OFF & OFF


飲んで語らう、ふれあいの場を
「退職の挨拶状に“Barを始めます”と書いたら、みんな驚いていました」という片山さん。退職後たった5カ月でBarの主人として歩き出した第二のライフストーリーを伺います。

若者と交じってスクール通い
奥様のきぬ子さんと 退職したら何かを始めたいと思っていた片山さん。知り合いがバーテンダースクールに行ってバーを始めた話を聞き、退職して3カ月後にはスクールに通い始めました。
  「例えば友達と会いたいとなると、どこかで飲もうってことになります。でもしょっちゅう誘うのは気がひける。バーテンダーになれば、来たい時に店に来てもらって話ができるなと思いました」
 全国から集まってくる10代20代の若者に混じって、1カ月半、バーテンダーとしての技術と心得を学びました。
 「初めはどこか美人ママのいるバーに就職しようと思ってたんです(笑)。でも、ふと、女房がやってる店でBarができないかな? と思い付きました」
 奥様は、手作りケーキと紅茶専門点『紅(こう)』を営まれています。19時に閉店するので、そこから片山さんがバトンタッチ。『Jessy's Bar』の開店です。Jessyは仕事で知り合ったニューヨークのマリーナ経営者の方が付けてくれたニックネーム。YASUOのYAを[ja]と発音することから付けてくれたものだそうです。

営業マンの経験が活きる
 カクテルはお客様の目の前で作るもの。初めは緊張したそうです。
  「冷たい喉越しが美味しさのひとつですから、手際と温度コントロールが大切なんです。オタオタしてお客さんに心配かけちゃいけませんしね(笑)。よく“携帯カメラで撮りたいから、もう1回シェーカー振って”と言われるんですがダメなんです。必要以上に振るとお酒が水っぽくなってしまうんですよ」
 バーテンダーは、お酒を作る技術だけでなく接客が重要。サラリーマン時代に営業で世界中を飛び回っていたからこそ、さまざまなお客様の話し相手ができると片山さんはおっしゃいます。
 「いろんな経験を積んだ66歳で始められて良かったんじゃないかな。カクテルを作る技術は勉強すれば追い付けますから」

自分の店でもあり、二人の店でもあり
 夜でも『紅』の手作りケーキをいただける『Jessy' Bar』では、サラリーマンの方が奥様やお子さんにケーキを買って帰ることもあるとか。ここはご夫婦それぞれが主役の2つのお店であると共に、お二人のハーモニーで幅広いお客様が寛げる空間となっているようです。
 「大きなお店や立派なお店ということより、二人で長く続けられる場所になればいいですね」と奥様。
 常連のお客様が、「ここは高級な居間なんです」とおっしゃっていました。気楽に寛げるちょっと贅沢な空間。それが片山さんご夫婦の作り出す、素敵な第二の人生のステージなのです。



片山 泰夫(68歳)
1961年プリンス自動車(現・日産自動車)入社。マリン事業部等勤務後、新門司マリーナ(北九州市と日産自動車他、関連企業出資による第3セクター)運営会社代表取締役社長、(社)日本舟艇工業会事務局長を経て2004年退職。



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