 |
電子入札の国際標準化 |
標準化について、現在はまず電子入札の国際標準化を進めています(図−5)。その背後にはWTOの政府調達協定があり、そのために国際標準をつくらなければいけないわけです。電子入札の国際標準化については、国連の下に欧州経済委員会があり、その下部機関のUN/CEFACTのもとで標準化活動を行っています。現在、日本とフランスが機軸国になって、英国、スウェーデン、韓国、チェコなどの国と連携してプロジェクトチームをつくり、平成16年3月ぐらいまでに工事入札に関する標準を確定する予定です。
 |
図形十属性情報のデータ交換 |
また、CADのデータ交換の標準であるSXFについては、現在電子納品で使われているのが、SXFのLevel2のVer.2です。これは、幾何形状だけですが、次のVer.3になるとそれに加えて属性を持つようになります(図−6)。
現在は、四角が描いてあったらCADにはそれが何の四角かわからず、人間が見てようやく柱だとわかります。しかし、Ver.3でCADの中に「これは柱だよ」という属性が入れば、それを柱だと認識できるようになります。さらに、SXFのLevel4になると、二次元だけでなく三次元のオブジェクトモデルになります(図−7、8)。
電子入札の国際標準化だけでなくCADデータ交換標準についても、GLOCAL、つまり「Think Global, Act Local」という意味ですが、標準そのものはGlobalに考えないといけない、しかし、実際に使うのはLocalで使うということで、当初からISOに準拠し、ISOとも連携を保ちながら、標準化を進めているところです。次のVer.3はC−CADECという団体と一緒に標準化を進めており、また、Ver.3については専門分野ごとの団体に協力依頼をしています。それというのも、例えば設備系のCADはほとんどが属性を持っています。ですから、「コンセントの数はいくつある?」というと、CADはきちんとそれを計算できるようになっています。それぞれの専門分野でも、例えば土工系のCADでは土工量計算ができるようなものが多くなっています。Ver.3でもそうしたことができるように、専門分野ごとの団体に協力依頼をしているわけです。
それでは、実際にSXFのLevel2のVer.3でやり取りをするとどうなるか。例えば道路のような線形の構造物では、切盛土の断面積や計画高などの属性情報が図形とともに流れれば、土量の計算が可能になります。計画高が変更されても再計算ができます。しかし、現在のSXF
Level2 Ver.2のように絵柄だけを他のCADに渡すと、受け取った方ではこの計算はできません。ただし、もしも納品するだけだったら、図面のみを収めればよいわけですからこういうことをしてもあまり意味がありません。
ところが実際は、設計者と施工者、施工者と発注者などの間で、お互いに生産プロセスの中で様々なやり取りをしているはずです。それをスムーズに行わせようとすると、こうした標準を使わなければ効率化ができないのです。
 |
急速に進む建設産業の情報化 |
民間の電子商取引CI−NETは、建設産業における購買プロセスの電子化を進めるものです。ゼネコンが複数のサブコンに見積依頼をして、回答をもらい、その中で安いところと交渉して、注文書を出して請け書をもらい、実際に仕事が動き出したら出来高報告をしてもらって、承認して請求を受けて支払います。これがいわば一連の購買プロセスですが、これを電子的に行おうというものです。現在は注文請けまで行うことができますが、これからは出来高のところまで行おうとしているところです(図―9)。
CI−NETは、建設産業の中のゼネコンとサブコンの間が中心の電子商取引ですが、そこでは企業コードというのものが使われています。そこで産業別に企業コードを取得している数を調べてみると、電子機械業界が圧倒的に多くなっています。企業コードを取得しているということは、企業間で何らかの電子商取引をしている証ですから、やはりこの業界が圧倒的に進んでいることになります。これに対して建設産業を見てみると、5年ほど前はほとんど0に近い状態でした。しかし、現在は急速に伸びていて平成14年2月から平成15年5月にかけて、約1000件も伸びています。一般に建設産業は、情報化が遅れている産業と見られているわけですが、電子商取引に関しては急速に進化していることがわかります(図−10)。
CI−NETによるシステム化がなぜ進んだかといえば、建設業法が改正されたことが大きく影響しています。建設業法では、建設に関わる請負契約について、請負金や工事場所など細かな項目を記述するよう法律の中に書いてあって、互いに署名もしくは記名押印して書面で取り交わすことになっていました。しかし、これでは電子契約はできないということで、「書面の交付に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」が施行され、それに基づいて建設業法の一部が改正、施行令と施行規則も改正されました。同時に、「電子署名及び認証業務に関する法律」が施行されました。ただし、法律だけできても実際の運用は難しいため、「技術的基準」に係わるガイドラインが策定され、その解説書も発行されました(図−11)。
 |
動的な生産プロセスへの改革 |
生産プロセスの改革ということで、まず紙に描いてあった図面が電子化されました。それを納品するだけでは改革の効果はそれほど上がりませんが、実際は生産プロセスの中で様々な情報のやりとりが行われます。例えばCADでは、単に図面を描くだけのCADもありますが、実際は様々なトライ・アンド・エラーができます。少し中心を移動させてみたり、路面を上げ下げしたりして、土工量がどれだけ違うかを調べられるようなCADがいくらでもあるわけです。そこで、そうしたデータとその意味を一緒に持ち込むことができれば、生産プロセスは非常に効率化されます。つまり、真の生産プロセスの改革は、静的な納品から、日々の業務で使われている動的な情報のやり取りへと進化することで、初めてより効率的な生産プロセスが実現するのです。 |