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■ | 本コーナーでは、情報化や新技術に関連したタイムリーな情報をピックアップしてわかりやすく紹介していきます。 |
平成16年6月24日、東芝は、小型の電子機器向けに、世界最小、親指サイズの燃料電池システムを開発したと発表しました。携帯用音楽プレーヤーなら最長20時間駆動させることができます。充電用として多く使われているリチウムイオン電池と比べ、大容量化できるうえ、充電が不要で燃料を補充すればすぐ使える利点があるということです。 燃料は純メタノール。従来はメタノールの濃度が高いと発電効率が低下するため、10%程度に薄めて使うのが一般的でした。今回、電極などを改善した結果、純メタノールでも発電効率を損なわない技術開発に成功。燃料タンクの容量を2ミリリットルと、従来の約10分の1に小型化することができました。 縦56ミリ、横22ミリ、厚さが最大9ミリで8.5グラム。出力は100ミリワット。 05年の実用化を目指しています。
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自販機管理会社15社が今夏、名古屋市内で、飲料自販機にブロードバンド(大容量高速)回線をつないで「無線LAN」の基地局とする無料サービス「フリーモバイル」を始めます。無線LAN対応のパソコンがあれば、街中でメールの送受信やインターネットのホームページの閲覧ができるようになります。04年末には全国の自販機1000台をブロードバンド化する予定。 事業化するのは、自販機管理会社15社とIT関連企業3社で設立した会社「ホーキング」(東京都中野区)。自販機の周りに人を集めることで売り上げ増につなげることなどが目的。 まず、05年日本国際博覧会(愛・地球博)開催や中部空港開港を控えた名古屋市内から着手。栄地区や名駅地区などのホテル、駅、病院、学校などに設置されている清涼飲料の自販機50台にADSL(非対称デジタル加入者線)のブロードバンド回線を設置します。自販機には目印として「Free Mobile」のマークがつけられます。 この自販機から半径50メートル以内なら、パソコンを使ってインターネットに接続できます。来春には、現金を自販機に入れれば音楽や電子書籍を購入できるダウンロード販売も開始します。 無線LANは、街中の高速インターネット接続の「本命」と期待されてきました。しかし、利用が基地局周辺の狭い範囲に限られるため、利用拠点が少なく、携帯電話のようにどこでも使えるわけではありませんでした。ソフトバンクグループやNTTグループ各社などが、ホテルやカフェ、駅構内などで、商用サービスを行ってきましたが、利用者数は伸び悩んでいるのが実情です。 これに対し、飲料自販機は全国に260万台あります。まずはホーキングが管理する10万台を手始めに、他社分までに基地局化が進めば、設置密度の高い街中ではある程度の範囲を「面的」にカバーできるとみられています。
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タクシーに搭載されている車両情報端末を使って、利用者からの配車依頼電話を乗務員の携帯電話に直接つないで指示することのできる“ITSタクシー"の実証実験が平成16年5月より名古屋で始まりました。国土交通省中部運輸局と名古屋タクシー協会などが行う日本初のタクシードライバー直結通話呼び出しシステムで、今年10月に名古屋で開催されるITS世界会議で先進事例として紹介するということです。 対象のタクシーは名古屋地区32社のITS用車両情報端末を搭載している計1500台で、エリアは名古屋市と周辺地域の計28市町村。利用者は専用番号に電話をかけ、音声ガイドに従って「一番近くにいるタクシー」「観光案内ができる」「女性ドライバー」「英語が話せる」などの条件に合ったタクシーを選ぶことができます。 実験期間は平成16年5月28日~10月31日まで。配車電話番号は0120・923741。固定・携帯どちらの電話からも呼び出しが可能。実験段階ですが、期間中は一般客も利用できます。
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シャープが、紙のように薄く、曲げたり筒状にしたりできる太陽電池を開発しました。 太陽光をどのくらい電気に変えるかを示す「変換効率」は28.5%。住宅に取りつける多結晶シリコンの太陽電池が14%程度とされるのに比べ、飛躍的に効率を上げました。携帯電話、衣類、自動車などに付け、移動しながら電化製品に電力を供給することが可能になるということで、太陽電池の普及を加速させそうです。 同社は変換効率が高いため、人工衛星などに使われる「単結晶化合物」の太陽電池技術を応用しました。この「単結晶」だと通常、厚みは約200マイクロメートル(マイクロメートルは1000分の1ミリ)。しかしシャープは、半導体の配線部品や土台を組み込まなくても、いったん取りつけてはがすだけで半導体の働きをする基板技術を開発、厚みを1~3マイクロメートルに抑えました。重さも100分の1。「化合物フレキシブル太陽電池」と名づけています。 名刺を2枚合わせた大きさの重さは約1グラム、発電量は2.6ワット。1グラムあると自転車ライトの電力がまかなえます。電極をつなぎ、カーテンやテントの素材として日光を遮りながら発電したり、自動車の外面にはったり、円柱に巻き付けたりして使うことも可能。蓄電池と接続し、携帯電話などの充電に役立てることもできるようになります。 シャープは今後、針を刺すなどして穴があくと壊れやすい点を改善し、年内にもサンプル(見本)出荷を始める方針。年内の量産開始を目指します。 |
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| (2004.5.28 朝日新聞より) |
平成16年5月12日、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は、第三者による盗聴・解読が原理的に不可能な暗号「量子暗号」を使う光ファイバー通信で世界最高速を達成したと発表しました。外交・軍事や国際金融など絶対的な機密性が求められる通信への応用を目指し、日本や米国などが国を挙げて激しい競争を繰り広げている分野で、実用に一歩近づく成果です。 産総研は、光の粒(光子)一つひとつの振動方向に「0」か「1」か(1ビット)の情報を対応させた通信で量子暗号を実現しました。 暗号化した情報本体はインターネットなどで送りますが、それに先んじて、暗号化と解読に必要な「鍵」を、この方法で光ファイバー経由で送る点がポイント。途中で盗聴された場合、光子の振動が変化して盗聴されたことが必ず分かる特長があるので、その場合は盗聴を受けずに届くまで鍵を変え続ければよく、盗聴・解読が原理的に不可能な通信ができます。 この方法は雑音に弱いのが難点ですが、長さ10.5キロの光ファイバーの受信側にある光子検出器の雑音を抑えて受信にかかる時間を大幅に短縮。通信時間のほとんどを占める鍵の生成で、従来の約100倍、世界最高速の毎秒45キロビットを達成しました。 従来はA4判数枚のワープロ文書(60キロバイト程度)を、100キロほど離れたところに量子暗号で送ろうとすると、暗号化した文書そのものはインターネットで短時間で送れますが、鍵を生成し終えて通信を始めるまで13時間も待つ必要がありました。今回の技術を使うと、待ち時間は8分ほどに短縮されます。 実用化には、さらに高速化を進めるとともに、光信号の減衰で100キロ程度が限界になっている通信距離を伸ばすことが課題です。 暗号は、鍵が第三者に見破られにくいものほど安全です。現在普及している暗号は、鍵を探ろうとしても計算に膨大な時間がかかるように工夫され、解読は困難とされています。しかし将来、計算機の高速化やソフトウエアの工夫が進めば、絶対に安全とはいえません。 原理的に盗聴不可能な量子暗号の実用化は、国家安全保障の根幹にもかかわる技術として、日米などが研究でしのぎを削っている状況です。産総研は経済産業省所管の独立行政法人。量子暗号は他にNECや三菱電機なども研究しています。
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| (2004.5.12 朝日新聞、産総研HPより) |
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