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空港整備プロセスのあり方

今後の一般空港の整備

 平成14年4月より約8カ月間にわたり審議された「交通政策審議会航空分科会」においては、15回の「空港整備部会」、6回の「航空保安システム部会」が開催され、同年12月に「今後の空港及び航空保安施設の整備に関する方策について」として答申されました。
 
 国内空港整備については、配置的側面からの整備は概成したものと考え、今後の一般空港(第2種空港、第3種空港、共用飛行場等)の整備は、従来の「量的拡大」から「質的充実」に重点を移していく必要性や、「国土交通省における公共事業改革への取り組み(平成13年6月)」で示された「今後の地方空港の新設については離島を除き抑制」という方針について述べられています。
 
 特に、空港整備計画の閣議決定時に、運輸省資料として一般空港の個別新規事業を選定・公表していたことが事業の硬直性を招きかねないのではないかとの指摘や、住民の合意形成等の手続きがルール化されておらず、透明性向上の観点から問題があるとの指摘もあったことを踏まえ、今後はこの選定・公表をとりやめ、新たな合意形成手続きの下に空港整備を図ることとし、国が空港整備の指針を明示し、整備主体において需要・必要性の十分な検証、空港計画の十分な吟味、費用対効果分析の徹底等を行って、真に必要なものに限って事業化するとされています。
 
 また、透明性向上の観点から、構想・計画段階におけるパブリック・インボルブメント等の手続きをルール化すべきであるとされています。

新たな空港整備プロセスのあり方(案)の策定

 航空局では、審議会の論議を踏まえ、今後の一般空港の滑走路新設・延長に係る新規事業に関する望ましい整備プロセスのあり方について、学識経験者や専門家からなる「空港整備プロセス研究会」(座長:森地茂 東京大学大学院教授)を設置し、今般、その成果として、「一般空港における新たな空港整備プロセスのあり方(案)」がとりまとめられました。
 
 本案は、(1)一般空港における新たな空港整備プロセス、(2)一般空港の滑走路新設または延長事業に係る整備指針(案)、(3)一般空港の整備計画に関するパブリック・インボルブメント・ガイドライン(案)から構成されており、平成15年度から試行し、実績を積み重ね、さらに内容の充実を図っていく予定にしています。以下にこれらの概要を紹介いたします。

新たな空港整備のプロセス

 これまでの空港整備五(七)箇年計画では、閣議決定時に一般空港の個別の滑走路新設等の事業を運輸省資料において明示していましたが、個別新規事業の選定・公表をとりやめることとしました。
 
 これに伴い、従来からの空港整備において用いられている各種マニュアル、計画基準等に基づく整備計画の策定、国土交通省事業評価制度等のプロセスに、今回新たに本案の(2)及び(3)を加えて「新たな空港整備プロセス」として提示しています。(図−1)
一般空港の整備指針(案)
図-1 新たな空港整備プロセス (画像をクリックすると拡大表示されます)

整備指針(案)

 本指針(案)においては、一般空港における滑走路新設・延長事業について、答申に示される整備方針を踏まえるとともに、各評価項目について、その基準が満たされていることを新規事業採択の必要条件として、「事業の評価項目と評価の基準」を示しています。
 
 これにより、空港整備主体が滑走路新設・延長事業を検討する際に、事業を実施する必要性や立案する計画が妥当か否かを判断する客観的かつ具体的な評価基準が明確になります。
 
 事業を評価する項目は、(1)事業の必要性、(2)候補地の比較、(3)計画の妥当性(空港計画、アクセス条件、他計画との整合、事業規模)、(4)事業の実現性(用地確保、環境影響の見通し、合意形成の状況)、(5)事業の効果(費用対効果、アウトカム)の5項目から成り、それぞれの評価項目に対して評価基準を示しています。

 「(1)事業の必要性」においては、「滑走路処理能力の向上」や「大型ジェット機の就航」など、8つの整備目的毎に評価項目を定め、そのうち定量化できるものは定量的に評価の基準を設定しています。(図−2)

事業の必要性
図-2 事業の必要性 (画像をクリックすると拡大表示されます)

 
 さらに共通の評価項目として、「代替手段の検討」と「需要予測」の2項目の評価基準も合わせて満たすことが必要となります。

パブリック・インボルブメント・ガイドライン(案)

 空港整備における、透明性、客観性の確保や住民等関係者との円滑な合意形成を図っていくためには、計画の検討段階から情報公開を実施し、広く意見を求めることが重要です。
 
 本ガイドライン(案)では、パブリック・インボルブメント(PI)を、「空港整備計画の検討段階において、空港整備主体が関係地方公共団体と連携して、住民、空港利用者等のPI対象者に情報を公開した上で、広く意見を把握し、計画策定過程にPI対象者の参画を促すこと」と定義し、一般空港の整備について、PIを通じて円滑な合意形成を図ることを目指して作成されたものです。

適用事業と適用段階

 一般空港の滑走路新設・延長事業の構想・計画段階に適用します。
 
 構想段階:幅広い選択肢から滑走路の概ねの位置、方位等の基本的な諸元に関する一の候補地を選定する段階(滑走路新設事業を対象)
 
 施設計画段階:候補地が選定された上で具体的な施設の配置等の計画案を決定するための段階(滑走路新設・延長事業を対象)

PIの目標と実施

 「PIを通じて、PI対象者が計画案を知り、理解する段階、様々な意見を踏まえて論点が整理される段階を経て、意見がある程度集約され、空港整備主体が計画案の確定について適切に判断できる状態に到達すること」を目標にしています。

 対象事業を行おうとする空港整備主体と、空港が所在するなど深い関係を有する地方公共団体が連携してPIを実施します。
 
 PIの実施にあたっては、「PIの進め方の公表」、「計画案の公表」、「意見の把握」、「意見の集約」などの手続きが挙げられます。
 
 また、その進め方、PI対象者への情報提供や意見の把握及び集約が適切になされているか等、客観的な立場から助言を行う組織として、「アドバイザリー・チーム」を設けます。さらに、必要に応じて、住民等の代表や有識者等で構成される「協議会」を設置し、意見の集約を図ります。

目標達成の判断

 空港整備主体と関係地方公共団体は連携して、PI対象者が計画案の内容について疑問を解消し、論点が整理でき、意見の集約状況が構想段階から施設計画段階への移行、または施設計画段階から事業の円滑な実施に支障とならないと判断すれば、PI実施記録をとりまとめ公表します。
 
 また、空港整備主体は、計画案を確定した際は速やかにその内容を公表します。

実施期間

 PI対象者の意見の把握や集約に十分な時間を確保することが重要でありますが、適切な期間の目標を定め、あらかじめ公表し、できる限り効率的な意見の把握と集約に努めることとしています。



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