Scope View
国有港湾施設の健全度点検及び評価調査について 研究第二部
1.はじめに

 我が国の港湾は、高度経済成長が始まった1960年代から急速に整備され多くの施設について、2010年代から設計上の耐用年数に達し、更新期を迎えることになります。今後、港湾整備事業費が一定であると仮定した場合、2025年の維持・修繕・更新費が事業費に占める割合が増大すると見込まれており、大改修時代の到来が迫っています。
 一方、国、地方を通じて今後ますます財政事情が厳しくなる中で、必要な施設を「新たにつくる」だけでなく、真に必要な機能の維持・増強等を進め、有効活用を図るといった「既存のものを大切に使い、できるだけ長持ちさせる」発想が重要となります。このような事態が予想される中、できるだけ早い段階で適切に維持・改良工事等を実施し、施設の延命化を図るとともに、更新投資の平準化を進めることが重要です。
 こうした状況のもと、従来から行われている損傷の顕在化に対応した維持・補修から、施設の点検診断結果及び需要見通し等を勘案しつつ、ライフサイクルコストを最小化し更新投資の平準化を図るため、アセットマネジメントの概念を導入した施設の効率的・計画的な維持・改良に向けた検討が進められているところであります。図―1に、アセットマネジメントの概念を導入した更新・改良のあり方のイメージを示します。

図−1 アセットマネジメントの概念を導入した更新・改良のあり方イメージ
図−1 アセットマネジメントの概念を導入した更新・改良のあり方イメージ

 アセットマネジメントを行う上で、既存施設に対する劣化・変状等の現状把握と健全度の評価は重要です。国土交通省港湾局では、平成15年度より、全国の主要な港湾(パイロット事務所)において点検評価を開始し、既存港湾ストックの有効活用に向けた組織的取り組みをスタートしています。SCOPEでは、全国の点検評価業務を受託し、全国的視点での業務照査等を行い、本取り組みの支援を行っているところです。表−1にSCOPEで実施している点検施設例を示します。
2. 点検評価の流れ

 一次点検は、目視調査等を主体に点検・評価するもので、1〜2年程度に1回の頻度で実施するものです。一方、二次点検は潜水士や特殊な機器等を活用して目視困難な部位を詳細に点検・評価するものであり、一次点検結果から必要と判断される場合の他、予防保全の観点から5〜10年程度に1回を目途に実施されます。図−2に点検評価のフローを示します。
桟橋上部工の二次点検状況
桟橋上部工の二次点検状況

図−2 点検評価フロー
図−2 点検評価フロー

表−1 点検施設例
表−1 点検施設例


Back Contents