Scope View
平成14年度SCOPE研究開発助成制度助成研究の決定について
研究第一部

 
1.空港施設CALSについて

 空港を運営する業務は多分野にわたりますが、空港施設CALSは、空港の施設に関連した維持管理業務、空港整備事業についてCALSの手法を取り入れることにより、業務のさらなる効率化と質的向上を目的とするものです。

 CALSへの取り組み方としては、土木分野にて各種パイロット事業を実施し、その成果を評価・改良することにより順次関連する建築・機械等の分野へと展開していくこととされました。

 
2.空港施設CALSシステムの概要

2-1.空港施設CALSシステムの概念

 空港土木分野においては、地方航空局・空港事務所が主として分掌する維持管理業務と、地方整備局・港湾空港整備事務所が主として分掌する空港整備事業があり、異なる事業体で運営されています。そこで、維持管理業務、空港整備事業では、それぞれの業務の中心に「維持管理関連データベース」、「空港整備関連データベース」を置き、それぞれの業務の連携と情報の共有化を進め効率化を図ると共に、空港整備から維持管理への土木施設情報の財産引継、あるいは逆に維持管理から空港整備への維持管理履歴情報の引継等をスムーズに行うための「空港施設統合データベース」を2つの業務の中間に配置しています。


2-2.空港施設CALSシステムのネットワーク構成

 これら全てのデータベースやシステムは空港施設CALSネットワークインフラ上に構築され、各組織はこのネットワークインフラを通してデータベースとの連携を図っていきます。このような情報基盤により、各業務において発生する各種情報は情報の発生時点において電子化され、各業務のデータベースに蓄積されることにより全体業務としてより一層の業務の効率化を図ることができます。


2-3.空港施設CALSシステムのサブシステム構成

 空港施設CALSシステムは、各種のサブシステムで構成されており、全体として情報の共有、有効活用を図るための機能、データベースを有しています。
 各サブシステム、データベースの相関を図2-3に示します。

 
3.サブシステムの概要

3-1.空港施設情報管理システム

 空港施設CALSシステム群でそれぞれ登録・保守された施設に関する全ての情報を、空港基本図をベースとして、各種データベースと有機的な連携を図り、業務で必要とされる様々な情報を一元的に検索閲覧できるシステムです。システム基盤に市販の地図情報システムソフト(GIS)を利用しマッピング検索、分布・範囲等の視覚的表示を可能としています。主な機能として、

 ●空港基本図及び施設配置表示機能
 ●施設情報表示機能(施設諸元、設計条件)
 ●図面管理情報表示機能(設計~工事図面・報告書、工事範囲)
 ●点検管理情報表示機能(点検・破損情報)
 ●補修履歴情報表示機能
 ●工事、制限区域の表示、簡易面積計算・距離計測

等があります。

3-2.情報伝達システム

 空港事務所内及び、空港事務所と地方航空局等の他組織間、さらには外部企業との間で日常的な情報の伝達・交換を支援するシステムです。システム基盤に市販のグループウェアソフトを利用しワークフロー業務、電子掲示板等の機能を構築しています。主な機能として、

 ●事務所内の情報伝達機能
 ●受注者との間の情報伝達及びワークフロー管理機能(施工管理支援システム)

等があります。

3-3.図面管理システム

 空港施設に関わる維持及び建設工事の調査・設計、積算、発注、施工等の各業務において発生する図面、報告書等を一元的に管理するシステムです。本システムで登録されたデータの検索閲覧は、空港施設情報管理システムで一元的に参照が可能です。主な機能として、

 ●工事情報登録機能(工事件名、年度、工期、契約方式、見積・請負額、監督職員等)
 ●工事関連図書登録機能(図面、報告書、工事月報、工事旬報等)
 ●工事帳票出力機能(監督終了報告書、検査調書、請負工事成績表等)

等があります。



3-4.空港施設統合データベースシステム

 空港施設CALSシステム群の各システムで共通的に利用される施設諸元、設計条件等の施設情報や、施設分類、図書分類等の各種マスタ情報を一元的に管理するシステムです。
当該データベースは、事業主体内の共有データベースの枠を越えて、維持管理業務、空港整備事業で利用する空港施設CALSシステム共有データベースとして位置付けています。主な機能として、

●施設情報保守機能(施設諸元、設計条件)
●施設形状連携機能
●各種マスタ保守機能

等があります。



3-5.点検管理システム

 空港施設の点検及び管理に伴い発生する点検結果データを一元的に管理するシステムです。本システムは、点検現場での点検結果や現場写真等の即時データ入力を想定して構築されています。主な機能として、

 ●点検情報検索機能
 ●点検情報取り出し機能
 ●点検情報入力機能(点検情報表示、点検結果入力、破損個所入力)
 ●点検情報取り込み機能
 ●点検履歴管理機能
 ●点検台帳、点検報告書等帳票作成機能

等があります。



3-6.空港技術データベースシステム

 空港の計画、建設、施設の維持管理・運用という空港に関するプロジェクトの全ての段階に用いられる土木、建築、機械等の既存の工学技術体系を基礎に体系化された空港技術体系に沿って技術関連文書の整備を行い、一元的に管理するシステムです。主な機能として、

●技術データ逐次登録機能
●技術データ一括登録機能
●技術データ検索閲覧機能

等があります。

 
4.今後の予定

 CALSの導入は永続的かつ大規模なものであり、データベースとして管理している情報を常に最新の生きた情報として保持することが重要であり、そのためにも電子納品された情報を効率的に反映する方法・仕組みを検討しています。

 また、対象事業範囲の拡大を検討すると共に、予防保全業務を支援するシステムの構築として、舗装管理システム、建築施設保全管理システム、埋設管情報管理システム等の構築を検討していく予定です。


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