PFI手法の活用 〜羽田国際線地区整備等事業について〜

1. はじめに

 羽田空港は、平成17年4月現在全国48の空港と結び、平成16年度実績として国内航空旅客の6割にあたる年間約6163万人が利用している国内航空ネットワークの要ですが、今後、さらに国内航空需要の増大が見込まれるなか、既にその能力の限界に達しています。このため、新たに4本目の滑走路を整備し、年間の発着能力(昼間時間帯)を現在の29.6万回から40.7万回に増大させることとしていますが、増加分については将来の国内航空需要に対応した発着枠を確保しつつ、国際定期便を概ね3万回程度受け入れることとしており、こうした国際線航空需要に対応するため、既存空港島内に国際線用のエプロン、旅客ターミナルビル、貨物地区を本格的に整備する「国際線地区整備等事業」を展開することとしています。

写真−1 羽田空港全景
写真−1 羽田空港全景

図−1 羽田空港再拡張事業
図−1 羽田空港再拡張事業

 

2. PFI手法の導入

 国際線地区整備等事業については、民間のノウハウを活用した効率的・効果的な施設整備や空港利用者等に対するサービス水準の向上等を図るため、PFI(Priva-te Finance Initiative)手法で実施することとされました。同事業は、旅客ターミナルビル、駐車場及び両施設を結ぶ連絡通路等を整備、運営する「旅客ターミナルビル等整備・運営事業」、貨物上屋、構内道路等を含めた地域を整備、運営する「貨物ターミナル整備・運営事業」、エプロンや構内道路等の整備、維持管理を行う「エプロン等整備等事業」の3つに区分し、それぞれ別々に募集し今回の事業のために設立する各々のSPC(特別目的会社)が資金調達し、効率的・効果的な施設整備・運営を行います。事業期間はいずれも30年間です。
 なお、東京モノレールと京浜急行が国際線地区の供用に合わせて新駅を設置します。

図−2 各PFI事業の整備手法
図−2 各PFI事業の整備手法

図−3 羽田PFI事業における前提条件
図−3 羽田PFI事業における前提条件
3. エプロン等整備等事業

 本事業は、事業者が自ら調達した資金により施設を整備し国がその対価を年2回、全51回に分割して支払う「サービス購入型」で実施します。このため、財政負担の平準化が期待できます。
 事業者選定方式は総合評価落札方式を採用、入札価格と提案内容の評価により最終的な落札者を決定しました。事業提案の内容の評価は「東京国際空港国際線地区エプロン等整備等事業有識者等委員会」において行われました。発注方式は、設計・施工・維持管理一括の一般競争入札で発注。平成17年7月に入札公告したところ、3グループからの応募があり、一次審査、二次審査を経て平成18年1月末に開札、落札した大成建設グループがSPCの「羽田空港国際線エプロンPFI株式会社」を3月に設立、同社と平成47年3月末までの30年間の事業契約を締結しました。
 現在は、SPCが設計を実施しており、来年3月を目途に現地で工事に入る予定です。
 なお、設計・施工においては、京浜急行トンネル、東京モノレール橋脚、三愛石油シールド等の既設構造物の防護、京浜急行トンネル上部周辺エリア等の盛土に伴う不同沈下対策、耐震対策等の技術的課題があり、有識者からなる「東京国際空港国際線地区エプロン等整備等事業技術検討委員会」の助言をいただきながら、検討を進めています。

4. 旅客ターミナルビル等整備・運営事業、貨物ターミナル整備・運営事業

 両事業は、事業実施に要する費用を利用者からの料金収入で回収する「独立採算型」で実施します。民間ノウハウの活用により、高い利便性・快適性を有した航空サービスの提供、円滑な物流機能を確保、利用者負担の低減を実現するとともに、国のモニタリングによって高い公共性・安全性を確保することが期待されます。
 事業者には、PFI並びに施設の運営、設計及び維持管理についての専門的な知識やノウハウが求められるため、選定にあたっては、公募型プロポーザル方式を採用し、審査は国際線旅客・貨物ターミナルの基礎的な運営能力等の有無を判断する「第一次審査」と、具体的な運営計画、施設整備計画及び事業計画の内容を詳細に審査する「第二次審査」の二段階に分けて実施しました。また、国は事業者を選定するにあたり、専門的見地からの意見を参考とするために、学識経験者等から成る事業者選定委員会を設置しました。
 第一次審査は、旅客ターミナルビル等整備・運営事業には4グループ、貨物ターミナル整備・運営事業には3グループからの応募があり、第二次審査にはそれぞれ3グループが進みました。
 事業者選定委員会の作成した得点案を受け、国は第二次審査参加者の得点を決定し、平成18年4月21日、旅客ターミナルビル等整備・運営事業の選定事業候補者として日本空港ビルディング鰍代表企業とするHKTグループを、貨物ターミナル整備・運営事業の選定事業候補者として三井物産鰍代表企業とする三井物産グループをそれぞれ選定しました。その後、契約交渉を進め、6月1日には基本協定をそれぞれ締結し、6月末にはSPC(両グループとも6月中に設立)との事業契約を締結するべく作業を進めているところです。)

図−4 旅客ターミナルビル パース
図−4 旅客ターミナルビル パース

図−4 旅客ターミナルビル パース
図−5 貨物ターミナルビル パース
5. おわりに

 今後も、平成21年末の供用開始を目指し、各事業を着実に推進していく所存ですので、引き続きご理解、ご協力を賜れば幸いです。
 なお、PFI事業の詳細につきましては、下記のホームページに掲載されていますのでご参照ください。
(国土交通省 航空局ホームページ
 :http://www.mlit.go.jp/koku/04_outline/01_kuko/02_haneda/pfi_index.html



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