博多港アイランドシティ・国際コンテナターミナルの事業化に向けた取り組み

1.はじめに

 博多港は、国際コンテナ取扱が堅調な伸びを示しているものの、現有の3バースでは蔵置能力や水深・耐力の不足のほか、近隣諸港の大水深ターミナルの整備やコンテナ船の大型化に伴う国際コンテナ貨物の海外トランシップが深刻な問題となっています。
 こうしたなか博多港では、アイランドシティ(以下「IC」と略す)地区における新たなコンテナターミナルの整備を求める声が高まり、早期かつ効率的に港湾の競争力を強化できるような整備手法を検討するため平成17年度事業化検証調査費による検討を行いました。検討にあたっては、学識経験者、物流事業者など有識者からなる事業化検証調査委員会(委員長:善 攻企 九州大学教授)を構成しました。委員会では、段階的な効果発現のための整備手法及び段階毎の経済効果について検討がなされ、提言の形で成案を得たので、その概要を報告します。

博多港コンテナターミナル
博多港コンテナターミナル
2.事業化の背景と目的

 博多港のコンテナターミナルは水深13m 2バース、14m 1バースの計3バースで、コンテナ取扱は堅調な伸びを示し、平成16年には約61万TEUの実績となっています(図1参照)。

図1 博多港のコンテナ貨物取扱量の推移
図1 博多港のコンテナ貨物取扱量の推移

 しかし、現ターミナルではコンテナ蔵置能力が足りず暫定ヤードを設けての横持ち輸送が生じており、北米欧州向けの基幹航路に投入されるコンテナ船の過半が所要水深15m以上となっているなか博多港の現有施設では大型船に対しての岸壁の耐力や水深が不足する場合があります。
 また、博多港を出入りする国際コンテナ貨物の約4割が釜山港など海外の港で基幹航路向けのコンテナ船に積込・積卸されるなど港湾としての国際競争力の低下が著しい状況です(図2参照)。さらに平成20年の部分供用予定の釜山新港を始めとした東アジア諸港では将来のコンテナ物流を見据えた水深15m超級の次世代型の大規模コンテナターミナルの整備が進展しています。
図2 海外トランシップが増大している博多港
図2 海外トランシップが増大している博多港

 したがって、博多港IC地区において、水深14mの岸壁に連続する水深15m岸壁を有すコンテナターミナルの早期整備が強く求められています。
 こうした背景を踏まえ、博多港の次期コンテナターミナルの整備にあたっては、これまでのコンテナの横持ち、海外トランシップや船待ちといった非効率な運用を解消するとともに基幹航路就航の機会損失も克服するため、近隣諸港の港湾整備に致命的な遅れとならないよう、また投資効果の早期発現を目指して、段階的な効果発現による整備プログラム及び段階毎の経済効果の検討を行いました。

3.段階的な整備プログラムとその経済効果など

(1)段階整備プログラム
 新たなコンテナターミナルの整備を3つの段階に分け、現在の博多港のコンテナ輸送が抱える課題をできるだけ早期に解消できる整備プログラムを作成しました(表1参照)。

表1 段階整備プログラムとその経済効果
表1 段階整備プログラムとその経済効果

ステップ1:岸壁整備による慢性的なバース混雑による時間調整の解消、コンテナヤードの拡充による横持ち費用の削減を期待するとともに、釜山新港の部分供用に対抗できるよう平成19年度内の暫定供用を目指します。
ステップ2:コンテナヤード奥行きを350mに拡充し、横持ち費用の削減と新たなコンテナ需要への対応を図ります。
ステップ3:コンテナヤード奥行き500mのターミナルの完成と航路・泊地を15m対応とすることで、新たなコンテナ需要への対応のほか基幹航路の誘致によるトランシップの解消を図ります。
(2)コスト縮減効果
 コスト縮減方策としては、段階整備による増加費用とならないように既存の護岸の活用により約11億円のコスト縮減が期待されます。プログラムにより段階的供用を図ることでも、約4億円の建設コストを縮減するに等しい経済効果も確認されました。
(3)その他の留意事項
 プログラムの実施に向けて、岸壁施工時や航路・泊地浚渫時には効率的かつ安全な施工となるよう施設利用者及び関係機関との調整が必要となります。この検討結果を踏まえ、事業効果の早期・効果的な発現のため、さらなるコスト縮減、効率的な工法・工程の検討など、施設利用者及び関係機関等との調整に努める必要があります。
4.あとがき

 IC国際コンテナターミナルついては、さる12月の平成18年度政府予算原案において採択が認められたところです。国会での予算成立を受けて正式に具体の事業化が進むことになります。今後は関係各位のご理解とご支援を得ながら、本提言の趣旨に則り段階的な整備を着実に進めて参ります。


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