尼崎集中コントロールセンター
尼崎は古くから交通の要所として栄え、近年は工業都市として発展してきました。しかし、大量の工業用水の汲み上げのため地盤が沈下し、市内の約4割が海水面より低い「ゼロメートル地帯」となりました。昭和25年に阪神間を襲ったジェーン台風では、高潮が海岸線より4キロも離れた東海道本線まで達し、市内の1/3が浸水する壊滅的な被害を受けました。こうしたことから、市内を高い防潮堤で取り囲み、堤内への船舶の出入口としての閘門が建設されました。今ではこの閘門をはじめとする高潮防潮施設は尼崎の街を守る生命線となっています。
尼崎第一閘門は、昭和30年に日本で最初の閘門式防潮堤として建設され、通行船舶の増加に伴い昭和40年に第二閘門が建設されました。その後閘門の老朽化や長期に渡る地盤沈下等により施設が変形を受け、所要の耐震性を確保できなくなったことから、平成6年度より閘門改良事業が進められ、平成14年度に2門の改良建設が終わりました。尼崎地区の海岸保全施設は閘門をはじめ水門、陸閘、排水機場など多くの重要施設がありますが、これらの運転監視は各々の施設毎に行っています。これらの各施設を光ファイバーケーブル網で一カ所に集約し、監視制御を行える集中コントロールセンターの建設が現在、神戸港湾事務所によって進められています。
集中コントロールセンターは、SRC構造で地下1階地上4階延べ床面積2,400m2の規模となります。建築工事は、平成15年度に駆体がほぼ完成、平成16年度には設備機器関係を設置・最終仕上げを行い、平成16年度末に完成の予定です。設備機器(監視制御設備・受配電設備、光電送路)については平成15年度にソフト・ハードウェアの構築を、平成16年度に集中コントロールセンター内に機器設置を行い、総合試運転を行った後完成となります。平成17年度からいよいよ集中コントロールセンターは、高潮浸水から尼崎市街を守る防災センターとしての重要な役割を開始することとなります。
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