空港能力の増強、空港へのアクセス手段の改善、航空機騒音問題の抜本的解決を目標として掲げた“羽田空港の沖合展開事業”が昭和59年に第一期工事に着手されて以来20年余の長きにわたって整備が進められてきました。昭和63年には新A滑走路、平成5年には第1旅客ターミナルビルの供用を経て、現在、第三期工事が進められていますが、その第三期工事も平成9年には新C滑走路、平成12年には新B滑走路が供用し、今般、第2旅客ターミナルビルを始め、エプロン、アクセス道路、立体駐車場、モノレールの延伸など一連の整備が進展し、この12月1日にいよいよグランドオープンする運びとなりました。
 沖合展開事業の進捗に伴い、この間の羽田空港の離着陸回数は15万回/年(昭和59年)から30万回/年(平成15年)に拡大し、旅客数も2300万人/年から6300万人/年へと大幅に増加しました。その結果、4000万人の旅客数を想定して建設された既存のターミナルビルや駐車場も完成後10年を経て大変な混雑を呈するようになると共に、固定ゲートの不足からバスでの航空機への乗降が大幅に増加するなどお客様の利便性の低下が著しくなって来ていました。これらの状況の改善のためにも新しい第2旅客ターミナルビルのオープンが待ち望まれていたところです。
 さて、第2旅客ターミナルビルについてご紹介します。
 第2旅客ターミナルビルは関東地方整備局が行う用地造成などの基盤整備事業の進展に併せ平成13年12月工事に着手し、16年9月末に完成しました。ビル設備の運転調整、店舗やエアラインなどの運用準備を行いつつ12月1日のオープンに備えています。
 第2ターミナルビルは地下1階、地上5階建て(ホテル部分一部7階建て)、延床面積18万m2です。羽田空港全体のターミナルビル規模は既存の第1旅客ターミナルビルの29万m2と暫定国際線ターミナルビルの1万m2を合わせると総面積は48万m2となります。

表―1 平成16年12月1日に供用する主な施設
第2ターミナルビルに併設されるホテル
 羽田エクセルホテル東急(387室)
エプロン(駐機場)
 固定スポット15
P3立体駐車場
 2,460台
東京モノレール新駅
 羽田空港第2ビル駅(仮称)
京浜急行
 羽田空港駅東側乗降口
ターミナル連絡地下通路(第1−第2ビル間)
 320メートル(動く歩道116 m)
首都高速道路(湾岸線)への接続ランプ
 東京方面オンランプ横浜方面オンオフランプ
環状8号線への連絡道路
 A滑走路横断地下道ルート
〇ターミナルビルの配置計画

 第2旅客ターミナルビルは海側のC滑走路に面してエプロンが位置しており、カーブサイドは湾岸道路を挟んで第1旅客ターミナルビルと相対しています。第2旅客ターミナルビルは本館と北ピアーとで構成され、ボーディングブリッジを介して直接航空機に乗降できる固定ゲートは15配置されています。第2旅客ターミナルビルの供用により羽田空港ターミナルビルの固定ゲート数は合計で39となり、これまで60%を割るほどに低下していたお客様の固定ゲート利用率が90%程度に向上することが期待されています。
 また、今回のターミナル計画の中で、ターミナル本館の6カ所のゲートについてボーディングブリッジの数を増やさずに航空機の両側から3基のブリッジを接続できるよう工夫したことです。(これまでは大型航空機でも2基の接続が標準)この本邦初の試みにより、お客様の降機スピードが大幅に短縮されることが期待されています。

第2旅客ターミナルビル全体

図―1 3基取り付けられたボーディングブリッジ
〇第2旅客ターミナルビルはANAとAIR DOが使用

 ターミナルビルはエアラインごとに使用するビルが異なります。第2旅客ターミナルビルはANAとAIR DOが、第1旅客ターミナルビルはJALグループとスカイマーク、スカイネットが使用します。乗り継ぎなどでターミナルビル間を移動するお客様が利用できるよう両ビルの地下にある京浜急行改札口の横にはムービングサイドウォーク付きの連絡コンコースが設置されています。また両ビル間には無料循環バスが5分間隔で運行し、お客様の利便を図ります。
〇ターミナルビルのデザイン

