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1.港湾の防災に関する研究会の設置
3.港湾の防災に必要な施策 港湾は、国民の生命、財産を地震、津波、高潮等の大規模自然災害から守り、経済産業活動等への影響を極力軽減できるよう災害に強い港づくりを進めるとともに、被災直後から緊急物資輸送や住民の避難、移動等において所要の役割を果たすため、その機能を早期に回復し、効果的に発揮させる必要があります。そのため、地域防災計画や港湾計画等に、大規模地震対策として当該港湾に必要な施設やその役割等を位置づけ、災害時における港湾の機能を明確化しつつ、以下の施策を実施することが必要です。 (1) セーフティ機能の発揮のため必要な施策 1)防波堤による津波被害の防止・軽減 従来から防波堤が果たしてきた静穏度の確保に加えて、津波等に対する被害の防止・軽減についてもその効果を検証し、効果的な防波堤の計画とすること。(図−5)
2)港湾における避難地の確保等 津波来襲時、港湾内の人々が緊急に避難できる高台、防災ビル等の避難場所やそこまでの避難ルート、避難誘導のための情報伝達システムを確保するとともに、関係者や市民に対して日頃から十分に情報提供を行っていくこと。 (2) ゲートウェイ・バイパス機能の発揮のため必要な施策 1)情報収集・伝達の迅速化 情報通信システムの多重化や国と港湾管理者との間の防災情報ネットワークシステムを構築するとともに、日常から当該港湾の専用港湾施設を所有する企業や港湾利用者等との情報交換に努め、情報伝達様式の統一化や簡素化による情報伝達の迅速化を図ること。 2)耐震強化施設空白地域の早期解消 大規模地震の切迫性の高い地域(観測強化地域、特定観測地域、東海、東南海・南海地震対象地域等)のうち、人口や資産が集中する背後圏を持つ港湾、陸上交通が途絶した場合に海上輸送に頼らざるを得ない港湾や耐震強化岸壁の空白域となっている港湾等においては、耐震強化岸壁の整備や臨港道路の耐震強化を重点的に行い、より具体的な政策目標を掲げて緊急時の輸送ルートを確保すること。(図−6)
3)老朽化した耐震強化岸壁等の改良 阪神・淡路大震災以前の技術基準に基づいて建設された耐震強化岸壁で、耐震性が不十分な施設や老朽化した施設については、適切な改良等を行うこと。その際、工法の簡素化等一層のコスト削減につながる技術開発とともに、計画的な事業推進を図ること。 4)基幹的な物流機能の確保(災害に強い国際港湾の育成) 大規模地震発生後の経済産業活動の早期回復を図り、地域の復興を支えるため、国際海上コンテナターミナルの運営上のボトルネックを洗い出し、ターミナルのコンテナ取扱能力を最大化させるための方策について、関係者間の合意形成を図っておくこと。 5)応急復旧の進め方 港湾が甚大な災害を受けた場合に、応急復旧工事の優先順位の考え方や国と港湾管理者の協力・連携の在り方をあらかじめ検討しておくこと。 6)物流ネットワークの再構築 情報通信システムやインターネットを活用して、港湾利用者に被災港の被害状況や代替港に関する情報を適切に提供し、円滑な代替港での利用を図ること。その際、特定の代替港に貨物等が集中し新たな混乱が発生しないよう、国は、港湾管理者やコンテナターミナル等を運営する埠頭公社等の関係者と協力して利用者の誘導を図ること。 (4) スペース機能の発揮のため必要な施策 1)オープンスペースの確保 耐震強化岸壁の整備や臨港道路の耐震強化の実施に併せて、これら施設の防災機能をより効果的に発現させるため、緊急物資の仕分けや一時保管、へリポート等に対処できる緑地・広場等のオープンスペースを確保すること。 その際、公共によるオープンスペースの確保が困難な港湾については、臨海部の企業用地の活用等民間と協力・連携すること。また、河川行政や都市行政との連携により効率的かつ効果的な防災体制を整えること。 2)瓦礫処分のための事前対応 大規模地震等により発生が見込まれる大量の瓦礫処分を港湾が求められる場合は、事前に港湾計画に位置づけ、各種手続きや権利者との調整を速やかに進める等瓦礫処分の迅速化を図ること。 4.今後の港湾の防災に関する施策の進め方 以上のような施策を進めていく上で、1)阪神・淡路大震災のように大規模かつ影響が広域化する災害では、国が担う責務が大きく、国が主体的に対応していく必要があるため、国が果たすべき役割を明確にすること、2)防波堤の津波防止機能や防災を主目的とした耐震強化岸壁の整備や既存岸壁の耐震強化等防災の観点から事業評価が可能となる仕組みを確立すること、3)協議会の設置等関係者が連携した総合的な取り組みや市民の危機管理意識の向上を図ること等に留意していく必要があります。 |
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