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公共工事コスト構造改革について

(2)プログラムにおける具体的な施策

 港湾・空港整備事業においては、本プログラムの各施策に積極的に参画しコスト構造改革を推進しています。以下にプログラムにおける港湾・空港整備事業の取組みを一部紹介します。

1)「事業のスピードアップ」

【1】 「合意形成・協議・手続きの改善」
 
「港湾計画の構想段階における住民新たな住民参加手続きの導入」として住民参加手続きガイドラインを平成15年8月に策定・公表し推進しています。(港湾)
「一般空港の滑走路新設・延長に係わる新規事業について、構造・ 計画段階での合意形成の手続きの導入」を平成15年度から試行しています。(航空)(詳細についてはSCOPE NET vol.28を参照)
【2】 「事業の重点化・集中化」
 
「事業採択時に事業期間を公表し、概ね5年以内の事業効果発現を目標に投資を重点化」を平成10年度から引き続き実施するとともに、「地域が策定した「みなとまちづくりプラン(仮称)」に基づき実施する事業を概ね5年間で完了できるよう投資の重点化」を図ることとし、当該プランの策定に向けた検討を進めます。(港湾)

2)「計画・設計から管理までの各段階における最適化」

【1】 「計画・設計の見直し」
 
「港湾の施設の技術上の基準の性能規定化、信頼性設計法導入の検討」を進め、平成17年度の基準改訂を目指します。(港湾)
空港土木設計基準等において、新機材等に対応した施設形状及び舗装構造を新たに設定し、無駄のない設計を行えるように改訂を行う予定です。(航空)
平成15年度に設計の総点検を行い、「計画・構想段階」「設計段階」「発注段階」「施工段階」の各4段階でコスト縮減につながるよう点検を行う予定です。(港湾、航空)(図−2)

設計の総点検
設計の総点検

【2】 「新技術の活用」
 
「公共工事における新技術活用システム(NETIS)」への港湾関係の登録を進め、また、空港関係も平成15年度より参加し、新技術の活用によるコスト縮減を図ることとしています。(港湾、航空)
工事の時間的コストの低減に資する技術開発として、桟橋上部工のプレキャスト化と撤去材の漁礁材への再利用により工期短縮、建設費縮減、運搬・処分費の軽減を行っています。(港湾)(図−3)
ライフサイクルコストの縮減に資する技術開発として、橋梁維持管理における塗料材の見直しによるコスト縮減や、空港内緑地の刈草の有効活用・草丈抑制による処分費用の縮減を検討しています。(航空)(図−4)

桟橋上部工のプレキャスト化と撤去材の魚礁材への再利用(下関港の事例)

空港内緑地の草丈抑制の検討(試験施工状況)

【3】 「管理の見直し」
 
ITを活用した施設管理として、通信ネットワークを活用した、航空保安施設の監視・制御、設備の診断・予防保全などの管理システムの活用によるコスト縮減をめざしています。(航空)(図−5、6)



3)調達の最適化

【1】 「入札・契約の見直し」
 
総合評価落札方式の積極的な活用を進め、平成15年度は全発注金額の2割以上を目途に試行の拡大を図ります。(港湾、航空)
【2】 「積算の見直し」
 
ユニットプライス導入に向けての取組を進めています。(港湾、航空)

 これらの施策は、本プログラムの各施策に盛り込んでおり、コスト構造改革に積極的に取り組んでいくこととしています。

 このように「コスト構造改革」で具体的に検討、実施する施策としては、直ちに事業のコストの低減につながるものに限定せず、普及・浸透することにより社会的コスト等も視野に入れた長期的なコストを低減させる施策や、事業実施の円滑化により事業便益の早期発現に資する施策等を幅広く含むものとしています。また、このコスト構造改革では、良質な社会資本を低廉な費用で整備・維持することを目指しており、施策の実施にあたっては、社会資本が本来備えるべき供用性、利便性、公平性、安全性、耐久性、環境保全、省資源、美観、文化性等の所要の基本性能・品質の確保を図ることとしています。

(3)プログラムのフォローアップと数値目標


 本プログラムの実施状況については、具体的施策の着実な推進を図る観点から、推進委員会において適切にフォローアップし、その結果を公表することとしております。

 このフォローアップにあたっては、プログラムに示した各施策の実施状況を検証するとともに、これらの取り組みによるコスト縮減の効果を、現時点で評価可能な項目について数値目標を設定して評価します。

 国土交通省における公共事業コスト構造改革の数値目標としては、(1)事業のスピードアップ、(2)計画・設計から管理までの各段階における最適化、(3)調達の最適化を見直しのポイントとし、公共事業のすべてのプロセスを例外なく見直す「コスト構造改革」の取り組みを適切に評価するため、従来からの工事コストの縮減に加え、(ア)規格の見直しによるコストの縮減、(イ)事業のスピードアップが図られることによる便益の向上、(ウ)将来の維持管理費の縮減をも評価する「総合コスト縮減率」を設定し、平成15年度から5年間(社会資本整備重点計画と整合)で、平成14年度と比較して、15%の総合コスト縮減率を達成することを目標としています。

 国土交通省港湾局、航空局としても、その実現に向けて今後とも積極的に施策を講じていくこととしています。(図−7、8)









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