 ターミナルビルの設計は松田平田設計をはじめとする3社JVが行いましたが、デザインコンセプトについてはこの中のデザインアーキテクチュアーであるシーザペリー事務所が担当しています。第2旅客ターミナルビルは東京湾側に面していることから「海」を基本モチーフとしています。地階から5階までの円形の大きな吹き抜け部分は全面ガラス張りで海の透明感と明るさを連想させ、2階のチェックインロビーの大屋根はプロペラをイメージしたゆるやかなひねりが加えられています。カーブサイドの長いキャノピーは波をイメージさせる造形です。
 出発ゲートラウンジはエアサイド側を全面ガラスの明るい空間とされ、到着コンコースは半円形の断面のガラスの長い回廊が特徴とされています。
〇ビルの構造計画と出発、到着動線分離による安全対策

 第2旅客ターミナルビルではお客様にスムーズに出発、到着していただくことを第一の目標として、階層移動をできるだけ少なくしかつ最短の動線となるよう工夫しています。構造上は第1旅客ターミナルビルと同様カーブサイドをダブルデッキとし、出発階が2階、到着階が1階、鉄道やモノレールとの接続は地階、立体駐車場との連絡歩道橋の取り付け位置は3階に設定されています。
 特に、ハイジャック防止を徹底するためチェックイン後の出発旅客は2階出発コンコースから機内へ、到着旅客は機内から1.5階の到着専用コンコースへ、それぞれ別のスロープで誘導するなど、ビルの構造上からも旅客の動線を完全に分離しました。
〇バリアフリーなどお客様に配慮した設計

 吹き抜けの大空間は、ロビーのどこからでも見ることができ、お客様自身が今どこにいるのかをわかりやすくします。また、ロビー内やコンコースなどをスムーズに移動していただくために、ムービングサイドウォークやエレベーター、エスカレーターを多数設置しています。特に、ムービングサイドウォークは車椅子のお客様にも不便なく利用いただけるよう140cmの幅を確保しています。エレベーターは電動車椅子が2台並んでご利用いただける大きさとしています。さらに、授乳室や多目的トイレも随所に設置するとともに喫煙コーナーは個室化して完全分煙を図りクリーンな環境を目指します。

出発ロビー
〇魅力あふれる商業施設とホテル

 館内随所にショップやレストランなどのサービス施設を設け短時間であっても充分に楽しんでいただける魅力あふれる空間を表現しています。特に中央吹き抜け部(マーケットプレイス)には27店舗(3,200m2)のハイセンスな飲食店や物販店を集中的に配置しました。また、最上階の5回には展望デッキが設けられており航空機の離着陸や、東京湾を行きかう船や湾岸エリアの第パノラマが楽しめます。
 ターミナルビルに併設されるホテルは387室を有し、出発ロビーから直接アクセスできます。深夜便や早朝便のご利用が一層便利になり、羽田空港の利便性がまたひとつ向上することになります。

マーケットプレイス(主な店舗、吹き抜け空間)
〇第1旅客ターミナルビルの改修

 第2旅客ターミナルビルの供用が間近に迫るなかで、現在供用中の第1旅客ターミナルビルは平成5年9月の供用以来、11年を経過し一部施設の老朽化や法令に準拠し得ないところも生じてきています。そのため、当社は第2旅客ターミナルビルの新設を機会に両ターミナルビルのサービスレベルの均等化を図るため、防災性能の向上やセキュリティー対応、バリアフリーの改善など利便性の更なる向上を目指した大掛かりなリニューアル工事に取り組んでいます。第一段階は第2旅客ターミナルビル供用までに行い、第2段階はANA移転後の設備の更新を中心に17年5月ごろまでに完了させる予定です。

表―2 羽田空港旅客ターミナルビルの概要

第2旅客ターミナルビル 第1旅客ターミナルビル
建築面積 約51,000m2
約85,000m2
延べ床面積 約180,000m2 約290,000m2
固定スポット数 15 24
階数 地下1階、地上5階 地下1階、地上6階
  (ホテル部分のみ7階)  
(用途別面積)    
旅客エリア 約62,800m2 約100,500m2
商業施設面積 約8,000m2 約20,000m2
 飲食 約3,600m2(39店舗) 約9,000m2(56店舗)
 物販、サービス 約4,400m2(53店舗) 約11,000m2(110店舗)
ホテル 約16,400m2(387室)  
利用エアライン ANA、AIR DO JALグループ、SKY、SNA
利用旅客数(予想) 約3,100万人/年 約3,200万人/年


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