[SCOPE] 財団法人 港湾空港建設技術サービスセンター

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コラム

第2回 コストの低減は計画段階ですべきもの   ~2007.2.8~

飛行場計画技術研究会 小坂英治

空港適地が無い

世界で我が国ほど空港の立地条件に恵まれぬ国は少ないのではないか。狭い国土の70パーセントは山岳地であり、平地は皆利用し尽くされている。大抵の空港は、本来空港としては不適な地形を無理やり平らにして、航空機が離発着できるようにしてきた。最近は、結構な水深の海上部さえ埋め立て、空港にしてしまう。土木機械の大型化もあり、近年、少々の土工事では驚かなくなった。この調子で行くと、必要となれば富士山だって造ってしまうのではないか。昔、各地の神社にあった富士山信仰の富士見塚の規模では無論ない。

我々日本人は、経済の面では、一応世界の一流を目指し、多くの分野で成功させてきたが、土地利用に関しては先進国の流儀はまねができず、家屋・建築物また都市開発等すべてが軽量級止むなしとして、立派なウサギ小屋とごちゃごちゃ土地利用を良しとして来た。このため、自動車産業のように、環境、エネルギーの問題もあり、我が国に合った軽量級自動車が世界中でもてはやされるものまで出てきた。世界の人口が増え過ぎると、必ずしも小型が大型に劣るとは言えなくなるのであろう。 しかしながら、航空機の世界では、今のところ、すべての規格が世界標準で動いており、空港の仕様は有り余る土地を持っている国と共通でなければならないのは残念至極なことである。我が国では、土地バブルの時代が過ぎ去っても空港建設には土地代がやたらとかかるのである。何か工夫の余地はないものだろうか。空港の世界標準について、何が許され、何が許されないのか徹底した本質論を勉強し、我が国流のうさぎ小屋基準ができないものだろうか。筆者の目下の「飛行場計画技術研究」必要論の根源である。

難工事は避けたい

筆者が役所の計画ポストにいた第6次空港整備五箇年計画策定当時頃から、地方空港の建設費が急騰したのを否定できない。当時の自治体関係者、建設コンサルタント等関係者の頭からまるでコスト意識が揮発してしまったような気がする。ここに言う建設コストとは最近マスメディアが騒いでいる建設業者の受益する利益の過多について言っているのではない。以前は、空港建設には不適とされていた山岳部や海上部に関係者が敢然と取り組む風潮のことである。今や土地造成に関するかぎり技術的な不可能はなくなったようである。 反って、関係者の中には難工事に取り組むことに、快感さえ感じているのではないかと思うほどであった。関西空港の泉州沖5キロメーターの大工事はそのきっかけに縁無しとは言えないのではなかろうか。単なる想像である。世の中、空港の必要性において関西空港のようなものばかりがあるのではない。地方の組長さんが地域の発展を願うのは当然として、やや交通の不便さはあっても、空港に頼らない他の方法を見つけて欲しいとの願いから、関係者の頭の冷却を期待することも間々あった。今考えると自治体の主要ポストにいる方々に随分乱暴な口聞きをしたのではないかと反省している。 しかし、ここで筆者が真に反省すべきだったのは、失礼な物言いではなく、空港計画についての技術論の徹底であったのであろう。かつての羽田空港や成田空港は、常に優秀なスタッフを抱えており、単純な基準ではなく、その場にあった運用を提案し実行してきたが、一過性のプロジェクトを担当する地方空港関係者は熱心に勉強はしても、国の担当者からこれはルールですと言われてしまえばそれ以上進めなくなるのが現実で、この意味で、国の担当者の責任は重大である。使用頻度の少ない地方空港ほど弾力的なルールの適用が可能であれば、関連工事の縮小による建設コストの低減のみならず、計画から工事着工までの時間的短縮が可能となり、需要への早期対応が可能になる。 地方空港ではプロジェクトが最初に周辺から湧き上がるときの航空交通への思い入れと交通環境は時間と共に変化するものであり、企画から開港までの時間短縮があれば、その後の運用も上手く行ったろうと思うものが少なくない。

柔軟性のある基準作りを

空港の建設コストの削減は実態に応じた柔軟なルールの運用で可能となる。ただし、頑ななルール厳守は避けなければならないが、無責任なルールの柔軟性も後に大きな問題を惹き起こす。最近、はやりの規制緩和主義が全体として手抜き問題を起こし、結果として莫大な損失を生じている例が話題になっている。規制緩和には根底に優れたルール研究がなければならない。すなわち、計画技術の根幹は、ルールの本質を理解しているか否かにある。今関心を持っているのは、空港と空域規制のルールである。空港適地に恵まれない我が国にとって土地と空をどのように確保するかは永遠の課題である。

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