することを想定し、代表的な構造形式としてケーソン式及びジャケット式構造の施工技術について、両構造の特徴を再整理すると同時に要求(防波・係留)機能別の構造案等を検討しました。


御蔵島港(冬季) 御蔵島港岸壁利用概念図


検討結果
(1)ケーソン式岸壁
 急勾配地形に対応する基礎工の構造として、基礎工先端部分に捨石の崩壊を防ぐ「法止工」を設置する、基礎工断面を小さくするために基礎工の法勾配を変更するなどいくつかの構造について、施工性、経済性等を検討しました。現地盤が急峻で捨石数量等が膨大となり、工費が増大することをある程度抑える構造として検討しましたが、施工性の面では、大水深での捨石均し精度確保等が課題となりました。
(右図はクリックすると拡大表示されます)
ケーソン式岸壁検討断面の1例

(2)ジャケット式岸壁
 海象条件が厳しい場所であることを考慮し、防波機能は持たせず係留機能のみを有する構造として検討しました。海底に固定されるため、急勾配地形においても安定した構造ですが、岩盤への鋼管杭打設やジャケット仮置き時など施工途中での安定性確保等が課題となりました。
 但し、マウンドの形成が不要であるなど、工費、工期ともに低減され、係留施設のみを必要とする場合は有利です。なお、モデルケースでは既設岸壁前面の捨石マウンドを考慮せずに設置するものとして検討しました。
(右図はクリックすると拡大表示されます)

ジャケット式岸壁検討断面

 
4.まとめ

 本研究では、過去の施工事例から外海に面し海底が急傾斜地である地域での施工技術に関する課題を整理するとともに、モデルケースとして、御蔵島港岸壁をさらに延伸することを想定し、ケーソン式構造、ジャケット式構造を検討しました。
 モデルケースのうち、ケーソン式構造においては、基礎工断面を小さくし、工費の増大をある程度抑える構造として提案をまとめましたが、大水深下での作業等が課題となりました。
 また、ジャケット式構造については、係留機能のみを要求される場合、工費、工期の面で有利となるものの、施工途中の安定性確保などの課題が残りました。



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