中部国際空港全景

はじめに

 平成17年2月17日、中部国際空港(愛称:セントレア)が開港を迎えました。当空港は、中部圏と世界を結ぶ24時間運用可能な国際空港として、愛知県常滑市沖にオープンした海上空港です。空港用地約470haと地域開発用地約110haの合計約580haの人工島であり、延長3,500mの滑走路1本を有します。
 振り返りますと、このプロジェクトは、実に長期にわたる地元の熱意と努力の上に成り立っているということを感じずにはいられません。中部空港調査会、中部国際空港建設促進期成同盟会ができた1985年からでもちょうど20年、中部経済連合会の手による「国際貨物空港構想」まで遡ると40年近くになります。
 常滑沖は、社会的、地理的な条件も良く、埋立地の海底地盤は浅く軟弱地盤層も薄いものでありましたが、空港建設に当たっては、事業費の削減はもとより、愛知万博の開幕に照準を合わせるため、工事期間が非常にタイトなものとなりました。
 建設工事は、2000年8月の護岸工事着手以来、約7カ月余りで護岸が概成、さらに約2年後の2003年2月には用地造成工事が概成しました。着工からわずか50カ月足らずで、開港に必要な諸施設の準備を整えることができましたのも、ひとえに計画、施工段階からお世話になりました関係者のご理解とご協力の賜物であり、この場を借りて深く感謝申し上げます。
 本稿では、埋立工事を中心に、特徴的な空港島建設工事について紹介させていただきます。
指定土源方式による土砂調達

 用地造成における計画埋立土量は、約5,200万m3でありました。このうち、約4,200万m3を占める山土の調達については、当社自らが埋立土を供給する事業者(土源)を公募し、必要な供給量や品質を確保できることを確認した上で、直接価格交渉を行って決定し、土源との間で土砂価格、供給期間等に関する確認書を取交しております。これにより、用地造成工事に用いる埋立土砂を安定的、経済的に確保することができました。
港湾浚渫土による埋立

 また、当空港においては、コスト縮減の観点も踏まえ、港湾との連携事業として、通常の山土のほかに名古屋港の浚渫土砂約1,000万m3を埋立材として活用しています。当社では、軟弱な浚渫土砂を埋立後に改良するには工期が厳しいため、管中混合固化処理工法を採用しました。本工法は旧運輸省第五港湾建設局他が中心となり技術開発したもので、浚渫した土砂を空気圧送船で揚土圧送する際に固化剤を添加し、圧送管内で発生するプラグ流による乱流効果を利用して浚渫土と固化剤とを攪拌混合するものです。本工法は、圧送時に混練を同時に行うため、固化処理設備及び工程を簡略化して、急速施工が可能となりました。大規模な埋立造成工事への管中混合固化処理工法採用は、世界初であります。
管中混合固化処理工法
部分竣功方式の採用

中部国際空港ターミナル

 このほか、用地造成では、最初に全ての用地造成を完了してから上物にかかるのではなく、埋立免許上6つの大工区とさらに19の工区に分割した上で、順次部分的に竣功させる方式をとっています。これにより、ターミナルビル用地や滑走路用地など、上物工事工程に合せて順次早期に竣工させていくことにより、全体工期を圧縮することができました。なお、埋立計画天端高も当該地区の上物構造に合せて、予め低く後続の上物工事で発生する一次掘削ができるだけ少なくなるようきめ細かく設定し、土量と手戻りが削減できるように工夫しています。
埋立と同時に路床転圧を実施

 滑走路・エプロン部分の造成においては、引き続き実施される舗装路床構築まで含めた一体的な施工を実施し、工程全体の圧縮を図りました。普通、用地造成工程で埋立免許高さまで埋立てた後に、後続の舗装工事において掘削を行い、転圧して所定の締め固め密度の路床面を整正することとなりますが、本工事では、この掘削作業が削減できるよう、用地造成段階で薄層毎3〜4層に分けて転圧しながら路床の整正までを実施いたしました。
路床の薄層転圧
スリップフォーム工法の採用

 エプロンコンクリート舗装には、工期短縮の観点からスリップフォーム工法を導入しました。本工法は、欧米ではすでに空港舗装工法の主流となっていますが、我が国においては、道路関係工事で実績があるものの、空港舗装での実績はありませんでした。
 従来のセットフォーム工法では、コンクリート版の施工は目地連結部材を配置した周囲に固定型枠を設置しコンクリートを打設しますが、スリップフォーム工法では目地部材を配置した路盤上にスランプ調整したコンクリートを鉄網を挟んで上下2層に打設し、その後方から上面・側面成型用の型枠部材を装備したバイブレータ付きフィニッシャー(スリップフォームペーバー)を走行させて締固めと成型を同時連続に行いました。セットフォーム工法に比べて、人力作業が削減でき、施工能力も高いので、本工法にあった目地割の設定や十分なコンクリート供給量の確保などの条件が整えば有効な工法と考えられます。

スリップフォームペーバーによるコンクリート締固め・成型
おわりに

 セントレアの開港に続いて、3月25日には愛・地球博が開催されます。私たちは、国際交流の拠点として、多くの博覧会のお客様をお迎えして、国際交流の活発化、地域の活性化に貢献して参りたいと思います。特に当空港では、「CS世界No.1」を目指し、お客様の立場に立ったサービスに心がけております。これまでの準備から、開港後は実行のフェイズに移行したと言えましょう。実際に空港を利用していただく皆様方のご意見、ご要望をお寄せいただければ幸いです。皆様には、今後とも引き続きのご理解、ご支援をお願いいたします。


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