![]() |
|
総合評価落札方式は、価格と価格以外の要素を総合的に評価して落札者を決定する落札方式であり、公共事業では平成11年度から実施されてきています。以下、本稿は国土交通省で直轄工事に適用されている総合評価落札方式の経緯・内容等の一部について簡単に紹介します。 なお、地方公共団体においても平成11年2月の地方自治法施行令改正に伴い、総合評価落札方式の実施が可能になっています。 |
総合評価落札方式は、従来の価格のみによる自動落札方式から、価格と価格以外の要素を総合的に評価して落札者を決定する落札方式であり、入札者から提示された技術提案と価格について総合的に評価を行うことにより、価格その他が国(または当該地方公共団体)にとって最も有利な提案を行った者を落札者として選定できる方式です。入札者からの積極的な技術提案による技術面での競争を促進するとともに、価格のみならず総合的な価値による競争を促進することは、発注者にとって最良な調達を実現させ、公共工事の品質確保を図る上で有効であると期待されるとともに、ひいては、効率的かつ効果的な社会資本の整備、民間の技術開発の促進に寄与するものと期待されるところです。 本方式では、
|
会計法や予算決算及び会計令には、価格及びその他の条件が国にとって最も有利なものをもって申込みをした者を契約の相手方とすることができるとされているものの、1件ごとに大蔵大臣との個別協議が必要とされていたので、価格以外の条件を評価して落札者を選定することは、従前、ほとんど実施されていませんでした。 その後、公共工事発注機関と大蔵大臣(現在の財務大臣)との「包括協議」が整うとともに、「包括協議」を受け、本方式によって入札する場合の事務処理の効率化に資するため、前記大蔵大臣との協議を整えた各省各庁の長の定め及び運用上の基本的な事項を手引きとした「工事に関する入札に係る総合評価落札方式の標準ガイドライン」が公共事業関係省庁間において申し合わされました。 「包括協議」及び「標準ガイドライン」により総合評価落札方式を実施する際には、大蔵大臣(現在の財務大臣)との個別協議は不要となっています。 表−1 総合評価落札方式の主な経緯
|
価格以外の要素として評価する「評価項目」は、価格が上位であっても入札時に提示される「性能等」に基づく工事の実施により、より適切に社会的影響や社会的要請に対応し、発注者または事業主体者等の責務を果たすことができる項目を選定する必要があり、また、その項目は当該工事に係る契約において、その内容が担保できるものに限るものとし、担保できないものは評価項目とすることはできません。 このため、評価項目となる事項は、公共工事発注機関と大蔵大臣(現在の財務大臣)との包括協議において限定列挙されています。「標準ガイドライン」における「例示」とあわせて評価項目の分類を表−2に示します。 なお、「標準ガイドライン」の例はあくまで「例示」ですので、この例示以外の項目についても包括協議の枠内で実施可能と解釈されます。ただし、包括協議で限定列挙されている事項に該当しない事項を評価項目として総合評価を実施することは包括協議の枠外となり国が発注する工事においては財務省との個別協議が必要となるので注意が必要です。 表−2 包括協議と標準ガイドラインにおける評価項目の分類
「評価項目」は「必須評価項目」と「必須以外評価項目」の2種類の扱いがあります。 「必須評価項目」とは、技術提案された性能等を得点として評価すると同時に、性能等の向上に必要な工事価格等のコストを「総合評価管理費」(表−3参照)として予定価格の中に計上する評価項目であり、「必須以外評価項目」とは「総合評価管理費」を予定価格の中に計上しない評価項目です。 評価方法は「評価項目」を「必須評価項目」と「必須以外評価項目」のいずれとして扱うかで異なってきます。 「5」「6」では総合評価落札方式の評価方法のうち、「性能等」のみに着目して評価を行う場合における、特徴的なパターンと考えられる「必須評価項目のみを評価する場合」と「必須以外評価項目のみを評価する場合」について、その評価方法を紹介します(両者の混合あるいは、補償費などの「工事価格以外のコスト」を評価するパターンについては、ここでは省略) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |